この時期なら、もうご存じの方も多いだろう。つい先日、Appleが今年の秋季発表会の招待状を正式に公開した。
開催は日本時間9月10日午前2時。会場はスティーブ・ジョブズ・シアター。日本向けのテーマは「おはよう世界。」だ。

このテーマ、なかなか意味深だ。というのも、今回の発表会はAppleにとって、まさに新しい時代の幕開けになりそうだからだ。

ティム・クックは9月1日付でエグゼクティブ・チェアマンへ移り、その後任には、これまでハードウェアエンジニアリング担当上級副社長を務めてきたジョン・ターナスが就任した。

クックがバトンを渡し、新しいリーダーが舞台に立つ。今回が、いわばターナス体制で迎える最初のiPhone発表会になる。

毎年Appleの発表会前には、新製品の予想やリーク情報をまとめているが、今年は少し事情が違う。情報が少ないどころか、むしろ多すぎるのだ。

さらに、Tata関連のデータ流出によって、例年以上に具体的な情報まで出回っている。今年の新製品予想は、かなり“答え合わせ”に近い内容になるかもしれない。

というわけで今回は、現時点で出ている情報をできる限りまとめた。発表会前に読める予想記事としては、かなり網羅的な内容になっているはずだ。少し長めなので、気になる製品から読んでもらっても構わない。それでは、さっそく見ていこう。

>まず押さえておきたい。今年は“ハイエンド中心”の発表会になる

まず今年のApple秋季発表会で押さえておきたい大きなポイントがある。今年は、標準モデルのiPhoneが更新されない可能性が高い。

現在出ている複数の情報によると、9月に登場するのはハイエンドモデル3機種。iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、そしてApple初の折りたたみiPhoneとされる「iPhone Ultra」だ。

一方、標準モデルのiPhone 18、エントリー向けのiPhone 18e、第2世代iPhone Airについては、来年へ持ち越されるとの見方が強い。

つまり今年は、ほぼハイエンドモデルだけで勝負することになる。理由としては、TSMCの2nmチップの生産能力がまだ限られており、まずはProシリーズを優先したいから、という説がある。一方で、高価格帯モデルへ販売を集中させることで、売上と利益を押し上げたいという戦略的な理由も考えられる。

その代わりと言ってはなんだが、今年のProシリーズはかなりアップデート内容が濃い。

>iPhone 18 Pro:Dynamic Islandが小型化、メインカメラは可変絞りへ

iPhone 18 Proで最初に目につく変化は、フロントデザインだ。リークによると、Dynamic Islandの横幅は約35%縮小され、これまでの存在感のあるカプセル型から、よりコンパクトなデザインへ変更されるという。

Dynamic Islandは、横画面で動画を見たりゲームをしたりすると、意外と画面内で存在感が大きい。サイズが小さくなれば表示を遮る範囲も減り、縦画面時のステータスバーにも余裕が生まれる。長年その大きさが気になっていた人にとっては、地味ながらうれしい改善になりそうだ。

では、以前から噂されてきた画面下埋め込み型Face IDはどうなったのか。

どうやら今年の採用は見送られたようだ。技術的にまだ十分成熟しておらず、無理に採用すると認証速度や安全性に影響が出るため、延期されたとみられている。

最新の情報では、導入は2027年になる可能性が高い。ちょうどiPhone誕生20周年にあたる年だ。もしかするとAppleは、そのタイミングで完全なフルスクリーンデザインを用意しているのかもしれない。とはいえ、今年Dynamic Islandが小型化されるだけでも、一歩前進と言っていいだろう。

カラーについては、Proシリーズに新色「ディープチェリー」が追加されるとの噂がある。暗めの深い赤で、ワインレッドやバーガンディに近い落ち着いた色合いになるとされている。彩度を抑えた高級感のある仕上がりなら、かなり人気が出そうだ。

さらに、ライトブルー系の新色が加わる可能性もある。どこか、かつてのシエラブルーを思わせるカラーだ。噂されているラインアップを見る限り、定番色として残るのはシルバーのみになる可能性がある。ブラックについては、残念ながら今年も復活しないという情報が出ている。

背面デザインにも変更が加えられる見込みだ。MagSafe周辺を含め、背面パネル全体の一体感を高めたマット仕上げになるという。見た目はよりすっきりしそうだが、ここは「変わればうれしいものの、必須ではない」くらいのアップデートかもしれない。

