AIにメールを書いてもらった。その文章をコピーしてメールソフトへ移し、宛先を確認し、送信する。AIに表を整理してもらった。それをまた別のアプリへ貼り付け、ファイル名を付けて保存する――。「AIを使っているのに、最後は結局、自分がクリックしている」。そんな小さな手作業の積み重ねに、もどかしさを覚えたことはないでしょうか。
VIOLOOPが目指しているのは、その“最後に残る人間の作業”までAIに渡すことです。
PCの画面を読み取り、いま何をしているのかを理解。必要な次の操作を提案するだけでなく、アプリを開き、画面を移動し、入力欄を埋め、ファイルを扱い、スクリプトを実行するなど、複数の工程にまたがる作業まで進めていきます。しかも、特定アプリ専用のAPIやプラグインに依存するのではなく、人が画面を見てキーボードとマウスを操作するのに近い方法でPCそのものを扱えるのが大きな特徴です。
これは、チャット画面の中にいるAIではありません。デスクの上で、自分のPCと一緒に働くためのAIです。
VIOLOOPの特徴
画面を見て理解するから、「状況をAIに説明する」手間そのものが減っていく
従来のAIでは、「いまこの画面を開いていて、この欄にはこの情報があり、次にこうしたい」と、人間側が状況を言葉に直す場面が少なくありません。VIOLOOPはそこから違います。PCから入力された映像を読み取り、画面上の文脈そのものをAIが理解します。
HDMI 2.0による映像入力に対応し、最大4K/30Hzで画面をデバイス上に取り込むことが可能。さらにUSB-C経由の映像入力にも対応し、最大2画面を扱う構成も想定されています。Windows、macOS、Linuxに対応しているため、特定のPC環境に縛られにくいのも魅力です。
たとえば受信メールを読んで顧客情報を拾い、その内容を別の業務画面へ反映する。資料を確認しながらファイルを整理する。フォームを順番に処理する。こうした「画面を見れば人間には分かる仕事」を、いちいち文章で説明する負担が減っていきます。
AIに仕事を教えるための仕事を、減らせる。
ここがVIOLOOPの面白さです。

提案で終わらず、複数アプリをまたいで“作業完了”まで進める
VIOLOOPが得意とするのは、単発の質問よりも、繰り返し発生する複数ステップのPC作業です。データをアプリ間で移す、フォームを入力する、レコードを更新する、リストを上から順番に処理する、メッセージを仕分けて下書きを作る、ファイルを整理する。ルールが一定している仕事ほど、その強みが生きてきます。
しかも、特定サービス専用の連携機能がなくても、通常のデスクトップアプリやWebアプリであれば画面から操作できます。APIを備えていない古いソフトウェアでさえ、「画面を見て操作する」という人間と同じ入口から扱えるわけです。
処理方法も一辺倒ではありません。利用できる場合はスクリプトやシステムのアクセシビリティ機能など、より直接的な方法を使い、それが難しい場面ではキーボードやマウス操作へ切り替える設計。つまり、何でも力任せにクリックするのではなく、その場で使える効率的な経路を選びながら仕事を進める考え方です。
毎日10分かかっていた単純作業があるなら、その10分は一日だけの問題ではありません。週、月、年と積み重なっていく時間です。VIOLOOPが狙っているのは、まさにそこです。

プロンプトを考え続けなくても、必要な“次の一手”を差し出してくれる
VIOLOOPには、画面の状況を読みながら次の操作を提案する画面認識型のサジェスト機能があります。必要な操作がカーソル付近に現れ、内容を確認してTabで受け入れるという流れなので、毎回チャット画面を開き、プロンプトを書き直す必要がありません。
また、複雑な命令文を覚える必要もなく、やってほしいことを自然な言葉で伝えたり、一度作業の流れを見せて繰り返し使うワークフローとして保存したりできます。VIOLOOPは画面から、操作の手順だけでなく、アプリ間の受け渡し方や仕事の流れを学び、その記憶をデバイス側に保持します。使い慣れた作業ほど工程を短縮していくことも想定されています。
毎朝同じファイルを開き、同じ項目を転記し、同じ形式に整える。そんな作業をするたびに「またこれか」と感じていた人ほど、この違いは大きいでしょう。

