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Featureシリーズ: Life Upgrade
モバイルバッテリーが熱くなるのは危険?使用を中止すべきサイン
温かいこと自体より、いつもと違う熱さかどうか。NITEや東京消防庁が挙げる「やめどき」のサインと、気づいたときにまずすることをまとめました。

かばんの中でスマホを充電していたら、取り出したモバイルバッテリーがほんのり熱い。このまま使っていいのか、それとももう危ないのか。触った瞬間の温度だけでは決めにくいのが、この悩みの難しいところです。
価格.comのクチコミ掲示板を見ても、パススルー充電でかなり熱くなるという感想、高い出力で充電したらバッテリーより充電器のほうが持てないほど熱くなったという相談、新品なのに充電できず一部だけ熱を持つという報告、買ったばかりのワイヤレス対応品が一日で膨らんだという報告などが並びます。熱の出方も、その意味もばらばらです。
手がかりになるのは、公的機関とメーカーの資料が「熱そのもの」ではなく「いつもとの違い」を基準にしている点です。
温かくなること自体は、メーカーも想定している
充電や給電の最中に本体が温かくなることは、メーカーの説明書にも書かれています。CIOはSMARTCOBY Pro SLIM SSの取扱説明書で、充電中は本製品とデバイスが発熱すると明記しています。
同社の別機種の説明書では、パススルー充電(バッテリー自身を充電しながらスマホにも給電する使い方)や複数台の同時充電で熱くなることがあるが、満充電に近づくにつれ通常の温度に戻る、と説明しています。ワイヤレス充電や2台同時充電で熱くなるのは異常ではない、とする説明書もあります。
つまりCIOの説明書が「異常ではない」とする熱には、同時充電、パススルー、ワイヤレスといった理由があり、充電が終わりに近づけば引いていきます。ここから読み取れるのは、理由のない熱、引かない熱は別物として扱うべきだということです。これは編集部の解釈ですが、次に見る公的な基準ともかみ合います。
なお、温度の数値で線を引く公的な目安は、今回確認した資料には見当たりませんでした。NITEの目安も「以前よりも異常に熱くなる」という比べ方です。手で触れた感覚を数字に置き換えようとするより、同じ使い方をしたときの「以前」と比べるほうが確かです。
公的機関が挙げる「やめどき」
NITE(製品評価技術基盤機構)は2026年7月の注意喚起で、次のような異常を見つけたら、発火につながるリスクが高くなっているとして充電・使用をやめ、販売店やメーカーに相談するよう求めています。
- 充電できない
- 不意に電源が切れる、急に残量がなくなる
- 充電中に以前よりも異常に熱くなる
- 膨らんで変形している
- 焦げたにおいや化学薬品のようなにおいがする
- 落としたりぶつけたりして、一部が変形・破損している
東京消防庁の一覧には「バッテリの減りが早くなった」も入っています。CIOの説明書も、異音、異臭、膨張、異常な発熱、内部からの液漏れがあれば直ちに使用を中止するよう書いています。NITEが紹介する事故事例には、かばんに入れて自転車で走っていたら異音がし、確かめると焼損していたケースもあります。
どれか一つでも当てはまれば、それがやめどきです。熱さに加えて膨らみやにおいが重なるまで待つ必要はありません。膨らみは押して戻そうとしないでください。NITEは、膨張を元に戻そうとして強い力が加わり、異常発熱して出火した事故があったと報告しています。
熱がこもる場所と、目を離す時間
NITEによると、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故2140件のうち、モバイルバッテリーは506件で最多でした。その約6割の297件が充電中(充電後およそ1時間以内を含む)に起きています。リチウムイオン電池搭載製品全体では、事故は春から夏にかけて気温とともに増え、8月にピークを迎えます。
東京消防庁管内では、2025年にリチウムイオン電池を搭載した製品からの火災が過去最多の382件(速報値)起き、充電中が174件、使っていない待機中も143件ありました。
事例には、布団の上で横になっていたら足元で充電中のバッテリーから火が噴き出し、居住者がやけどを負った火災が載っています。消費者庁も、使用中に本体が発熱・発煙して寝具が焦げたという情報を紹介し、充電は安全な場所で、なるべく起きている時に行うよう呼びかけています。NITEも、外出時や就寝時の充電を避け、周りに燃えるもののない場所で充電するよう求めています。
暑い日の車内も同じです。NITEはダッシュボードの上だけでなく座席の上も含めて車内全体が高温になるとし、車内に置いていたモバイルバッテリーが膨張・破裂して周囲を焼いた事例を挙げています。東京消防庁も、車内や鞄の中など熱のこもりやすい場所での使用を控えるよう呼びかけています。
衝撃と充電器の組み合わせ
NITEによれば、外からの衝撃で電池内部がショートすると、発煙や発火につながります。落下だけでなく、かばんの中で硬いものや重いものと一緒にする、ズボンの後ろポケットに入れて座る、といった日常の圧力も避けるべき例に挙がっています。
充電器については、東京消防庁が、製造事業者の指定する充電器を使い、接続部が合うからといって充電電圧を確かめずに使わないよう求めています。CIOの説明書は、USB充電器のプラグをコンセントの奥まで差し込まないと接触不良で火災などの原因になると注意しています。PSEマークの見方や海外通販品の扱いは、PSEマークの記事にまとめました。
熱い、膨らんだと気づいたら
NITEのチェックリストが示す手順は、次の3つです。
- 充電と使用をやめる
- 金属缶や土鍋など燃えない容器に入れる
- 購入した販売店かメーカーに相談する
