日々の食卓をもっと豊かに。
そんな願いを、ついにAppleが本気で叶えにきた。

2025年春、AppleはiOS 18.4、iPadOS 18.4、そしてmacOS Sequoia 15.4のリリースと同時に、新たなサービス「Apple News+ Food」を公式にローンチした。これまで情報やニュースに特化してきたApple News+に、食という「最も人間らしい」領域が加わったことで、その魅力と活用シーンが一気に広がった。


Apple News+ Foodとは?──ニュースアプリに“レシピ”という革命

Apple News+ Foodは、Apple News+の有料サブスクリプションサービスの一部として提供される、食に特化した新機能だ。これまでのニュースや雑誌、新聞の配信という役割に加え、Appleはついに料理・食文化という分野に本格参入したことになる。

ユーザーに提供されるのは、数万件以上にも及ぶ膨大なレシピ群。ただし、単なるレシピ集ではない。Appleらしい洗練されたUI(ユーザーインターフェース)と、極めて実用的なインタラクティブ機能が随所にちりばめられており、まるでプロ仕様の料理アプリとニュースメディアが融合したような仕上がりになっている。


こだわり抜いたユーザー体験──Apple流「クックブック」の世界

Appleが設計したこの新機能には、料理初心者から上級者までが快適に使えるよう、細かな工夫が随所に施されている。たとえば、レシピの検索機能は非常にパワフルで、食材やジャンル、調理時間、食事の種類など、様々な条件でフィルタリングが可能。

気になるレシピを見つけたら、「保存」ボタンひとつでマイライブラリに追加できる。後日、いつでも、どこでも、iPhoneやiPad、Macからすぐにアクセス可能。つまり、日々の献立に悩む時間はぐっと短縮されるというわけだ。

さらに驚きなのが、“クッキングモード”という特別仕様の表示方法。このモードでは画面が全画面表示になり、レシピの手順が1ステップずつ明確に表示される。視認性が高く、キッチンで手が濡れていてもパッと確認できる。

材料リストも秀逸だ。各食材にはチェックボックスが付き、使用済みの材料をタップで消していけるので、ミスや抜け漏れが大幅に減る。また、任意の食材をタップすれば、そのステップで必要な分量を即座に確認できるのも非常に便利だ。

そして何より心憎いのが、調理時間の数字をタップするだけで、タイマーが自動で起動する点。料理中にiPhoneの時計アプリを探す必要はもうない。


食だけじゃない、食を巡る物語も──メディアの力で深まる体験

Apple News+ Foodのすごさは、ただレシピを提供するだけにとどまらない。Allrecipes、Bon Appétit、Food & Wine、Good Food、Serious Eatsなど、世界的に有名なフードメディアから提供されるコンテンツによって、食の世界はさらに豊かになる。

ここには、ローカルレストランのストーリー食材にまつわる文化的背景キッチン必需品のレビューや健康的な食生活のアドバイスなど、読み物としても優れた記事が満載されている。

つまり、Apple News+ Foodは「今夜の晩ご飯を決める」だけのツールではない。“食”を通じて人生の豊かさを広げる、知的好奇心を刺激するメディア体験でもあるのだ。


非サブスクでも楽しめる?──誰でも一部体験可能なオープン設計

このApple News+ Food、基本的には**月額12.99ドル(約1,950円)**のApple News+サブスクリプションユーザーがフルアクセスできる設計だ。しかし、Appleらしい“オープンさ”も忘れていない。一部のレシピや記事は、非サブスクライバーでも無料で閲覧可能になっている。

さらに、Apple One Premier(月額37.95ドル、約5,690円)に加入しているユーザーであれば、News+だけでなく、iCloud+、Apple Music、Apple Arcadeなども含まれるため、Appleエコシステムにどっぷり浸かっているユーザーには非常にコスパの良い選択肢と言えるだろう。


“読む”から“作る”へ──Appleが描く未来の食卓体験

Apple News+ Foodが示したのは、「読むためのアプリ」が「行動を起こすアプリ」に進化する未来の姿だ。

ニュースを読むだけだった場所に、“料理する”というアクションが入り込む。しかもそれは、Appleらしい洗練されたUIと、メディアパートナーとの濃密なコラボによって支えられている。

これまで紙のレシピ本や、動画サイト、SNSの投稿に頼っていた我々の日常は、いよいよ変わり始めている。これからは、知識も実践も、すべて一つのデバイスで完結する時代なのかもしれない。


結論:Apple News+ Foodは、食とテクノロジーの交差点

Apple News+ Foodは、ただの「便利なレシピアプリ」ではない。それは、食文化とテクノロジーの交差点で生まれた、新しいメディア体験だ。

食べるという本能的な行為に、Appleは情報、直感、体験、そしてデザインを融合させた。料理がもっと楽しくなり、もっと知的になる。そんな未来を、Appleが静かに、しかし確実に形にし始めている。

あなたのiPhoneやiPadの中に、次の“美味しい発見”が、すでに待っている。