席を離れても仕事を進められる「Away Mode」
時間のかかる作業をAIに任せても、完了するまで画面の前で眺めているのでは意味がありません。
VIOLOOPのAway Modeでは、タスクを開始してから席を離れ、必要に応じてPCをロックした状態でも作業を継続できる構成になっています。完了したとき、あるいはユーザーの判断が必要になったときにはスマートフォンへ通知。モバイルアプリから状態を確認したり、承認したりできます。
「資料を整理させている間にコーヒーを淹れる」「大量の定型処理を任せ、その間に別の仕事へ移る」。PCの前に座って待つ時間を、自分の時間へ戻していく。VIOLOOPは単なる操作短縮ではなく、人間がPCに拘束される時間そのものを減らす方向へ踏み込んでいます。

重要な操作は、AIではなく“あなた”が決める物理承認設計
PCを直接操作できるAIだからこそ、「勝手に送信されたら?」「重要なファイルを消されたら?」という不安は避けて通れません。VIOLOOPは、そこをソフトウェア上の設定だけに任せていません。
AI処理を担う側とは別に、専用のSTM32H563セキュリティMCUを搭載。送信、確定、上書き、支払い、削除といった結果を伴う操作ではいったん停止し、物理ボタン、または認証済みスマートフォンからの承認を待つ仕組みを採っています。AIが「こう操作したい」と考える部分と、「本当に実行してよい」と許可する部分を別のチップに分けているのです。
AIに力仕事は任せる。でも最後の決定権は渡さない。
自動化の便利さを享受しながら、重要な瞬間では自分自身がハンドルを握る。この距離感は、PC操作型AIを日常的に使ううえで非常に重要でしょう。

ローカルAIを内蔵し、画面情報をむやみにクラウドへ流さない
VIOLOOP内部にはRK3576オクタコアプロセッサーと専用AIアクセラレーターを搭載し、合計26 TOPSのAI演算性能を備えています。メモリは8GB LPDDR4Xと5GBの3DスタックDRAMを合わせた13GB、ストレージは128GB eMMC 5.1。Qwen 8B Q4クラスのモデルをデバイス上で動かし、画面認識、記憶、簡単な質問や提案、短いタスクなどをローカルで処理できます。
重要なのは、生の画面映像を常時クラウドへストリーミングする仕組みではないこと。完全ローカルモードではタスク内容もデバイス内に留まり、より大きなモデルが必要な処理では、利用方法に応じて必要な文脈だけが外部モデルへ渡されます。自分のローカルモデルやAPIキーを利用する選択肢も用意されています。
AIが画面を見る時代だからこそ、「どれほど賢いか」だけでなく「どこで処理しているか」まで選べる。この安心感は見逃せません。

小さな筐体に、AI専用コンピューターとしての機能を凝縮
本体サイズは約90×92×80mm、重量約450g。デスクの一角に置けるコンパクトな筐体ながら、AMOLEDタッチスクリーン、デュアルバンドWi-Fi、Bluetooth 5.2、音声操作機能などを備えています。PCとはHDMIとUSB、または映像出力対応USB-Cで接続。標準的なキーボード/マウスとして認識されるため、専用ドライバーを入れて各アプリを一つずつ対応させる考え方とは異なります。一方で、ファイル操作やスクリプト実行などの機能にはPC・スマートフォン用のコンパニオンアプリを利用します。
見た目は小さなデスクトップデバイス。しかし実際に担う役割は、自分のPCを横で見ながら、必要なときだけ手を伸ばしてくれるもう一人のオペレーターに近いものです。

まとめ
VIOLOOPの魅力は、AIモデルの性能競争だけを追いかけていないところにあります。
画面を見る。状況を理解する。次の操作を考える。複数のアプリをまたいで実際に手を動かす。そして重要な瞬間だけ、人間に判断を返す。
これまで人がAIに合わせて、画面の状況を説明し、回答をコピーし、別のアプリへ貼り付け、最後のクリックまで担当してきました。VIOLOOPは、その関係を少し逆転させます。
メール、ブラウザ、表計算、ファイル整理、フォーム入力、定型業務。PCの前で毎日繰り返している「考えるほどではない。でも、やらなければ終わらない仕事」が多いほど、この一台の存在感は大きくなるはずです。
AIに相談するだけではなく、AIと同じPCで、本当に仕事を分担する。
VIOLOOPは、そんな次のPC体験をデスクの上へ持ち込むAIデバイスです。










