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家庭用UVプリンターとは?できること、本体以外の費用、インクの安全性

スマホケースや木、金属に直接印刷でき、厚みのある凹凸も作れるUVプリンター。家に置く前に知っておきたい費用と、インクの扱い方をまとめました。

Modern-G 編集部更新 約13分で読めます
プリントヘッドから落ちたインクの粒が、紫外線の光を受けて固まり、薄い層となって少しずつ積み重なっていく様子を線で描いた、抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

スマートフォンのケースや木のコースター、金属のカードに、写真やロゴを直接印刷できる。表面を少し盛り上げて、触ってわかる凹凸まで作れる。そんな「UVプリンター」が、家庭やSOHOに置けるサイズで出てきました。

ただ、本体価格はまだ数十万円。インクや交換部品の費用も、インクの扱い方も、紙のプリンターとは別物です。ここでは、仕組みとできること、本体以外にかかる費用、そしてeufyMake E1用インクの安全データシート(SDS)に書かれている注意点を、業務用の小型機とも比べながら整理します。

読み終えるころには、「自分の作りたいものに、この費用と手間が見合うか」を判断できるはずです。

UVプリンターとは?インクを紫外線で「その場で固める」印刷機

UVプリンターは、紫外線(UV)を当てると固まるインクを使うインクジェットプリンターです。Roland DGは、UV光でインクを瞬時に硬化させることで、さまざまな素材にダイレクトプリントできると説明しています。

紙のプリンターは、インクを紙に染み込ませて乾かします。UVプリンターは、素材の表面に吹き付けたインクを、すぐそばのUVライトで固めます。染み込まない素材にも定着するので、プラスチック、金属、木、ガラス、革のような「紙以外のもの」に直接印刷できるわけです。

プリントヘッドがインクを吹き付け、すぐ横のUVライトがその場で固める流れを示した模式図。同じ場所に層を重ねると、表面が盛り上がって3Dテクスチャになる。eufyMake E1の最大の厚みは5mm。
吹き付けて、すぐ固める。重ねると凹凸になる(模式図)Modern-G作図

インクはCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色に、ホワイトと、クリアやグロスを組み合わせるのが一般的です。ホワイトは透明や濃い色の素材に色を乗せる下地に、クリアやグロスはツヤや保護に使います。素材によっては、密着をよくするプライマー(下塗り剤)を使う機種もあります。

家庭用UVプリンターで何ができる?素材と「3Dテクスチャ」

印刷できる素材

Anker Japanの製品ページによると、eufyMake UV Printer E1が対応する素材は、プラスチック、紙、皮革、木材、アクリル、金属などです。メーカーのグローバルサイトは「300種類以上の素材」に対応するとうたい、ガラス、陶器、石、キャンバス、布なども例に挙げています。

身近な用途に置き換えると、スマホケースやタブレットケースへのオリジナル柄、木やアクリルのコースターやキーホルダー、金属のカードやボトル(円筒形は回転アタッチメントを使う)といったところでしょう。小さな物販向けの雑貨やノベルティの試作にも向いています。

ただし「対応素材」は、どんな表面にもそのまま定着するという意味ではありません。表面の加工や油分によっては、下地処理やプライマーが必要になる場合があります。手持ちの素材が使えるかは、メーカーの素材リストやサポートで確かめるのが確実です。

3Dテクスチャ印刷とは

UVプリンターはインクをその場で固めるため、同じ場所に何層も重ねると、表面を盛り上げられます。これを「3Dテクスチャ」や「レリーフ印刷」と呼びます。油絵の筆跡や革の質感、点字のような凹凸を表現する用途です。

E1の仕様では、3Dテクスチャの最大の厚みは5mm、解像度は最大1,440dpiです。厚く盛るほどインクと時間を使う点は覚えておきましょう。eufyMakeは1個あたりのインク代の目安を米ドルで示しており、平面印刷より3Dテクスチャのほうが高くなるとしています(例示はメーカーの試算)。

ここで気になってくるのが、お金の話です。

費用は本体だけでは終わらない:インク・ヘッド・資材

UVプリンターの費用は、本体、インクなどの消耗品、壊れやすい部品の交換、使いたい用途に応じたアタッチメントの4つで考えると整理しやすくなります。Anker Japan公式ストアの表示価格(税込、2026年10月22日確認)は次のとおりです。

