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日本のゲーム会社は生成AIをどう使う?2025年の「51%」調査と各社のその後

「過半数がAI導入」と報じられた2025年の調査は、生成AIだけの数字ではありませんでした。1年後のいま、各社は生成AIを裏方では使い、表に出る素材には慎重という線を引き始めています。

Modern-G 編集部更新 約7分で読めます
藍色の地に等角投影のタイルが並び、線だけの下書きのタイルと青緑の立体のタイルが混ざる抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

2025年9月、東京ゲームショウの開幕に合わせて「日本のゲーム会社の過半数がAIを導入」というニュースが流れました。Modern-Gも9月29日にこの話題を紹介しています。

2026年10月29日に元の報道と各社の発表を確かめ直すと、51%は生成AIだけの数字ではなく、調査資料の名前も違っていました。そしてこの1年で、各社は生成AIを「どこで使い、どこでは使わないか」を公に語るようになっています。この記事では、2025年の数字の正しい読み方と、主な会社の姿勢の変化を日付つきで整理します。

2025年の「51%」は何の数字だったのか

数字の出どころは、東京ゲームショウを主催するコンピュータエンターテインメント協会(CESA)の「CESAゲーム産業レポート2025 プレビュー版」です。日本経済新聞が2025年9月25日に内容を報じました。旧記事は「2025 CESAゲーム白書」と書いていましたが、CESAはゲーム白書の刊行を2023年で終え、2024年からは「ゲーム産業レポート」に切り替えています。

日経によると、2025年6〜7月に会員企業198社へアンケートを行い、ゲーム開発に人工知能(AI)や生成AIを活用している企業が51%でした。用途はキャラクターなどの映像や画像の制作が最も多く、ストーリーや文章の生成、プログラミング支援も目立ったとされています。32%の企業は、AIを活用して独自のゲームエンジンを開発していました。

旧記事は「51%が生成AIを導入」と書いていましたが、日経の書き方は「AIや生成AI」で、生成AIだけを数えた数字ではありません。CESAは、生成AIの活用状況を調べたのは2026年の調査が初めてだとしています。回答した企業の数は、英語圏のAUTOMATONが54社と伝えており、198社は調査の対象数とみられますが、CESAの資料が一般公開されていないため確かめられませんでした。

2025年時点で公表されていた各社の使い方

旧記事が挙げた4社の事例は、それぞれ出どころと時期が異なります。

レベルファイブは、2023年12月11日に内閣府の「AI時代の知的財産権検討会」で資料を示し、画像生成AI「Stable Diffusion」をレイアウトや美術の案出し、背景の作成に使っていることを公表しました。電ファミニコゲーマーの報道では、ChatGPTなどもキャラクターやクエストの案出しに使っていました。

カプコンの事例は、Google Cloudが2025年1月17日に公開した導入事例です。ゲームの中に置くテレビやポスターのような小物は、実在の商品をそのまま使えないため、形やロゴを考える必要があり、1本のタイトルで数十万のアイデアが要るといいます。カプコンの担当者は、Gemini ProやGemini Flash、Imagenを使ってアイデアを大量に出す仕組みを「まだ試験運用中」と説明していました。完成した素材を作るのではなく、案出しの段階での利用です。

セガの「生成AI委員会」は、2025年7月のゲーム開発者向けカンファレンスCEDEC 2025の講演で紹介されたものです。4Gamerの報道によると、委員会は2024年4月に最初のガイドラインを社内に出し、開発ではコード生成や画像生成、モーション生成を内部のテスト用途に使っていると説明しました。

任天堂の古川俊太郎社長は、2024年6月27日の株主総会で、生成AIは「よりクリエイティブなこともできますが、一方で、知的財産権に関する問題等も有していると認識しています」と答えています。技術には柔軟に対応しつつ、技術だけでは生み出せない価値を届けたい、という回答でした。

1年で見えてきた「線引き」

日本のゲーム会社が生成AIを使う場所と使わない場所を示す図。裏方のアイデア出し・検証・QAでは、カプコン、スクウェア・エニックス、セガ、レベルファイブが活用や検証を公表している。表に出る素材では、カプコンが実装しない方針、レベルファイブが映像での直接使用を避ける方針、セガが慎重な姿勢を示し、任天堂は知的財産の課題を指摘している。
各社の公表内容による整理(模式図)。カプコンIR、Google Cloud、スクウェア・エニックスHD、4Gamer、VGC、ITmedia、任天堂の株主総会質疑応答による(2026年10月29日確認)Modern-G作図

2025年秋以降、各社は使い方の範囲をより具体的に示すようになりました。

カプコンは2026年2月の個人投資家向け説明会の質疑で、「生成AIで生み出した素材をゲームコンテンツには実装しません」と答えました。一方で、開発の効率化や生産性の向上には積極的に使う予定で、グラフィック、サウンド、プログラムの各職域で活用方法を検証しているとしています。

スクウェア・エニックスは2025年11月6日、東京大学の松尾・岩澤研究室と共同で、生成AIを使ったゲームのQA(品質保証)工程の自動化技術を開発していると発表し、2027年末までにQA・デバッグ作業の70%を自動化する目標を示しました。