あわせて、型番をNITEの「SAFE-Lite」や消費者庁のリコール情報サイトで調べておくと、相談の際に話が早く進みます。リコール対象品は、不具合がなくてもすぐに使用をやめるよう求められています。NITEの集計では、5年間のリチウムイオン電池搭載製品の事故のうち453件がリコール対象製品によるものでした。
煙や火花が出ているときは近づかないでください。東京消防庁によると、負傷者は初期消火のときに最も多く出ており、燃えている電池に直接触れたり、近づきすぎて炎にあおられたりしています。
火花が収まってから消火器や大量の水で消し、119番通報します。消火直後の電池は再び燃えるおそれがあるため、直接触れずに水を張ったバケツなどに沈めます。NITEは、対処が難しいと判断したら無理に消さず、身の安全を第一に119番通報するよう求めています。
飛行機では、持ち込める数や機内での扱いに別のルールがあります。飛行機持ち込みの記事にまとめています。
使えなくなったバッテリーの行き先
異常が出たバッテリーを、燃えないごみや燃えるごみに混ぜるのは避けてください。NITEは、リチウムイオン電池を一般ごみに混ぜず、自治体の回収区分やメーカー回収を確認するよう求めています。ただし、家電量販店などを窓口とする一般社団法人JBRCの回収は、破損や膨張などの異常がある電池を対象外としています。膨らんだり異常に熱くなったりしたものは使い続けず、出し方を自治体やメーカーに相談するのが確実です。
総務省の報道資料によると、2026年4月1日からモバイルバッテリーは資源有効利用促進法の「指定再資源化製品」に加わりました。手元の製品の回収窓口は、取扱説明書やメーカーのサイトで確かめられます。
なお、半固体電池などの「燃えにくい」とされるセルを使った製品でも、ここまでのサインの見方は変わらないと編集部は考えます。CIOも自社の半固体系セルについて、安全性は使用環境や条件によって異なると注記しています。
本記事は一般的な情報です。個別の製品の状態については、メーカーや販売店、緊急時は消防に相談してください。
Sources
- NITE(製品評価技術基盤機構)「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を ~『リチウムイオン電池搭載製品』は3つのCで事故を防ぎましょう!~」(2026年7月15日、確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- NITE 同プレスリリース資料(別紙1 参考データ、別紙2 チェックリストを含むPDF)(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 東京消防庁「リチウムイオン電池関連火災の件数が過去最多 ~令和8年中の発生件数が急増~」(2026年7月13日、確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 東京消防庁「リチウムイオン電池搭載製品の出火危険」(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 消費者庁「みんなの消費安全ナビ from 消費者庁」Vol.675「あなたのモバイルバッテリーは大丈夫?」(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 消費者庁 リコール情報サイト(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- NITE SAFE-Lite(リコール情報検索)(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 総務省「リチウムイオン電池等の回収・再資源化に関する調査<通知に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)>」(2026年8月27日、確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- CIO「SMARTCOBY Pro SLIM SS(CIO-MB35W2C1A-SSA10K-S)取扱説明書」(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- CIO「SMARTCOBY Pro SLIM 取扱説明書」(パススルー・同時充電時の発熱)(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- CIO「CIO-MB20W-5000-MAS 取扱説明書」(ワイヤレス充電・同時充電時の発熱)(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- CIO「SMARTCOBY Pro SLIM SS」製品ページ(半固体系セルに関する注記)(確認日2026-10-31)(新しいタブで開きます)
- 読者の声の例:価格.com クチコミ掲示板「Anker Prime Power Bank (27650mAh 250W)」高出力でバッテリーを充電した際の充電器の発熱についての相談(2025年4月)(新しいタブで開きます)
- 読者の声の例:価格.com クチコミ掲示板「Anker 621 Power Bank」パススルー時の発熱に触れた購入評価(2025年10月)(新しいタブで開きます)
- 読者の声の例:価格.com クチコミ掲示板「エレコム EC-C04BK」充電できず一部が熱くなるという報告(2025年8月)(新しいタブで開きます)
- 読者の声の例:価格.com クチコミ掲示板(モバイルバッテリー)海外で購入したワイヤレス対応品が一日で膨らんだという報告(2025年1月)(新しいタブで開きます)
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