Kickstarterで注目を集める「Tempore Lux Aquatic Pro 600 Limited Edition」は、伝統的なダイバーズウォッチのDNAを受け継ぎつつ、現代的な機能美を追求した450個限定の逸品だ。スイス製ムーブメントを搭載し、水深600メートルの耐圧性能を備える一方、ダブルクラウンコンプレッサーウォッチのクラシックなデザインが特徴的。プロジェクトページによれば、これは「歴史的なダイビングツールの再解釈」をコンセプトに、実用性とビンテージの雰囲気を両立させることに成功している。海への挑戦精神と職人の技術が結晶した本作は、コレクターだけでなく実用的なダイビング愛好家の心も掴む仕様だ。
Tempore Lux Aquatic Pro 600の特徴
本作の中核を成すのは、スイス製の自動巻きムーブメント「LJP-G101」である。68時間のパワーリザーブを保持し、精度と信頼性を両立。ケースデザインは、1960年代のダイバーズウォッチにインスパイアされたダブルクラウン構造を採用しており、上部クラウンは時刻調整用、下部クラウンは内部ベゼル操作用として機能する。このベゼルは120クリックのユニディレクショナル回転を実現し、ダイビング時のタイムカウントに最適な操作性を提供する。
文字盤は、深みのあるブラックを基調とし、インデックスにはヴィンテージ調のクリームカラーが施される。針とインデックスには高輝度のルミノバ塗料が塗布され、暗所での視認性を確保。サファイアクリスタルガラスの採用により、耐傷性と視認性の両面で優れた性能を発揮する。
ケース素材にはステンレススチールが用いられ、鏡面研磨とサテン仕上げの組み合わせで高級感を演出。直径42mmのケースサイズは、現代的な着け心地を追求しつつ、クラシックなバランスを保っている。
耐圧性能は600メートル（60気圧）に対応し、プロフェッショナルダイビングの要件を満たす。プロジェクトページでは「厳格な防水テストを実施」と明記され、実際の使用環境での信頼性を強調。ストラップはステンレススチールブレスレットとレザーの2バリエーションが用意され、工具不要で簡単に交換可能なクイックチェンジシステムを搭載している。
限定生産ならではのこだわりとして、ケースバックには個別のシリアルナンバーと「LIMITED EDITION 450/450」の刻印が施される。プロジェクト支援者向けには、特別デザインの収納ケースとメンテナンスツールが同梱される予定だ。
将来性
Tempore Luxブランドは、本プロジェクトを「クラシックダイバーズウォッチ復興の第一歩」と位置付ける。現時点で公式に明記されている将来構想としては、限定モデルの成功を基盤としたシリーズ展開が示唆されている。プロジェクトページでは「次世代モデル開発の可能性」に言及しつつ、支援者コミュニティとの連携強化を図る方針をほのめかしている。
環境配慮に関する具体的な記述はないものの、持続可能な生産プロセスへの関心はプロジェクトのコメント欄で一部言及。今後の展開次第では、素材のリサイクル率向上やエコフレンドリーな包装の採用が期待される分野だ。
結び
Tempore Lux Aquatic Pro 600は、歴史的なデザイン言語と現代の技術基準を融合させた稀有な存在である。ダブルクラウンやヴィンテージインデックスといった細部へのこだわりが、単なる「復刻」を超えた説得力を持つ。Kickstarterというプラットフォームを通じた直接的な支援募集は、ブランドが「真の時計愛好家との対話」を重視する姿勢の表れだろう。限定450本という数量が示す通り、これは大量生産時代における「本物の機械式時計」の価値を再定義する挑戦である。海という厳しい環境でその性能を証明する本作は、所有する者に「道具としての信頼性」と「芸術品としての美しさ」を同時に提供する。
