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PSEマークとは?モバイルバッテリーや充電器を海外から買うときの注意
充電器やモバイルバッテリーを海外通販やクラファンで買う前に。PSEマークの見方と、2025〜2027年の制度変更を整理します。

海外通販で見つけた、驚くほど小さなGaN充電器。届いた箱を開けてみると、日本の量販店で買った充電器にはあった「PSE」のマークが見当たりません。これは使っていいのか、そもそも売っていいものなのか。
充電器やモバイルバッテリーの箱や本体にある、ひし形や丸の「PSE」マーク。その意味と、ひし形と丸形の違い、ガジェットごとに対象かどうかを、経済産業省の公開情報と電気用品安全法の条文をもとに整理しました。2025年12月に始まった海外事業者への規制と、2027年3月に予定されているモバイルバッテリーの規制強化も取り上げます。
読み終えるころには、海外から買う前に何を確かめればいいか、手元の製品をどう扱えばいいかを判断できるはずです。
PSEマークとは:電気用品安全法の「販売してよい」印
PSEマークは、電気用品安全法(電安法)にもとづいて、製造・輸入事業者が国の技術基準への適合などの義務を果たしたことを示す表示です。「PSE」は Product Safety of Electrical Appliances & Materials を表しています(経済産業省)。
電安法の目的は、電気用品による火災や感電などの危険を防ぐことです。そのために、製造・輸入事業者は事業開始から30日以内に国へ届け出て、製品を技術基準に適合させ、自主検査をして記録を保存しなければなりません。こうした義務を果たした事業者だけが、PSEマークを付けられます。
そして、製造・輸入・販売の事業者は、PSEマークのない電気用品を販売したり、販売目的で陳列したりしてはなりません(法第27条)。この販売制限に違反すると、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方の対象になります(法第57条)。つまりPSEマークは、売る側が守るべきルールの「目印」です。
マークの近くには、届出事業者の名称が表示されます。ひし形のマークの場合は、検査を行った登録検査機関のマークも表示されます(経済産業省)。この事業者名が、日本国内で製品の安全に責任を持つ相手を見分ける手がかりになります。
ひし形と丸形の違い
PSEマークには2つの形があります。
| 形 | 区分 | 確認の方法 | ガジェットでの例 |
|---|---|---|---|
| ひし形(◇PSE) | 特定電気用品(116品目) | 事業者の自主検査に加えて、登録検査機関による適合性検査が必要 | ACアダプター、USB充電器(直流電源装置)、電源タップ |
| 丸形(○PSE) | 特定電気用品以外の電気用品(341品目) | 事業者の自主検査 | モバイルバッテリー、リチウムイオン蓄電池 |
品目数は経済産業省の2026年2月の資料によります。特定電気用品は、長時間無監視で使うものや人体に直接触れて使うものなど、特に危険が生じるおそれが多い品目です。
ガジェット好きに身近なところでは、コンセントに挿して使うUSB充電器は「直流電源装置」にあたり、ひし形の対象です。経済産業省の解釈では、いわゆる充電器は直流電源装置に含まれるとされています。GaN(窒化ガリウム)を使った小型の充電器も、コンセントにつなぐ以上は同じ扱いです。
形の違いがわかったところで、手元のガジェットが実際に対象かどうかを見ていきましょう。
ガジェット別:対象になる製品・ならない製品
PSEマークが必要かどうかは「何を」「どうやって売るか」で決まります。よく買われる製品を整理すると次のとおりです。
| 製品 | 対象か | 補足 |
|---|---|---|
| USB充電器・ACアダプター | 対象(ひし形) | GaN充電器も同じ |
| モバイルバッテリー | 対象(丸形) | 2019年2月以降、マークのない製品は販売不可。2027年3月にひし形へ移行予定 |
| 交換用リチウムイオン電池(単体) | 一部対象(丸形) | 単電池1個あたり400Wh/L以上。自動車用・医療用などは除く |
| ポータブル電源(本体) | 対象外 | 付属のACアダプターは対象 |
| スマートフォンなど | 対象外の製品もある | 装着された電池は機器の一部として扱う |
モバイルバッテリーは、2018年の解釈改正で対象と明確になりました。ポータブル電源について、経済産業省は「現在、電気用品安全法の規制対象外」としています(2026年10月時点で確認できた資料による)。スマートフォンなどについては、NITE(製品評価技術基盤機構)が、PSEの対象となっていない製品もあると案内しています。
ポータブル電源は対象外とはいえ、リスクがないわけではありません。経済産業省は事故の増加を受けて2024年2月に安全性要求事項(中間とりまとめ)をまとめています。選び方はポータブル電源の記事で扱っています。製品の例としては、Modern-Gで紹介したAnker Solix C200 DCのページも参考にしてください。
モバイルバッテリーの中でも、電池を差し替えられるタイプは扱いが変わります。経済産業省のFAQでは、電池を取り外せる本体部分は対象外、装着される電池は対象とされています。
この対象の線引きは、ここ1年ほどで大きく動いています。次は、2025〜2027年の制度変更です。
2025〜2027年の制度変更:海外事業者規制とモバイルバッテリー
海外事業者も規制の対象に(2025年12月25日施行)
これまで電安法の義務を負うのは、日本国内の製造・輸入事業者でした。ところが、海外の事業者がオンラインモールなどを通じて日本の消費者に直接販売すると、責任を持つ国内事業者がいないケースが生まれていました。
