現地時間1月28日、マイクロソフトは2024年度第2四半期の決算を発表した。数字だけを見れば、これ以上なく好調な内容だった。売上高は813億ドルで前年同期比17%増、純利益は385億ドルと、実に60%もの大幅増益を記録している。企業としての成長力、収益性、いずれを取っても文句のつけようがない。少なくとも決算資料の表面上は、そう映った。

中でも存在感を放ったのがクラウド事業だ。マイクロソフトのクラウド関連売上は初めて500億ドルを突破し、515億ドルに到達した。成長率は26%。クラウド市場全体が成熟局面に入ったと言われる中で、この水準の伸びを維持していること自体、極めて強い競争力を示している。

しかし、市場はこの決算を素直には評価しなかった。発表後の時間外取引で、同社株は一時8%以上下落する。これほどの好決算にもかかわらず株価が下がるという事実は、現在のマイクロソフトが置かれている特殊な立場を如実に物語っている。

米CNBCは、この下落の背景として「クラウド成長の減速」と「慎重な利益率見通し」を挙げた。とりわけ投資家の視線が集中したのが、成長エンジンとされるAzureの動向だ。Azureの売上成長率は39%。決して低い数字ではない。だが、市場が暗黙の前提としていた40%というラインには、わずかに届かなかった。

この0.数ポイントの差が、期待外れとして拡大解釈されてしまうところに、「AI最大の勝者」と目される企業に向けられた、市場の過剰な期待が透けて見える。成長していても、それが「十分でない」と判断される。その厳しさこそが、今のマイクロソフトの現実だ。

だが、今回の決算で本当に注目すべきなのは、表面的な成長率ではない。むしろ視線を向けるべきは、将来を映し出す数字にある。マイクロソフトクラウドの契約残高、いわゆるRemaining Performance Obligationは、前年比110%増の6250億ドルに達した。単なる好調という言葉では片づけられない、異例の膨張ぶりである。

The Informationの報道によれば、そのうち約45%、金額にしておよそ2812億ドルが、OpenAIとの取引によるものだという。この数字が意味するのは明白だ。マイクロソフトの将来収益のかなりの部分が、OpenAIの成長と深く結びついているという事実である。

マイクロソフトとOpenAIの関係は、もはや単なる出資や業務提携の枠を超えている。かつて資金難に直面していたOpenAIに対し、マイクロソフトは巨額の投資と計算資源を提供した。その見返りとして、Azureの独占的な利用権とモデル統合という戦略的なポジションを手に入れた。一方のOpenAIは、ChatGPTという象徴的なプロダクトと急速なモデル進化によって、マイクロソフトのクラウド事業に膨大かつ継続的な需要をもたらしている。

CEOのサティア・ナデラは決算説明の中で、「我々はいまだAI普及の初期段階にいる。すでに数十年かけて築いてきた主要事業を上回る規模のAIビジネスを構築した」と語った。その言葉には確かな手応えと自信がにじんでいた。

だが、この関係は甘美であると同時に脆さもはらんでいる。OpenAIは現在、AI時代を象徴する存在であり、最も注目を集めるプレイヤーだ。その成長を追い風に、マイクロソフトはAIインフラの中心的地位を確立しつつある。しかし同時に、OpenAIの研究開発の進展や競争力、さらには組織としての安定性までもが、マイクロソフトの評価に直結する構造になっている。

さらに言えば、この深い結びつきは、マイクロソフト自身のAI戦略にも影響を及ぼす可能性がある。Copilotをはじめとする自社AIの独立性、他のモデル開発企業との協業の自由度。OpenAIへの集中は、戦略的な選択肢を狭めるリスクとも表裏一体だ。

この関係の出発点には、総額130億ドルに及ぶ大きな賭けがあった。2019年の10億ドル投資に始まり、ChatGPTの成功を受けた2023年の100億ドル追加投資。その契約は、利益に上限を設ける特殊な構造を採用し、反トラスト規制を回避しながらOpenAIをAzureに深く結びつける内容となっている。

ただし、この強固に見える同盟の裏で、双方は静かに別の選択肢も模索している。マイクロソフトはOpenAIを競合として位置づけ、独自のAI部門を立ち上げた。OpenAI側もまた、自前のデータセンターや半導体分野への関心を示している。同じ方向を向きながら、それぞれが別の出口を探している関係だ。

AWSが複数のAIモデルを抱え込む「プラットフォーム型」の戦略を取るのに対し、マイクロソフトはOpenAIという一社に賭けた。この選択は、現時点では成功している。しかし今回の株価下落は、その賭けがいかに一点集中であるかを、はっきりと市場に突きつけた。

マイクロソフトは勝者である。だが同時に、自らを一台の戦車に強く結びつけた。その戦車が前進し続ける限り、景色は輝かしい。しかし、もし減速の兆しが見えた瞬間、市場は容赦なくその重さを測り直す。
それこそが、AI時代を先頭で走る企業が背負う、避けがたい現実なのかもしれない。