項目製品公式価格(税込)
本体EufyMake UV Printer E1329,900円
本体+消耗品同 ベーシックセット(UVインク6色・クリーニングカートリッジ、UVプロテクトゴーグルなど付属)379,800円
インクUVインク・クリーニングカートリッジセット(CMYK・ホワイト・グロス各1本)29,990円
交換部品プリントヘッド119,900円
用途別ロータリーアタッチメント(円筒形向け)/フィルムアタッチメント49,990円/69,990円

※本体・ベーシックセット・インクセットは2026年10月23日、プリントヘッドとアタッチメントは10月22日に確認。

Anker Japan公式ストアの税込価格を横棒で比べた図。本体329,900円、プリントヘッド119,900円、フィルムアタッチメント69,990円、ロータリーアタッチメント49,990円、インクセット29,990円。
本体以外にかかる主な費用(Anker Japan公式ストア、税込、2026年10月確認)Modern-G作図

インクには使用期限がある

見落としやすいのがインクの期限です。eufyMakeの公式ブログは、UVインクの使用期限を製造からおおむね12〜15か月としています。古くなると成分が沈殿・分離し、目詰まりや、ひどい場合はプリントヘッドの故障につながるおそれがあるといいます。

E1は以前、期限切れのインクでは印刷できない仕様でしたが、ソフトウェアの更新で、警告を表示したうえで続行を選べるようになりました。それでもメーカーは期限切れインクの使用をすすめていません。Anker Japanのインクのページも、規定の温度範囲外で保管すると、インクの変質やヘッドの目詰まりを招くおそれがあると注意しています。

つまり、たまにしか使わない人ほど、インクを使い切れずに買い直すことになりがちです。購入前に「月に何回、何個くらい作るのか」を考えておくと、費用を見積もりやすくなります。

プリントヘッドは「消耗品に近い部品」

UVプリンターでいちばん高い交換部品はプリントヘッドです。E1のヘッドは単体で119,900円と、本体の3分の1を超えます。ベーシックセットの製品ページには「プリントヘッドの保証は3ヶ月のみ」と明記されています。インクを長く放置しない、定期的にクリーニングする、といった基本の手入れが、そのまま費用の差になります。

E1は自動クリーニング機能(JetClean)を備えるとメーカーは説明しています。Anker Japanでは、保守サービスの「サポートパッケージ」(79,990円)も販売されています。

置き場所・換気・安全:E1用インクのSDSを読む

費用と並んで気になるのが安全面です。ここでは、化学品の危険性と取り扱いをまとめた「安全データシート(SDS)」を手がかりにします。Anker Japanは、E1用の各色インクやクリーニングカートリッジのSDSを公式サイトで公開しています。

E1用インクのSDSに書かれていること

参考にしたのは、シアン(V7250)とホワイト(V7290)のSDSです。どちらもJIS Z 7253に準拠した日本語版で、第三者機関のSGSが2026年に作成したものです。注意喚起語はいずれも「危険」。シアンの主成分はアクリル酸エステル類(テトラヒドロフラン-2-イル=アクリラートが30〜60%など)です。

シアンのGHS分類(化学品の危険有害性の国際的な分類)は次のとおりです。

  • 皮膚腐食性/刺激性 区分1C、眼に対する重篤な損傷性 区分1
  • 皮膚感作性 区分1A(アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ)
  • 急性毒性(経口)区分4、水生環境有害性 区分1

ホワイトはこれに加えて、急性毒性(経皮)区分3、発がん性 区分2、特定標的臓器毒性(反復ばく露)区分1などに分類されています。色によって分類が違うので、手元のインクごとにSDSを確かめてください。

取り扱いについては、換気の良い場所で使うこと、保護手袋・保護衣・保護眼鏡を着けること、取り扱い後は石けんと水で手を洗うことを求めています。眼の保護具はケミカルゴーグルを挙げ、手袋については、天然ゴムやブチルゴムなどの製品はエステル類に使わないよう注意しています。

皮膚や髪に付いたときは、すぐに多量の水で洗い、汚れた衣類を脱ぐこと。眼に入ったときは、まぶたを開いて少なくとも15分間は流水で洗い、すぐに医師の診察を受けること。飲み込んだときは無理に吐かせないことも書かれています。

保管は、元の容器のまま、38℃未満の換気の良い冷乾所で、施錠して保管するよう求めています。

固まる前のインクに触れないことが基本

SDSが注意しているのは、主に固まる前の液体インクです。家庭で液体のインクに触れやすいのは、カートリッジの交換、クリーニング、印刷面からはみ出したインクの拭き取りといった場面です。