性能面では、iPhone 18 ProとPro MaxにA20 Proが搭載される見込みだ。

M6に続き、Apple製品では2番目にTSMCの第1世代2nmプロセスを採用するフラッグシップSoCになるとされている。さらに今回は、単なる微細化だけではなく、パッケージ構造にも大きな変更が入る。Aシリーズとして初めて、WMCMと呼ばれるウェハーレベルのマルチチップパッケージングが採用されるという。

少し分かりにくいので、簡単に説明しよう。

従来のAシリーズでは、プロセッサの上にメモリを重ねるPoP方式が使われていた。どちらも熱を発生させる部品なので、高負荷時には内部に熱がこもりやすい。一方、WMCMではプロセッサとメモリを横並びに配置する。それぞれが独立した放熱面を持てるうえ、データ転送経路も短縮できるため、放熱性と効率の両方を改善できる。

現在出ている情報では、A20 ProはA19 Proと比較して、CPU性能が約15%、GPU性能が約20%向上するという。さらに注目したいのが消費電力だ。同等性能で動作させた場合、全体の消費電力が約30%低下するとの情報もある。

30%という数字はかなり大きい。同じ処理をするのに必要な電力が3割減るなら、バッテリー持ちや発熱に直接効いてくる。スマートフォンでは、ベンチマークスコアが少し伸びること以上に、こうした省電力化のほうが実際の使用感へ大きく影響する。

通信まわりにも動きがある。ProシリーズのワイヤレスチップはN1からN2へ更新されるとの噂がある一方、流出資料では初期ロットにN1が継続採用される可能性も示されている。とはいえ、N1の時点ですでにWi-Fi 7とBluetooth 6.0へ対応しているため、実用上の影響はそれほど大きくないだろう。

むしろ注目したいのは、Appleの自社開発5GモデムC2だ。

初代C1はiPhone 16eで採用されたものの、ピーク速度ではQualcomm製モデムに及ばなかった。その後、C1Xでは性能が向上したものの、まだ差は残っている。C2では、下り最大速度が約6Gbpsまで向上するとの情報が出ている。 

一方で、Qualcomm X80の理論上のピーク速度は10Gbps。まだ性能差はあり、ミリ波にも引き続き対応しないとされている。

そのため、ミリ波対応が必要な地域ではQualcomm製モデムを継続し、それ以外の地域ではApple製C2へ移行する形になる可能性がある。通信品質を重視する人は、発売直後の実使用レビューを確認してから判断したほうがよさそうだ。

カメラでは、今年のProシリーズ最大のアップデートとされているのが、メインカメラの物理可変絞りだ。

可変絞りそのものは、Androidスマートフォンではすでに複数メーカーが採用している。Appleとしては決して早い導入ではない。ただ、Appleは新技術を最初に採用することよりも、実際の使用感を安定させてから投入することが多い。今回もハードウェアとソフトウェアをどう組み合わせてくるのかが見どころだ。

現在出ている仕様では、絞り値はf/1.4〜f/4.0の範囲で調整可能とされている。暗い場所では絞りを開いて多くの光を取り込み、明るい場所では絞りを絞ることで、より安定した画質を狙える。

ただし、スマートフォンのセンサーサイズには限界がある。Appleがコンピュテーショナルフォトグラフィーと組み合わせて、どこまで違いを生み出せるかに注目したい。

望遠カメラについては、まだ情報が割れている。2モデルとも従来の4倍望遠を継続するという説もあれば、Proは5倍、Pro Maxは6倍のペリスコープ望遠を搭載するという説もある。現時点では、どちらが実際に採用されるか判断できない。

超広角カメラについては、4800万画素仕様を継続する可能性が高い。来年以降の標準モデルではセンサー供給元が変更されるとの噂もあるが、Proシリーズについては明確な情報はまだ出ていない。

つまり今年のカメラは、メインカメラの可変絞りが最大の目玉になりそうだ。Appleとしても、発表会ではかなり時間をかけて紹介する機能になるのではないだろうか。

バッテリーについては、ProとPro Maxで差が大きい。認証情報によると、一部地域向けのiPhone 18 Proは4056mAhで、前世代からの増加幅はわずか。一方、Pro Maxは5391mAhまで増えるとの情報がある。もし事実なら、iPhoneとしては過去最大級のバッテリー容量になる。

物理SIMスロットを持たないeSIM専用モデルでは、さらに内部スペースを確保しやすい。2nmチップによる省電力化まで加われば、今年のPro Maxはバッテリー持ちがかなり期待できそうだ。

