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Featureシリーズ: After the Hype

Pebbleはその後どうなった? 記録的クラファンから売却、オープンソースでの復活まで

200万台売れたスマートウォッチの会社は、なぜ消え、9年後に戻ってきたのか。答えの多くは、創業者自身が公開した数字の中にありました。

Modern-G 編集部約6分で読めます

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Pebbleはその後どうなった? 記録的クラファンから売却、オープンソースでの復活まで

角の丸い腕時計の輪郭と、その下を横切る一本の時間軸、抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

ある起業家が、10年前に自分の会社で売っていた腕時計を、いまも毎日着けていると書いています。エリック・ミジコフスキー。2012年、Kickstarterで記録的な資金を集めたスマートウォッチ「Pebble」の創業者です。2025年1月27日、彼はその時計をもう一度つくると宣言しました。同じ日、GoogleはPebbleの基本ソフト、PebbleOSのソースコードを公開しています。

200万台を売った会社は、なぜ一度消え、どうやって戻ってきたのか。

Pebbleの年表。記録の時期は2012年5月に1,027万ドルを調達、2013年1月に支援者へ出荷開始、2015年3月にPebble Timeで2,034万ドル。終わりの時期は2015年の売上8,200万ドル(目標は約1億ドル)、2016年12月にFitbitが資産を取得。復活の時期は2025年1月にPebbleOSを公開、2025年7月に商標を取り戻す、2025年9月にPebble 2 Duo出荷開始、2026年4月にPebble Time 2出荷開始、2026年9月にRound 2出荷開始。
Pebbleの2012〜2026年。金額は当時の公表値と報道、出荷は各社の発表による(Modern-G作図)Modern-G作図

記録をつくった腕時計(2012〜2015年)

  • 2012年5月 最初のKickstarterが終了。ギネス世界記録によると68,929人から10,266,845ドルを集め、デザイン部門の最高額になった
  • 2013年1月23日 支援者への出荷を開始。当初の計画から数か月遅れで、The Next Webによると第1便は500台未満だった
  • 2015年3月28日 2作目「Pebble Time」が78,471人から20,338,986ドルを集めて終了。当時のKickstarter最高額だった(SlashGear)

売上も伸びていました。創業者が2022年に公開した振り返りでは、2013年の約3,000万ドルが翌年には約6,000万ドルになっています。ただし出荷の開始を外から裏づけるのは当時の報道までで、6万8千人あまりの支援者全員に届け終えた時期を示す記録は見当たりません。

売れていたのに終わった(2015〜2016年)

つまずきは、資金がいちばん集まった2015年に起きました。会社はその年の売上を約1億ドルと見込み、成長に備えて営業費用を倍にします。実際の売上は8,200万ドル。読み違えた分は在庫になり、年末の倉庫には1,500万ドルを超える時計が残りました。粗利率は35%から27%へ。どれも創業者自身が公開した数字です。

彼は根っこの問題を、「欲しいとわかっているもの」から「欲しがってくれると願った、輪郭のはっきりしない製品」へ移ってしまったことだと書いています。仕入れを小さくして賭けを小さくすべきだった、ハッカー向けの風変わりな時計をつくり続ければよかった、とも。

2016年12月7日、FitbitはPebbleの「特定の資産」、つまりソフトウェアとファームウェアの開発者と知的財産を取得したと発表しました。発表文には「ハードウェア製品は含まない」とあります。同じ日にミジコフスキーは会社を閉じると告げ、保証も終わりました。その年の5月に3度目のKickstarterで予約を集めたPebble Time 2とCoreは出荷されず、支援者には返金されると報じられています(VentureBeat、MobileSyrup)。

Fitbitが買ったのは会社ではなく資産の一部で、会社そのものは事業を終えました。「Fitbitに買収された」とまとめると、このふたつが混ざってしまいます。

コードが戻り、名前が戻った(2021〜2026年)

  • 2021年1月14日 GoogleがFitbitの買収を完了し、Pebbleの知的財産もGoogleのものになった
  • 2025年1月27日 Googleが「PebbleOSのソースコードの大部分」を公開(チップセットとBluetooth関連の独自コードは除外)
  • 2025年3月18日 新機種2つを予約制で発表。出荷までは返金できるとした
  • 2025年9月 Pebble 2 Duoの白を2,960台製造。大半は中国の連休明けに発送すると10月1日に報告した
  • 2026年7月14日 Pebble Time 2を2万3,000台以上製造し、予約の80%以上を出荷、93か国に発送したと報告

