2025年1月17日、中国・深センに本拠を置くモビリティブランド「Tomofree」は、Kickstarterで画期的な電動キックボード「BEE e-scooter」の資金調達キャンペーンを開始した。プロジェクト開始からわずか数日で目標額3,000ドルを大幅に超える13,586ドルを調達（達成率453%）し、その革新性と市場の期待の高さが窺える5。このプロジェクトは、都市生活者の「移動の自由」と「楽しさ」を両立させることを掲げ、従来の電動キックボードの枠を超える性能とデザインを追求している。生産拠点は中国に置かれるが、米国倉庫からの発送を計画しており、北米市場を中心に2025年5月の配送開始を目指す。
BEE e-scooterの特徴
パワフルな性能と柔軟な設計
BEE e-scooterの核心は、1,500Wのピーク出力を誇る後輪ハブモーターにある。3段階の速度モードを備え、初級者向けの13mph（約21km/h）から、疾走感を求めるライダーのために31mph（約50km/h）まで調整可能だ。坂道登攀能力も特筆すべき点で、30度の急勾配でもトルク不足を感じさせない。11インチのチューブレスオフロードタイヤは舗装路から荒れた路面まで対応し、前後機械式ディスクブレーキが高速走行時の安全性を支える。
長時間の走行を可能にするバッテリー
広いデッキに収められた960Whのリチウムイオンバッテリーは、1回の充電で最大28マイル（約45km）の航続距離を実現する。通勤や日常の移動だけでなく、週末の小旅行にも適した容量だ。充電時間は明記されていないが、LEDディスプレイにバッテリー残量や走行モードが直感的に表示されるため、計画的な使用が可能となる。
快適性と実用性の融合
従来のスタンディング型キックボードに比べ、BEEは着脱式シートを採用している。シートの高さは調整可能で、身長の異なる複数のライダーが共有できる柔軟性を持つ。立ち乗りと座り乗りを状況に応じて切り替えられるため、長時間の移動でも疲労を軽減する。さらに、3秒で折り畳めるコンパクト設計（折畳時サイズ：133×28×66cm）は、電車や車のトランクへの収納を容易にする。重量は46kgとやや重いが、267lb（約121kg）までの積載可能重量がその実用性を補う。
視認性とテクノロジーの進化
安全性を考慮し、フロントには3モード切替式デュアルヘッドライト、スーパーブライトテールライトを装備。昼間の走行時でも他者から認識されやすく、夜間は路面を明るく照らす。中央に配置された大型LEDディスプレイはNFCによるロック解除機能を内蔵し、スマートフォンとの連携や走行データの確認を可能にする。
将来性
都市モビリティの新標準へ
BEE e-scooterは、単なる個人向け製品にとどまらない可能性を秘める。Tomofreeは米国市場での展開に注力する一方、シェアリングサービスへの応用も視野に入れる。例えば、大学キャンパスや商業施設内での短距離移動や、観光地でのレンタル用途など、多様なシナリオが想定される。
Kickstarter後の展開
早期支援者向けの価格は799ドル（通常価格の30%割引）で提供され、プロジェクトの成功が確実視される状況だ。Tomofreeは生産体制を既に整えており、支援者への確実な配送を約束する。今後の課題は、北米以外の地域への展開や、アフターサービスネットワークの構築にある。特に46kgの重量は国際配送時のコストに影響するため、現地倉庫の拡充が鍵となる。
まとめ
BEE e-scooterは、速度・耐久性・利便性のバランスが取れた「大人のための電動キックボード」として市場に新風を吹き込む。Kickstarterでの圧倒的な支持は、従来製品に物足りなさを感じていた層のニーズを捉えた証左だ。都市生活者の移動体験を再定義するこの製品が、次世代モビリティのスタンダードとなる日は近いかもしれない。
