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人間の言葉が“ChatGPT化”している?──フロリダ州立大学の最新研究が示すAIの影響力

AIとの対話が日常に溶け込んでから早2年。気がつけば私たちの会話が、どこかで聞き覚えのある「ChatGPTっぽさ」を帯びてきてはいないでしょうか。フロリダ州立大学の研究チームが発表した最新調査によれば、まさにその懸念が現実となりつつあるのです。


会話に潜む“学術的な香り”

研究チームは10万件の録音データ、総語数2210万語という膨大な口語データを分析しました。対象となったのは米国で人気のテック系・サイエンス系ポッドキャストで、台本なしの自然なトークが記録されています。その中から、ChatGPT公開以前(2019~2021年)と以後(2023~2025年)の会話を比較し、AIが好んで使う単語の出現頻度を追跡しました。

結果は驚くべきものでした。“delve(掘り下げる)”や“intricate(複雑な)”といった学術的表現が、ChatGPT登場後に明らかに増加していたのです。例えば、かつては「要するに、このプランはちょっと問題あるね」と言っていた場面が、今では「要するに、このプランには改善の余地がある」のような、より論文調の言い回しに変化しているというのです。


影響は本当にAIのせいなのか?

もちろん研究者たちも慎重です。彼らは次のような指摘を加えています。

ひとつは、これがAIの直接的な影響かどうか断定できないという点。言い換えれば、AIが流行語を後押しした可能性もあれば、もともと自然に広まっていたのをAIが加速させただけかもしれないのです。

さらに調査対象がテクノロジーや科学に関心の高い層に偏っていることも無視できません。普段からAIに触れる機会の多い人々だからこそ、このような変化が顕著に現れたとも考えられます。


「言葉の浸食」という深い懸念

研究のハイライトは、単に言葉遣いの変化を確認したことに留まりません。もしAIが人類の言葉に浸透していくなら、将来的には思考そのものがAI的なフレームに影響される可能性がある──そんな哲学的で、同時に現実的な問いを突きつけています。

たとえば、AIが持つ偏見や傾向がそのまま人々の言語に染み込み、知らず知らずのうちに社会的価値観や意思決定に影響を与える可能性があるのです。この研究は10月に開催予定の「第八回 人工知能・倫理・社会国際会議(AIES)」で正式に発表される予定であり、学術界でも大きな議論を呼びそうです。


文章と会話の境界が曖昧に

現代はもはや、人間が書いた文章かAIが生成した文章かを見分けるのが難しい時代です。そのため、「あえて小さな誤字を混ぜることでAIではないと示す」といったユーモラスな工夫をする人まで現れています。つまり、私たちは言葉を通じて「自分が人間である」ことを証明しなければならない時代に突入したのかもしれません。


終わりに──あなたの言葉もすでにAI化している?

今回の研究は、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルが、私たちの生活にどれだけ深く入り込みつつあるかを鮮やかに示しています。AIは単なるツールにとどまらず、人間の言葉、そして思考にまで影響を与え始めているのです。

ふとした日常会話の中で「align」「surpass」「intricate」といった単語を口にしていませんか? それはもしかすると、知らず知らずのうちにあなたの言葉も“ChatGPT化”している証拠かもしれません。

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