編集部としては、手袋は手近なものではなく、SDSの注意に合う材質のものを用意すること、作業中は付属のゴーグルや保護メガネを着けることをすすめます。E1のベーシックセットには「UVプロテクトゴーグル」が付属しています。小さな子どもやペットの手が届かない場所での保管も、施錠の指示から考えれば欠かせません。

換気と、UV光・においへの配慮

メーカー側も対策をうたっています。eufyMakeは、E1の筐体がUV光を遮り、空気ろ過の仕組みでにおいとVOC(揮発性有機化合物)を減らすと説明しています。インクは、室内への化学物質の放散が少ない製品に与えられるGREENGUARD Gold認証を取得しているとしています(認証の対象はインクで、本体ではないとメーカー自身が注記しています)。

業務用の小型機も同じ方向です。Roland DGは、VersaStudio BDシリーズについて、UV光が漏れにくい全面カバーと、脱臭ユニットの内蔵を特長に挙げています。

ただ、認証やフィルターは「換気しなくてよい」という意味ではありません。SDSは換気の良い場所での使用を前提にしています。置き場所は、寝室や子ども部屋ではなく、窓を開けたり換気扇を回したりできる作業スペースが向いています。E1の本体は約590×250×407mm、約20kgあるので、しっかりした台も必要です。

廃インクと拭き取り布の捨て方

E1用インクのSDSは、内容物や容器を自治体の規制に従って処分するよう求め、廃棄については都道府県・市町村に問い合わせるよう書いています。器具の洗浄に使った水も排水路に流さないこと、とされています。使い切ったカートリッジやインクを拭いた布の捨て方は、メーカーとお住まいの自治体に確認してください。

家庭用と業務用の違い:eufyMake E1と小型業務機

「家庭用」と「業務用の小型機」は、価格も前提も大きく違います。各社の公式情報をもとに比べると、次のようになります。

機種最大印刷サイズ高さ・厚み公式価格想定する使い方
eufyMake E1(Anker)約420×330mm(仕様表は約420×300mm)3Dテクスチャ最大5mm329,900円(税込、本体)個人・小規模の制作
VersaStudio BD-12(Roland DG)305×210mm(A4)対象物の高さ最大102mm2,178,000円(税込)店頭・ホームオフィス・教育
VersaStudio BD-8(Roland DG)210×148mm(A5)対象物の高さ最大102mm1,628,000円(税込)同上
UJF200-3042(ミマキ)420×300mm(A3相当)対象物の厚み最大250mm約320万円(税別)ノベルティ・工業製品の加飾

ミマキのUJF200シリーズは2026年9月に発表され、10月から販売を始める予定と案内されています。Roland DGのBDシリーズの価格には、年間保守契約やインク、運送・設置費は含まれません。

業務用機の強みは、厚みのある物への対応、保守体制、インクの種類の多さです。E1は価格を抑えた代わりに、保守はサポートパッケージや自分での手入れが中心になります。「売り物を毎日作る」なら業務用機の見積もりも取り、「週末に作品を作る」ならE1のようなパーソナル機、と考えるとわかりやすいでしょう。

Modern-Gのカタログでも、eufyMake E1をクラウドファンディング発の製品として紹介しています。Kickstarterの公式ブログによると、E1のキャンペーンは約4,676万ドルを集め、同サイトで史上最も多くの資金を集めたキャンペーンになりました。現在はAnker Japanの公式ストアなどで一般販売されています。

選び方:買う前に確かめたい6つのこと

ここまでの話を、購入前のチェックリストにまとめます。

  1. 印刷したい物のサイズと高さ。平面だけか、ボトルのような円筒形もあるか(円筒形は回転アタッチメントが必要な場合がある)。
  2. 使いたい素材に対応しているか。プライマーや下地処理が要るか。
  3. 1か月に使うインクの量と、インクの使用期限。使い切れる頻度で使うか。
  4. プリントヘッドの価格と保証期間、保守サービスの有無。
  5. 置き場所の換気、作業台の耐荷重、手袋とゴーグルを置いておける場所。
  6. インクのSDSを入手できるか。日本語の取扱説明書とサポート窓口があるか。

