現在市販されている多くの自転車用パワーメーターには、高価格であったり設置が複雑だったりする課題があります。クランク式、ペダル式、ハブ式など従来のタイプでは、工具を使って部品を取り外したり校正を行ったりする必要があり、一旦特定の自転車に取り付けると、他の車両への交換は非常に手間がかかることが多いです。こうしたライダーの不満を解決するために誕生したのが「CycleClick」です。
CycleClick は、自転車のチェーンに直接クリップするだけで 30 秒で設置でき、工具を使わずに複数の自転車間で簡単に交換できるパワーメーターです。プロライダーも信頼できる精度のデータを提供しながら、高コストや単一車両への制約を排除し、あらゆるライダーが日常的にパワートレーニングを活用できるように設計されています。ロードバイク、グラベルバイク、マウンテンバイクなど、チェーン駆動の自転車であれば幅広く対応し、ライダーの努力をデータで可視化し、トレーニングの進捗を正確に追跡することを目的としています。
CycleClick の特徴
CycleClick の最大の特徴は、30 秒ツールレスインストールにあります。従来のパワーメーターでは、クランクを取り外したりペダルを交換したりするなど、部品の分解作業が必要で設置に 30 分以上かかることも少なくありません。しかし CycleClick では、ベースを自転車に固定した後、チェーンにクリップするだけで設置完了です。ドライブトレイン(駆動系)をいじる必要もなく、手順は極めてシンプルです。日常的に複数の自転車を使い分けている場合、この機能は非常に便利ではないでしょうか? 自転車を交換する際の時間は、水筒に水を補給するよりも短くて済み、ライダーはいつでもどこでも、希望の自転車にパワーメーターを装着してトレーニングを開始できます。
次に、その独特な測定原理が注目に値します。CycleClick は、自転車の推進力を伝える「チェーン」から直接パワーを測定する方式を採用しています。チェーンはライダーの脚力を車輪の回転力に変える「動力の幹線」であり、この部分からデータを取得することで、正確かつシンプルな測定が可能になります。装置内部にはチェーンのローラー(ころ)がスムーズに通過する経路が設計されており、測定チャネルはチェーンのサイドプレート(側板)には接触せず、唯一の接触点はチェーンのローラーだけです。この転がり接触によって摩擦が大幅に低減され、ライダーは騒音や抵抗をほとんど感じずに骑行できます。実際に骑行中は装置の存在を忘れてしまうかもしれませんが、データを確認するときには、プロレベルの精度が体感できるでしょう。
広範な車両兼容性も CycleClick の強みの一つです。ロードバイク、グラベルバイク、マウンテンバイクなど、チェーン駆動の自転車であれば基本的に対応しています。クランク式やペダル式のパワーメーターでは、クリートの兼容性を確認したり、再設置に 30 分以上かけたり、定期的な校正が必要だったりすることがありますが、CycleClick ではこうした手間が一切不要です。たとえば朝はロードバイクで通勤し、週末はマウンテンバイクで山の道を楽しむ場合でも、CycleClick をワンタッチで交換してデータを追跡できます。ただし、SRAM 社の Flattop チェーンには対応していない点には注意が必要です。
測定精度については、±1% の高い正確性を実現しており、これはプロライダーが使用するハイエンド機種に匹敵する水準です。この精度を達成するために、CycleClick には 3 つのキーデバイスが搭載されています。一つ目は「フルブリッジストレインゲージ(全橋ひずみセンサー)」で、チェーンの張力に生じる微細なたわみを検知することができます。二つ目は「チェーンスピードセンサー」で、チェーンのローラーを通じてチェーンの回転速度をリアルタイムで追跡します。三つ目は「高度なアルゴリズム」で、これら二つのセンサーから得られたデータを統合し、ワット単位の正確なパワー値を算出します。これにより、ライダーは自分の踏力がどれだけ効率的に車両の前進力に変わっているかを正確に把握でき、トレーニングの弱点を見つけたり、目標達成の進捗を確認したりすることが容易になります。
さらに、温度補償機能も CycleClick の重要な特徴の一つです。多くのパワーメーターでは、気温の変化によってセンサーの特性がドリフト(ずれ)することがあります。例えば高温環境では部品が膨張し、低温環境では収縮するため、即使わずかな寸法変化でも測定データに誤差が生じる可能性があります。しかし CycleClick は、温度変化をリアルタイムで検知して自動的に校正を行う温度補償機能を搭載しています。朝の低温の中での練習や、夏の猛暑の下での長距離骑行でも、センサーは常に安定した状態を維持し、データの信頼性を保ちます。パワートレーニングにおいては、正確なデータがトレーニング効果を左右することが多いため、この機能はライダーにとって非常に価値が高いです。
CycleClick のコア部分には、精密に設計された金属製チャネルが内蔵されています。このチャネルの内部にはリブ(突起)が設けられており、チェーンのローラーがこのリブの上を転がりながら通過するようになっています。ローラーがリブに接触する際に生じる力によって金属チャネルが微細にたわみ、このたわみをストレインゲージが高い精度で検知します。この検知データを基に、リアルタイムのパワー、ケイデンス(回転数)、トルク(回転力)、バランス(左右脚の力の配分)などの多様な骑行データが算出されます。同時に、チェーンスピードセンサーがチェーンの回転速度を追跡し、オンボード(装置内蔵)のアルゴリズムがこれらのデータを統合して、あらゆる気象条件下でも ±1% の精度を保証するパワー出力値を算出します。
