照準は合っていた。敵が姿を見せた瞬間、確かにクリックした。それなのに撃ち負ける――FPSを遊んでいると、そんな「あと一瞬」に悔しさを覚えることがあります。もちろん勝敗を左右するのはマウスだけではありません。しかし、視界で捉えたものを指が反応し、その操作がゲームへ伝わるまでの時間を少しでも短くできるなら、その違いは一瞬を争う場面ほど無視できなくなります。
Logicool G PRO X2 SUPERSTRIKEが追求したのは、まさにその「クリックする瞬間」です。最大の特徴は、従来型のマイクロスイッチとは異なるハプティック誘導トリガーシステム「HITS」。単純にクリックを高速化するだけでなく、「どこまで押したら反応するのか」「どこまで戻したら次のクリックを受け付けるのか」、さらに「クリックした瞬間に指へ返ってくる感触」まで調整できます。マウスに自分の指を慣らすのではなく、自分の指に合わせてマウスを仕立てていく。PRO X2 SUPERSTRIKEは、そんな発想を本格的にゲーミングマウスへ持ち込んだ一台です。

Logicool G PRO X2 SUPERSTRIKEの特徴
最大30msの遅延短縮。HITSが変える「クリックした瞬間」の速さ
PRO X2 SUPERSTRIKEを語るうえで外せないのが、HITS(ハプティック誘導トリガーシステム)です。一般的なゲーミングマウスでは、ボタンを押すことで内部のマイクロスイッチが動き、その動作を経てクリックが認識されます。HITSはこの従来型マイクロスイッチを置き換え、ボタンの動きを検出しながら設定した位置で入力を成立させる仕組みを採用。これにより、クリック遅延を最大30ms短縮します。
30msという数字だけを見ると、ごく短い時間に感じるかもしれません。しかし、敵が遮蔽物から顔を出した瞬間を狙う場面や、クロスヘアが標的を横切るほんの一瞬で射撃する場面では、そのわずかな差こそが重要になります。指を押し込んでから機械的なスイッチが切り替わるのを待つのではなく、設定したポイントへ達したところで素早く入力へつなげる。まるで指先と画面の間にあった薄い膜を一枚取り除くように、操作をより直接的なものへ近づけてくれるのです。

10段階のアクチュエーションで「どこまで押すか」を自分で決める
クリックの好みは、人によって想像以上に違います。ほんの少し指を動かしただけで反応してほしい人もいれば、ある程度しっかり押し込んだところで反応したほうが安心できる人もいるでしょう。PRO X2 SUPERSTRIKEでは、左右のメインボタンについて、クリックとして認識されるまでの押下量を10段階で調整できます。これが「アクチュエーションポイント」です。
浅めに設定すれば、わずかな指の動きから素早く射撃へ移りやすくなります。一方で深めに設定すれば、ボタンへ指を置いた状態と「今撃つ」という操作を区別しやすくなる。重要なのは、単純に浅いほうが優れているわけではないことです。武器やゲームジャンル、クリックの癖、指に入れる力によって心地よいポイントは変わります。そこで反応位置そのものを自分で決められる。「マウスに慣れる」という従来の感覚から、「マウスを自分に合わせる」感覚へ。使い込むほど、その自由度が効いてきます。

5段階のラピッドトリガーリセットで、次の一発へ素早く移れる
クリック速度を考えるとき、つい「押す速さ」だけに目が向きます。しかし連続入力では、もう一つ重要な動きがあります。それが、押したボタンを戻す動作です。一度入力したあと、次のクリックを受け付ける状態へ戻るまでに指を大きく持ち上げる必要があれば、そのぶん連続操作にも余分な動きが生まれます。
PRO X2 SUPERSTRIKEでは、ラピッドトリガーのリセットポイントを5段階で調整可能。どこまでボタンを戻したところで次の入力が可能になるのかを、自分のクリックスタイルに合わせられます。特に違いを想像しやすいのが、素早い連打を必要とする場面でしょう。押す、戻す、もう一度押す。その往復距離を必要以上に大きくしなくていいため、指先の動きを小さく、テンポよく保ちやすくなります。アクチュエーションポイントが「最初の一発」を整える機能なら、ラピッドトリガーは「その次の一発」を整える機能。クリックを一回だけの動作としてではなく、連続する指の運動として設計できるのが、このマウスならではの面白さです。