では充電速度はどうか。こちらは大きく変わらず、有線40W、ワイヤレス25Wになるとの情報が出ている。このあたりは、良くも悪くもいつものAppleである。

総合的に見ると、今年のProシリーズはかなり実用的な進化が多い。2nmチップ、可変絞り、Dynamic Islandの小型化、自社開発モデムの進化、バッテリー容量の増加。どれも日常的な使い勝手に直結するアップデートだ。

ただし問題は価格である。

メモリやストレージ価格が上昇していることもあり、今年のProシリーズは値上げされる可能性が高い。しかも小幅な値上げではないという見方もある。今年Proシリーズを狙っているなら、ある程度の価格上昇は覚悟しておいたほうがよさそうだ。

>iPhone Ultra:7年待った折りたたみiPhone、ついに登場か

Proシリーズと並ぶ今年のもうひとつの主役が、Apple初の折りたたみiPhoneとされるiPhone Ultraだ。

折りたたみiPhoneの噂が出始めてから、かなり長い時間が経った。2019年ごろから「Appleも開発している」と言われ続けてきたものの、実際の商品はなかなか登場しなかった。その間にAndroid陣営は何世代も進化している。そして今年、ついにAppleが折りたたみスマートフォン市場へ参入する可能性が高まっている。

現在は「iPhone Ultra」と呼ばれているが、これは内部名称である可能性もある。最終的には「Fold」「Duo」「Folio」など、まったく別の名称になる可能性も残されている。

外側のディスプレイは5.5インチ、開くと7.8インチ、アスペクト比4:3になるとされている。サイズ感としては、折りたためるiPad miniに近い。展開時の最薄部は約4.5mmで、折りたたんだ状態でも9mm強。折りたたみスマートフォンとしてはかなり薄型だ。

フレームにはチタン、ヒンジには液体金属が使われるという。そして最大の注目ポイントが画面の折り目だ。
Appleは折り目を極力目立たなくするため、コストを惜しまず開発を進めているとされ、肉眼ではほとんど分からないレベルまで抑え込んだという情報もある。ここは実機でぜひ確認してみたい。

一方、薄型化のために省かれた機能も多い。

Face IDは搭載されず、代わりにTouch IDが復活。背面カメラは4800万画素が2基で、望遠カメラは搭載されないという。内側のフロントカメラはパンチホール式で、画面下埋め込み型カメラは画質面の問題から見送られたとされている。

カラーはブラックとホワイトが中心で、ディープブルーが追加される可能性もある。バッテリーは4883mAhのデュアルセル。7.8インチの大型ディスプレイを考えると、極端に大容量というわけではない。さらにワイヤレス充電まで省略されるという噂もあるが、こちらはまだ確度が低い。

スペックだけを見ると、意外に割り切った構成だ。ただ、これはAppleが長い時間をかけて準備してきた最初の折りたたみiPhoneでもある。数字では分からない部分で、どんな使い方や体験を提案してくるのか。そこが一番気になるところだ。

>Apple Watch:S12が3年ぶりの大刷新、Ultra 4は薄型化へ

iPhone以外の製品も見ていこう。例年どおり、9月の発表会では新しいApple Watchも登場する見込みだ。
今年はApple Watch Series 12Apple Watch Ultra 4の2モデルが更新されるとみられている。

Series 12は、通常の世代更新としては比較的大きなアップデートになりそうだ。新しいS12チップを初搭載し、Apple Watchとしては3年ぶりにアーキテクチャが大きく刷新されるという。性能と電力効率の両方が改善し、バッテリー持ちの向上も期待されている。

今回の重点はヘルスケア機能だ。長年噂されている非侵襲型の血糖測定については、今年の搭載は難しいとされている。精度面でまだ課題が残っているようだ。一方、血圧関連機能は進化する可能性がある。

これまでの傾向通知から一歩進み、より具体的な情報を表示できるようになるとの噂もある。
また、Series 12にTouch IDを搭載するという情報も出ているが、大型バッテリーを優先するため見送られたという説もあり、まだ確定していない。

続いてApple Watch Ultra 4。大きなポイントは、薄型化と衛星通信機能の強化だ。

筐体が再設計され、従来より薄いケースになるという。衛星通信については、前世代ですでにメッセージ送信や緊急SOSに対応しているが、Ultra 4ではさらに衛星経由の地図機能へ対応するとの情報がある。携帯電話の電波が届かない場所でも地図を使えるようになり、さらに写真の送受信まで可能になるという。