パワーの算出原理自体はシンプルで、「パワー=トルク × チェーンスピード」という基本的な物理法則に基づいています。CycleClick はこの二つの要素をリアルタイムで測定することで、正確なパワー値を得ています。トルクの測定には、前述した可撓性の金属チャネルに取り付けられたストレインゲージが使用され、チェーンのローラーが力を加えることで生じるチャネルのたわみをリアルタイムで検知します。一方、ケイデンスはチェーンの速度とペダルの位置を時間軸で追跡することで算出され、踏み込みの速さを高精度に把握できるように設計されています。このように、基本的な原理を活用しながらも、部品の設計とアルゴリズムの最適化によって高い精度を実現している点が CycleClick の魅力の一つです。
左右の脚の力の配分を測定する左右パワーバランス機能も、CycleClick の魅力的なオプション機能です。この機能を使用するには、追加の外部センサーが必要で、キャンペーン期間中にアドオン(追加購入)することができます。このセンサーによって、ライダーは左足と右足がそれぞれ全体のパワーの何割を負担しているかを正確に把握でき、例えば片方の脚に力が偏っている場合には、その不均衡を改善するトレーニングを行うことが可能になります。ただし、この左右パワーバランス機能は開発中の実験的な機能であり、CycleClick 本体の出荷後にオーバーザエア(OTA:無線)アップデートを通じて提供される点に留意が必要です。
カロリー消費量の算出についても、CycleClick は実際のパワーデータに基づく高精度な推定を実現しています。多くのフィットネストラッカーやスマートウォッチでは、心拍数を基にカロリー消費量を推定することが多いですが、心拍数は個人の体調や環境によって変動しやすく、必ずしも正確な値を反映しないことがあります。CycleClick では、リアルタイムで測定されたワット単位のパワー出力値を基に、総仕事量(キロジュール単位)を算出します。機械的な仕事量(キロジュール)は代謝コスト(カロリー)と密接に相関しているため、心拍数に基づく推定よりもはるかに正確なカロリー消費量を把握できます。これにより、ライダーは自分のトレーニング強度に見合ったエネルギー消費を正確に把握し、栄養補給やトレーニング計画の調整に役立てることができます。
データの同期機能については、CycleClick はBluetooth Low Energy(BLE)5.0+ を搭載しており、迅速かつ安定した接続を実現しています。最大 3 台のデバイスと同時にペアリングすることができ、例えば自転車用コンピューター、スマートフォン、タブレットなどに同時にデータを送信することが可能です。サポートしているアプリケーションには、人気のトレーニングアプリ「Zwift」や「TrainingPeaks」、さらには専用アプリ「BikeOnIQ」などがあります。BikeOnIQ アプリを使用すると、すべての骑行データを一箇所に集約して管理でき、いつでもどこでも過去のトレーニング記録を確認したり、進捗を分析したりすることができます。このように、多様なデバイスやアプリとの互換性により、ライダーは自分に合った方式でデータを活用できます。
耐久性と環境耐性については、CycleClick はIP67 防水防塵仕様を満たしています。センサーや電子部品はエポキシ樹脂で完全に密封され、外殻は厳しい環境にも耐えられるように設計されています。雨天での骑行や、泥がたくさんつくマウンテンバイクのトレーニングでも、装置内部に水や泥が侵入することを防ぎ、正常に機能し続けます。野外でのトレーニングでは、天候や路面状況が予期せぬ変化になることがありますが、CycleClick の高い環境耐性によって、ライダーはデバイスの故障を心配することなく、集中してトレーニングに取り組むことができます。
重量に関しては、CycleClick の重量はわずか40g(1.41 オンス) です。この軽量化設計により、自転車への装着が骑行のバランスや抵抗にほとんど影響を与えません。自転車部品の重量は、特に長距離骑行やレースでは重要な要素になることがありますが、CycleClick はこうしたニーズにも応えるため、 compact(コンパクト)な設計と軽量素材の採用を進めています。実際に骑行しているときには、装置の存在をほとんど感じることがなく、自然な骑行体験を享受しながらデータを収集できるのが特徴です。
最後に、オーバーザエア(OTA)アップデート機能によって、CycleClick の機能は継続的に進化していきます。新しい機能の追加や、既存機能の改善、バグフィックスなどは、アプリを開くだけで無線で行うことができ、手動での更新作業は不要です。これにより、ライダーは購入後も、最新の技術や機能を享受し続けることができ、長期的に見てパワーメーターの価値を維持することができます。例えば、今後新しい骑行データの測定機能が開発された場合でも、OTA アップデートを通じて自分の CycleClick に追加することが可能になるでしょう。

まとめ
CycleClick は、従来の自転車パワーメーターが抱える「高価格」「設置複雑」「単一車両固定」といった課題を一挙に解決した革新的な製品です。30 秒ツールレスインストールによる簡便性、±1% のプロレベル測定精度、多様な自転車への兼容性、IP67 防水防塵仕様による耐久性、さらに OTA アップデートによる機能の継続的進化など、ライダーのニーズに応える多くの特徴を備えています。
チェーンから直接パワーを測定する独特な方式は、摩擦を低減しつつ正確なデータを取得することに成功し、左右パワーバランス(追加センサー必要)やパワーベースのカロリー算出など、トレーニングに実践的なデータを提供します。Bluetooth 5.0 + による多デバイス同時接続や、専用アプリとの連携も、データの活用を容易にしています。
日常的に複数の自転車を使い分けるライダー、プロレベルのデータでトレーニング効率を高めたいアマチュアライダー、あるいは雨天や泥道でも安心して使用したい野外骑行愛好家など、幅広い層のライダーにとって、CycleClick は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。高い機能性と使いやすさを両立させたこの製品は、自転車のトレーニングをより科学的かつ効果的なものに変えていく力を持っています。