キャラクターやブランドのロゴを印刷して販売すると、著作権や商標の問題になりえます。物販を考えている人は、使うデザインの権利も確認しておきましょう。

UVプリンター以外の選択肢

「写真をシールにしてケースに貼れれば十分」なら、より手軽な機器もあります。たとえばLiene PixCut S1は、写真をシールに印刷して切り抜けるフォトステッカープリンターです(キャンペーンや販売の状況はリンク先で確認してください)。

立体物そのものを作りたいなら家庭用3Dプリンター、木や革に模様を焼き付けたいなら家庭用レーザー彫刻機が候補になります。紫外線でレジンを固めてフルカラーの立体物を造形するHeyGears G1 Seriesのように、UV硬化の技術を立体造形に使う製品もあります。

クラウドファンディング発の機材を支援で手に入れる場合は、出荷時期や国内サポートの体制も確認が必要です。注意点はクラウドファンディングのリスクでまとめています。

よくある質問

家庭用UVプリンターは普通の部屋に置いても大丈夫ですか?

置けないわけではありませんが、換気できる場所を選んでください。E1用インクのSDSは、換気の良い場所での使用と、保護手袋・保護眼鏡の着用を求めています。寝室や、子どもやペットが近づく場所は避けるのが無難です。

スマホケースに印刷したインクは、手で触っても平気ですか?

SDSの注意の中心は、固まる前の液体インクです。十分に硬化した印刷面の安全性は、機種やインクごとにメーカーの説明を確認してください。食品や口に触れる物への印刷は、メーカーが用途として認めているかを必ず確認しましょう。

インクはどれくらいもちますか?

eufyMakeは、UVインクの使用期限を製造からおおむね12〜15か月としています。期限を過ぎたインクは目詰まりやヘッド故障の原因になりうるため、メーカーは使用をすすめていません。

まとめ:「何を、どれくらい作るか」で決める

家庭用UVプリンターは、紙以外のものに直接印刷し、凹凸まで作れる面白い道具です。その一方で、本体329,900円(eufyMake E1、税込)に加えて、インク、プリントヘッド、アタッチメントと、使い続けるための費用がかかります。インクには使用期限があり、SDSは皮膚感作性などの注意と、換気・手袋・保護眼鏡・施錠保管を求めています。

週末の作品づくりや小さな物販の試作を、月に何度か続けられる人には、E1のようなパーソナル機が現実的な選択肢です。毎日たくさん作るなら、保守込みの業務用機を見積もるほうが結果的に安くつくかもしれません。たまにシールを作れれば十分という人は、フォトステッカープリンターのような軽い道具から始めるのも手です。

立体物を作る道具と比べたいなら家庭用3Dプリンターの記事、素材に模様を刻むなら家庭用レーザー彫刻機の記事が次の一歩になります。

Related Reading家庭用3Dプリンターの始め方できること・費用・置き場所と安全

Sources

  1. Anker Japan「EufyMake UV Printer E1」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  2. Anker Japan「EufyMake UV Printer E1 ベーシックセット」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  3. Anker Japan「EufyMake UVインク・クリーニングカートリッジセット (CMYKWG各色1本)」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  4. Anker Japan「UVプリンター」製品一覧 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  5. eufyMake「eufyMake UV Printer E1」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  6. eufyMake「eufyMake E1」製品ページ (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  7. eufyMake公式ブログ「Bidirectional printing and expired ink flexibility」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  8. Anker Japan「eufyMake SDS」 (2026年10月23日確認)(新しいタブで開きます)
  9. Anker Japan「安全データシート UV Ink Cartridge (C) V7250」(JIS Z 7253準拠、SGS作成) (2026年10月23日確認)(新しいタブで開きます)
  10. Anker Japan「安全データシート UV Ink Cartridge (W) V7290」(JIS Z 7253準拠、SGS作成) (2026年10月23日確認)(新しいタブで開きます)
  11. Kickstarter「EufyMake's Printer Surges to $46.7 Million — Setting a New Crowdfunding Record」 (2026年10月23日確認)(新しいタブで開きます)
  12. ミマキエンジニアリング「安全データシート LUS-170 Cyan」(中毒110番の連絡先の出典)(2025年11月25日改訂) )_JP_Ver.2.0.pdf (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  13. ミマキエンジニアリング「SDS情報」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  14. ミマキエンジニアリング「UJF200シリーズ」発表 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  15. Roland DG「UVプリンター」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  16. Roland DG「VersaStudio BDシリーズ」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  17. UL Solutions「GREENGUARD Certification」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)

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