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15歳がAIで作った株式分析サイト「BeyondSPX」:報道とその後
中小企業向けのサービスではなく、上場企業をAIで分析するサイトでした。2025年12月の記事を、元の報道と運営サイトの現状から読み直します。

2025年12月21日、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「These Teenagers Are Already Running Their Own AI Companies」という記事で、AIを使って会社を立ち上げる10代を特集しました。中心にいたのが、米国の15歳の高校生が作った株式分析サイト「BeyondSPX」です。
Modern-Gはこの話を2025年12月23日に、中国のIT之家の紹介記事を元に取り上げましたが、サービスの中身を取り違え、元の報道にない表現も加えていました。この記事は2026年10月に報道を確かめ直し、その後の動きを加えたものです。登場する10代は未成年の私人のため、名前は出しません。
WSJが伝えたこと
WSJの記事は有料で開けなかったため、IT之家とベトナムのVnExpressが伝えた内容で確かめました。
BeyondSPXは、中小型の上場企業についての分析リポートをAIで作るサイトです。創業者は、中学2年生にあたる8年生の終わりごろに会社を作りたいと考えたといいます。自分で書いたコードは10行ほどで、従業員もいません。AnthropicのClaudeに指示を出してソフトウェアを作らせ、ChatGPTやGeminiも組み合わせました。
宣伝には、掲示板サイトRedditの自動返信の仕組みを使っていました。本人の説明では、誰かが「おすすめの投資ツールは?」と尋ねると、「投資ツールはたくさんあるが、BeyondSPXもその一つ」と自動で書き込むものです。本人によると、無料のサイトの月間利用者は5万人を超え、将来は有料化を考えていました。
BeyondSPXが分析した企業の一つ、上場企業のGreystone Logisticsは、2025年9月29日に「BeyondSPXの独立した分析を共有する」という発表を出しています。同社の投資家向け広報を担う外部の担当者はWSJに、「この人はAIで小型株を全部分析したのかと思った。でも、要約はなかなかいいし、かなり好意的だから、出そうと決めた」と話しました。そのとき、作ったのが15歳だとは知らなかったといいます。
ほかの10代と、投資家の見方
WSJは、ほかの10代の起業家も紹介しています。17歳の起業家は、AIで食料品店の在庫を予測する青果の配送事業を率い、プレシード(ごく初期)の資金調達で340万ドルを集めていました。オーストラリアの14歳は、Robloxでゲームを作りながら、アプリやサイトのコードを作るAIツールを開発していました。
WSJによると、スタートアップ支援のY Combinatorは応募者に最低年齢を設けていません。投資家の見方は分かれます。起業支援のNeoを創業したアリ・パルトヴィ氏は、高校はアイデアが生まれる時期でも、共同創業者や初期の仲間を見つけるには大学が大事だと話しつつ、「彼らの2つ目の会社にはぜひ投資したい」と語りました。Google Venturesのパートナーは、未成年の創業者に投資するなら、重圧に耐えられるかを親と話す必要があるかもしれない、と考えたといいます。
この話をどう読むか
AIで開発の敷居が下がり、10代でも製品を作って利用者を集められるようになったことは、WSJの記事の大きなテーマでした。一方で、BeyondSPXの例には、読み手として押さえておきたい点もあります。
1つは宣伝の方法です。Redditのルールは、関心のあるコミュニティに「本物の参加者として」加わることを求め、スパムや内容の操作を禁じています。BeyondSPXの自動返信がこのルールに反していたかどうかを判断した資料はなく、この記事でも判断はしませんが、AIで書き込みを自動化できるほど、こうした線引きは問われやすくなります。
もう1つは、分析の受け止め方です。分析された企業が、好意的な第三者の分析を自社の発表で広めること自体は珍しくありません。ただ、書いたのが誰で、どんなデータに基づくのかは、読む側が確かめる必要があります。米証券取引委員会(SEC)、FINRAなどは2024年1月25日、AIを掲げる未登録の投資サービスへの注意を呼びかけました。BeyondSPXがその対象だという話ではありませんが、AIの分析を読むときの一般的な心得として参考になります。
その後の動き(2026年10月時点)
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年(月は不明) | BeyondSPXが「EveryTicker」に改名。旧ドメインはEveryTickerに転送される |
| 2026年10月時点 | 運営サイトは、本拠地をサンフランシスコとし、米国の5,000以上の銘柄をカバーし、「40万人以上の投資家に信頼されている」と説明(数え方や期間の説明はない) |
| 2026年10月時点 | サイトの下部に「投資助言ではなく、私たちは金融アドバイザーではない」と表示。全文のリポートを読むにはログインが必要で、料金表は見当たらない |
WSJの記事の時点の「月間利用者5万人」と、現在の「40万人以上の投資家」は、数え方が違う可能性があり、そのまま比べることはできません。どちらも運営側の申告です。
編集部としては、10代がAIで事業を形にできる時代になったこと自体は前向きに受け止めつつ、AIが書いた投資情報は、作り手の若さや話題性ではなく、根拠と開示で評価するのがよいと考えます。
AIと若い起業家の話はハーバードとMITの「AI退学」報道の記事、AIでの開発の実際の効率は「19%遅くなった」実験の記事で取り上げています。大学とAIの関係は名門大学の反AIのエッセイもあわせてどうぞ。
Sources
- IT之家「AI 正降低创业门槛,15 岁高中生独立创办科技公司」(2025-12-22、WSJ記事の紹介) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- VnExpress International「Teenagers are the new face of AI startups while still in school」(2026-01-02) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- EveryTicker「In the Spotlight」(WSJ記事 2025-12-21 の題名・記者・日付を掲載) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- EveryTicker「About EveryTicker」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- EveryTicker トップページ (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- GlobeNewswire「Greystone Logistics, Inc. Shares Independent Analysis by BeyondSPX Research」(2025-09-29、本文は403で未読) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- Reddit「Reddit Rules」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- FINRA「Artificial Intelligence (AI) and Investment Fraud」(SEC・NASAA・FINRA、2024-01-25) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
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