6段階の触覚フィードバック。クリックの“手応え”まで調整できる
反応速度を追求すると、クリック感まで軽くなりすぎるのではないか。そんな心配に対する答えが、HITSの触覚フィードバックです。PRO X2 SUPERSTRIKEでは、クリックした際に指へ返ってくる感触を6段階で調整できます。軽快な感触でスピードを重視するのもいい。あるいは、入力したことが明確に分かるしっかりした感触に整えるのもいいでしょう。
ゲーム中に「今クリックできただろうか」と画面を見て確認する必要はありません。指先から手応えが返ってくれば、視線は敵や照準へ置いたまま、操作そのものを身体で把握できます。速さだけではなく、気持ちよさまで選べる。毎日何百回、何千回と繰り返すクリックだからこそ、この違いは数字以上に大きく感じられるはずです。

G HUBで設定を保存・共有。自分だけのクリックを作り込める
HITSの細かな調整は、ロジクール Gのソフトウェア「G HUB」から行えます。アクチュエーションポイント、ラピッドトリガー、触覚フィードバックを組み合わせれば、クリックの性格そのものを細かく変えることができます。さらに便利なのがHITSコード。設定をコードとしてエクスポートしたり、他のユーザーが作成した設定をインポートしたりできます。
自宅のPCで細かく作り込んだ感覚を共有する。あるいは、気になる設定を取り込み、自分の指に合うよう少しずつ調整する。ゼロから手探りするだけではなく、さまざまな設定を出発点として試せるため、カスタマイズそのものが一つの楽しみになります。「今日は少し浅めに」「このタイトルでは連打しやすさを優先したい」。そんなふうに、プレイスタイルに合わせてクリックを変えていけるのです。

HERO 2センサーが、激しいフリックも繊細な照準も正確に捉える
クリックをどれほど研ぎ澄ませても、肝心の照準が思った場所へ動かなければ意味がありません。そこでPRO X2 SUPERSTRIKEには、ロジクール G独自のHERO 2センサーが搭載されています。性能は888 IPS超のトラッキング、88Gの加速度、最大44,000 DPI。さらにサブミクロンレベルのトラッキング性能を備えています。
ただし、こうした数字の本当の価値はスペック表の大きさではありません。腕全体を使って一気に振り向き、敵を捉えた瞬間だけ指先でわずかに照準を修正する。ゲーム中のマウス操作には、「速く大きな動き」と「遅く小さな動き」が絶えず混在します。そのどちらでも、自分が動かした軌跡を素直に追いかけてくれることが重要です。狙う。そして撃つ。HERO 2が前者を、HITSが後者を支えることで、この二つの動作を途切れの少ない一連の操作へ近づけてくれます。

LIGHTSPEEDワイヤレスで、マウスを振る動きを邪魔しない
PRO X2 SUPERSTRIKEは、ロジクール GのLIGHTSPEEDワイヤレスを採用しています。ローセンシで大きくマウスを振った瞬間に、ケーブルが机の縁へ触れる。マウスパッドの上でコードが引っ掛かる。ほんのわずかな抵抗でも、集中している最中には妙に気になるものです。
ワイヤレスなら、そうした物理的な制約を意識せず、必要な方向へそのまま手を動かせます。広いマウスパッドを使う環境でも、デスク上にケーブルの取り回しを作る必要がありません。HITS、HERO 2、LIGHTSPEED。それぞれが別々に存在するというより、指で狙い、クリックし、その操作をゲームへ届けるまでの流れを一つにつなげるための構成と考えると、このマウスの狙いが見えてきます。目指しているのは、マウスそのものを意識しなくて済むこと。プレイヤーの意識を、ゲームへ残したままにすることです。

まとめ
Logicool G PRO X2 SUPERSTRIKEは、単にDPIやセンサー性能を競うだけのゲーミングマウスとは、少し方向性が違います。クリック遅延を最大30ms短縮するHITS、10段階のアクチュエーションポイント、5段階のラピッドトリガーリセット、6段階の触覚フィードバック。さらに、設定を共有できるHITSコード、888 IPS超・88G・最大44,000 DPIに対応するHERO 2センサー、LIGHTSPEEDワイヤレスまで備えています。
ただ、本当に興味深いのは数字の多さではありません。「もう少し浅い位置で反応してほしい」「次のクリックへもっと素早く移りたい」「押した瞬間の感触はしっかり欲しい」。これまでならプレイヤー側が慣れるしかなかった細かな好みを、マウス側へ反映できることです。照準が重なった、その一瞬。考えるより先に指が動き、クリックが入力へ変わる。**自分の指に合わせて、クリックそのものを仕立てる。**Logicool G PRO X2 SUPERSTRIKEは、ゲーミングマウス選びに「センサー性能」や「重量」とは異なる、新たな基準を持ち込む一台です。