その間の2025年7月25日には「Pebble」の商標も取り戻し、新機種はPebble 2 Duo、Pebble Time 2という名前になりました(会社名はCore Devicesのまま)。11月24日には、腕時計とスマホアプリのソフトウェアをすべてオープンソースにしたと発表しています。

Pebble Time 2の出荷開始は、予定の2025年12月から4か月遅れた2026年4月でした(同社の説明)。経験のある創業者でも、ハードウェアは遅れます。会社の外の手がかりは、2026年7月のGizmodoの記事です。Redditで画面割れを報告する利用者がいて、同社は無償交換を受け付けている。新しい時計は、もう誰かの腕の上にあります。

「集めた」「出荷した」「届いた」は別の欄に書く

製品資金・販売出荷の公式発表外部の裏づけ2026年10月
Pebble(2012)1,027万ドル2013年1月に開始出荷開始の報道販売・保証とも終了
Pebble Time(2015)2,034万ドル5月に出荷開始と予告見つからず同上
Time 2・Core(2016)3度目のKickstarter出荷されず返金の報道発売されず
Pebble Time 2(2025〜)予約販売2026年4月に開始利用者の報告の報道在庫あり

右の欄に進むほど「本当に届いたか」に近づきます。いちばん左の金額は、いちばん華やかで、いちばん何も保証しない数字です。支援の前にこの欄を自分で埋めるには、クラファンの見極め方が役に立ちます。

会社が消えたあと、時計はどうなったか

2016年のあと、残された時計を動かし続けたのは、Rebbleという有志の団体でした。Googleはソース公開の告知で、その活動を支えることを目的のひとつに挙げています。一方でミジコフスキーは、スマホアプリが公開されていなかったために、多くの人が時計を使えなくなったとも書いています。

だから新しい会社は、ソフトウェアをすべて公開し、「私たちがブラックホールに消えても」利用者が自分で作り直せるようにした、と説明します。投資家に頼らず小さく始め、出荷まで返金できる予約にしたのも、2015年とは逆の選び方です。

クラファンや新興メーカーの製品を見るとき、ここから問いをひとつ借りられます。この会社がなくなっても、製品は動き続けるか。アプリやクラウドに頼る製品ほど、この問いは重くなります。ミジコフスキーの腕にある10年前の時計は、その問いへのひとつの答えです。

Sources

  1. Guinness World Records「Most money pledged for a Kickstarter design project」 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  2. PCWorld「Journey's end: Pebble smart watch arrives this month」2013-01-09 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  3. The Next Web「First Pebble smartwatches begin shipping to Kickstarter backers」2013-01-23 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  4. SlashGear「Pebble Time Kickstarter ends with over $20M in funding」2015-03-29 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  5. VentureBeat「Pebble returns to Kickstarter」2016-05-24 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  6. Google(Fitbitの発表の転載)「Fitbit acquires assets from Pebble」2016-12-07 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  7. MobileSyrup「Pebble confirms it's no longer manufacturing or selling smartwatches」2016-12-07 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  8. Google「Google completes Fitbit acquisition」2021-01-14 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  9. Google Open Source Blog「See the code that powered the Pebble smartwatches」2025-01-27 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  10. Eric Migicovsky「Success and Failure at Pebble」2022-04-11 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  11. Eric Migicovsky「Why We're Bringing Pebble Back」2025-01-27 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  12. Eric Migicovsky「Introducing two new Pebble watches!」2025-03-18 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  13. Eric Migicovsky「July Pebble Update」2025-07-25 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  14. Eric Migicovsky「Pebble 2 Duo is in mass production!」2025-08-22(10月1日追記) (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  15. Eric Migicovsky「Pebble Watch Software Is Now 100% Open Source」2025-11-24 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  16. Core Devices「Pebble Mega Update - July 2026」2026-07-14 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  17. Core Devices「Pebble Round 2 Starts Shipping!」2026-09-30 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  18. Core Devices「rePebble Watch」 (2026-10-30確認)(新しいタブで開きます)
  19. ギズモード・ジャパン「伝説のスマウォ『Pebble』、復活モデルの画面割れを無償交換」2026-07-17 (2026-10-28確認)(新しいタブで開きます)
  20. 総務省 電波利用ポータル「技適マークのQ&A」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)

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