レベルファイブは2026年9月10日のオンライン発表会で公開した映像やイラストに、AIが使われているのではという指摘を国内外から受けました。ITmediaによると、同社は9月17日の文書で、指摘の多くは手描きの簡略化や人的ミスで、ゲーム内容にAIの直接使用はないと説明しました。そのうえで「一部の映像において、安易なAI使用をしてしまった」と謝罪し、今後は「AIの使用を効率化の範囲内にとどめ、ユーザーに直接届ける映像ではAIの直接使用を避ける」としています。

任天堂は2026年6月26日の株主総会で、生成AIには「知的財産権や消費電力などの面で課題を有している」と答え、生成AIの使用の有無にかかわらず自社のIPを侵害するものには対応する方針を変える予定はないと述べました。セガについては、2026年10月6日にVGCが日経のインタビューを引用し、パブリッシングや管理部門では効率化にAIを使う一方、ゲーム開発での利用には「非常に慎重」で、ゲームの創造的な部分はAIに任せていない、という幹部の発言を伝えています。

編集部としては、各社の発言を並べると、開発の裏方(アイデア出し、検証、QA)では使い、プレイヤーの目に触れる素材には使わないか慎重にする、という線引きがおおむね共通してきたと見ています。著作権への懸念と、プレイヤーの受け止めの両方が理由に挙げられています。

その後の動き(2026年10月時点)

時期出来事
2025年9月1日AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)が全面施行
2025年10月27日CODAがOpenAIに、動画生成AI「Sora 2」で会員社の作品を無許諾で学習しないよう要望
2025年11月6日スクウェア・エニックスがQA作業の70%自動化目標(2027年末)を発表
2026年2月カプコンが「生成AIで生み出した素材をゲームに実装しない」と回答
2026年3月27日OpenAIがCODAに、Sora 2の提供終了を報告
2026年6月26日任天堂の株主総会で、生成AIの知的財産権と消費電力の課題に言及
2026年9月17日CESAの2026年調査で、回答したゲーム開発者など1,349人の85.8%が業務に生成AIを活用
2026年9月17日レベルファイブが映像でのAI使用について謝罪し、方針を表明

CESAの「ゲーム産業レポート2026 プレビュー版」(2026年9月17日)によると、調査「ゲーム開発者の就業とキャリア形成 2026」(インターネット調査、2026年5〜8月、商業ゲーム開発者を主な対象とし、教育関係者・学生の回答も含む有効回答1,349)で、生成AIを業務で活用している人が85.8%でした。

別の「2026 CESA 会員企業調査」(2026年6〜7月、会員企業220社が対象、この設問への有効回答は48社)では、生成AIに最も期待する効果は「業務効率化・生産性向上」でした。本編は2026年12月上旬に発刊される予定です。

英語圏では「51%から85.8%に増えた」と伝えた記事もありますが、2025年は企業単位でAI全般、2026年は開発者個人で生成AIを尋ねており、並べて比べることはできません。

法制度では、2025年6月に公布されたAI法が9月1日に全面施行され、2025年12月と2026年7月に人工知能基本計画が閣議決定されています。著作権については、文化庁が2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめており、ゲームを含むコンテンツ業界の団体CODAは、学習に許諾を求める立場をOpenAIに伝えました。

ゲームのハードや周辺機器はゲームのカテゴリーにまとめています。生成AIと著作権をめぐってはディズニーとユニバーサルのMidjourney提訴、作品の真正性については日本写真大賞の取り消し、ゲームを使ってAIを評価する研究はポケモンで測るAIの知性も参考になります。

Sources

  1. 日本経済新聞「ゲーム業界の平均年収723万円…」2025-09-25 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  2. AUTOMATON WEST「Over 50% of Japanese game companies use AI in development, according to Tokyo Game Show organizer」2025-09-27 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  3. CESA「調査・研究」(ゲーム産業レポートへの刷新) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  4. CESA「CESAゲーム産業レポート2026 プレビュー版」2026-09-17 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  5. 電ファミニコゲーマー「レベルファイブ、『イナイレ』などで実施した『AI活用術』を紹介」2023-12-13 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  6. Google Cloud 公式ブログ「カプコン:生成AIでアイデア出し」2025-01-17 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  7. 4Gamer.net「CEDEC 2025:セガの生成AIガバナンス」2025-08-09 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  8. 任天堂「第84期定時株主総会 質疑応答(要旨)」2024-06-27 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  9. 任天堂「第86期定時株主総会 質疑応答(要旨)」2026-06-26 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  10. カプコン「個人投資家向け会社説明会」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  11. スクウェア・エニックス・ホールディングス 中期事業計画の進捗 2025-11-06 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  12. ITmedia NEWS(レベルファイブの文書)2026-09-17 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  13. VGC「Sega claims it's being 'very cautious' about AI」2026-10-06 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  14. 内閣府「AI法」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  15. 内閣府「人工知能基本計画」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  16. 内閣府「AI関連トピックス」(人工知能基本計画(第Ⅱ期)2026-07-14閣議決定) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  17. 文化庁「AIと著作権について」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  18. CODA「OpenAI社に『Sora2』の運用に関する要望書を提出」2025-10-28 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  19. CODA「OpenAI社から『Sora2』サービス終了に関する報告を受領」2026-04-01 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)

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