山や海など、通信環境のない場所での実用性はかなり高まりそうだ。ただし、これらの新機能の一部はソフトウェアアップデートで提供され、Ultra 3でも利用可能になる可能性がある。既存ユーザーにとっては、買い替え前にそのあたりを確認しておきたい。

>AirPods:カメラ搭載イヤホンが登場するかもしれない

AirPods Pro 3が登場したのは昨年9月。通常の更新サイクルを考えれば、今年すぐに次世代モデルが登場する可能性は高くない。しかし一部では、Appleが早ければこの秋にも赤外線カメラを搭載した新型AirPodsを投入するとの情報が出ている。もちろん、来年へ延期される可能性もある。

名称についてもまだ分からない。AirPods Pro 4になる可能性もあれば、新しいラインとして「AirPods Ultra」のような名称が付けられるかもしれない。

「イヤホンにカメラを付けて何をするのか」と思うかもしれないが、目的は写真撮影ではない。
カメラが認識するのは、ユーザーの周囲にある環境だ。iOS 27の新しいSiriやVisual Intelligenceと連携し、AIにとっての“目”として利用されるという。

たとえば、手を動かすだけで曲送りや音量調整を行う空中ジェスチャー。Vision Proと組み合わせれば、空間オーディオの位置認識精度も高められる可能性がある。

最終的に何という名前になるのか。そして今年出るのか、来年になるのか。
このあたりは発表会で明らかになるかもしれない。

>iPad:miniがついにLCD卒業、ベーシックモデルは今回も見送りか

iPad Proは昨年10月にM5チップへ更新されたばかりなので、今年は大きな変更がない可能性が高い。次の大規模な刷新は2027年になるとみられている。

今年秋に更新される本命はiPad miniだ。新型ではOLEDディスプレイを採用し、ベゼルも狭くなるとされている。さらに、iPadとして初めて防水性能を備える可能性もある。発売時期は10月前後とみられており、9月のiPhoneイベントではなく、別のタイミングで発表される可能性が高い。

ただし、リフレッシュレートについては引き続き60Hzになるとの噂がある。
OLEDになっても60Hz。ここだけはなかなか変えてくれないらしい。

一方、ベーシックモデルのiPadは、当初予定されていた更新が延期されている。今年秋に登場するという説もあれば、来年になるという説もあり、まだはっきりしていない。

教育市場などで安定した需要があるだけに、Appleとしても急いで更新する必要性を感じていないのかもしれない。

>Mac:OLED搭載MacBookがついにやってくる

最初に言っておくと、9月の発表会は基本的にiPhoneが主役だ。Macが登場する可能性は低い。

さらに一部のMacについては、Appleがイベントを待たず公式サイト上で発表するケースも増えている。

本当に注目したいのは、10月に登場すると噂されている新設計のハイエンドMacBookだ。M5 Pro/M5 Maxを搭載した通常のMacBook Proはすでに登場しているため、今回噂されているモデルではチップそのものより、ディスプレイと筐体デザインが大きく変わるとされている。ディスプレイはOLED化され、ベゼルはさらに狭くなり、本体も薄型化。そして最大の特徴として、Macとして初めてタッチスクリーンへ対応する可能性がある。従来のノッチもなくなり、Dynamic Islandを思わせるパンチホール型デザインへ変更されるとの情報がある。

さらに、この新モデルは「MacBook Pro」ではなく、MacBook Ultraという名称になる可能性もある。

iMacについてもM6チップへの更新や、新しいカラーの追加が噂されている。ただし本体デザインは従来のままで、大きな外観変更はまだ先になる可能性が高い。

さて、ここまでが現時点で出ているApple新製品の主なリーク情報だ。

今年のApple秋季発表会は、確かにここ数年の中でもかなり見どころが多い。新しい経営体制、新しい製品、新しいフォームファクター、新しいチップ。日本向けのテーマは「おはよう世界。」だが、その言葉どおり、Appleにとって新しい時代の始まりを感じさせる発表会になるかもしれない。

もちろん、ここまで紹介してきた内容はあくまでリークや事前情報だ。実際にAppleが何を発表するのかは、日本時間9月10日午前2時、イベントが始まるまで分からない。

リークが100%当たるとは限らない。直前に計画が変わることもあるし、誰も予想していなかった製品や機能が突然登場する可能性もある。もしかすると、今年もまだ誰も知らない「One More Thing」が用意されているかもしれない。
それでは、9月10日の発表会を楽しみに待とう。