そこで2025年12月25日に施行された改正法で、取引デジタルプラットフォーム(オンラインモール)などを使って日本の消費者に直接販売する海外事業者が「特定輸入事業者」として規制の対象になりました。主な内容は次のとおりです(経済産業省)。
- 特定輸入事業者は、届出、技術基準への適合確認、自主検査、PSEマークの表示の義務を負う
- 日本国内に住所があり日本語で対応できる「国内管理人」の選任が必要。選任しないまま届け出た場合、PSEマークを付けて販売できない
- 危険があるのに出品者がリコールなどの対応をしないとき、国はモールの運営者に出品削除などを要請できる
- 届出事項の公表、法令違反者の氏名などの公表制度もできた
JETROの解説によると、モール経由に限らず、自社ECサイトやフルフィルメントサービスを使って日本の消費者に販売する海外事業者も対象です。
モバイルバッテリーは2027年3月からひし形へ(予定)
経済産業省は2026年8月31日の審議会で、モバイルバッテリーの規制強化の方針を示しました。モバイルバッテリーの製品事故の報告は、2021年の51件から2025年には192件と約4倍に増えています。
方針案では、技術基準の強化、製造工程での品質管理の義務化に加え、国の登録を受けた第三者機関による適合性検査を義務づけ、現在の「○PSE」から「◇PSE」へ移行します。スケジュール案は、2027年2月までに政省令を公布し、2027年3月に施行、経過措置は1年です。詳細は今後決まるため、本記事も確定した時点で更新します。
使用済みモバイルバッテリーの回収(2026年4月〜)
資源有効利用促進法の改正により、2026年4月から、モバイルバッテリーなどの回収をメーカーなどの事業者に義務づける制度が始まったと報じられています(BCN+R、経済産業省への取材にもとづく)。同法の施行令には、リチウム蓄電池を部品として使う電源装置なども掲げられています。回収の窓口や方法は製品やメーカーによって違うため、実際に捨てるときは、後で紹介する自治体のルールとあわせて確認してください。
制度の流れを押さえたところで、いちばん気になる「海外で買った場合」を考えます。
海外通販・クラファンで買うとどうなる?
まず整理しておきたいのは、電安法の届出・表示・販売制限の義務は、製造・輸入・販売の「事業」を行う者に課されているという点です。一般の人が家庭で使うことを直接禁じる規定はありません(使用の制限を定めた第28条の対象は電気工事士などです)。
ただし、だから安全だということにはなりません。PSEマークがない製品は、日本の技術基準に適合しているかを誰も確認していない可能性があります。事故が起きたときに相談できる国内の事業者がいないこともあります。経済産業省の2026年8月の審議会資料では、製品事故に占めるインターネット通販経由の割合が19.4%から37.3%に増えたとされています。
自分で使うつもりで買った製品でも、繰り返し転売すると販売の「事業」にあたる可能性があります。経済産業省は、単品の輸入でも、その後も輸入が見込まれる場合などは事業とみなされることがあると説明しています。中古品でも、販売事業者にはPSEマークの確認が求められます。
クラウドファンディングでは、支援する時点で製品が完成しておらず、日本向けの届出や表示がどうなるかが決まっていないこともあります。編集部としては、キャンペーンページで「PSE」の記載が取得済みなのか予定なのか、日本向けの出荷を担う事業者がどこなのかを確認することをおすすめします。支援の流れはKickstarterの使い方、遅延や仕様変更のリスクはクラウドファンディングのリスクで扱っています。
Wi-FiやBluetoothを使う充電器・バッテリーなら、電波法の技適マークも確認が必要です。PSEは電気の安全、技適は電波のルールで、別の制度です。
購入前のチェックリスト
NITEのチェックリストと経済産業省の資料をもとに、編集部でまとめました。
- 本体(小さい製品はパッケージも)にPSEマークがあるか。形は品目に合っているか(充電器はひし形、モバイルバッテリーは現行では丸形)
- マークの近くに届出事業者名があるか
- 販売ページに、販売元の連絡先と日本語のサポート窓口があるか
- 似た製品と比べて極端に安くないか
- NITEの「SAFE-Lite」で、リコール情報が出ていないか
- 捨て方を買う前に確認したか
安全な使い方と処分
NITEによると、2021年から2025年の5年間に通知された「リチウムイオン電池搭載製品」の事故は2,140件でした。製品別ではモバイルバッテリーが最も多く、ポータブル電源の事故も増加傾向にあります。事故は気温が上がる春から夏に増え、8月にピークを迎えます。
NITEは、使うときの注意として次の点を挙げています。
- 暑い日の車内や直射日光の当たる場所に放置しない
- 落としたり、かばんの中で重いものの下敷きにしたりしない
- 外出中や就寝中の充電を避け、目の届くところで充電する
- 指定された充電器を使う
充電できない、急に電源が切れる、以前より熱くなる、膨らんで変形している、焦げたにおいがする、といった異常があれば使用をやめます。NITEは、金属缶や土鍋など燃えない容器に入れて、販売店やメーカーに相談するよう呼びかけています。発火した場合は、まず身の安全を確保し、消火器や大量の水で消火し、対処が難しければ119番に通報します。
捨てるときは、ふつうのごみに混ぜないでください。環境省は、家庭から出る不要なリチウムイオン電池や電池を使った製品は、住んでいる市区町村のごみ捨てルールに従って捨てるよう案内しています。自治体の公式サイトで「リチウムイオン電池」「モバイルバッテリー」と検索すると、回収方法を確認できます。
よくある質問
PSEマークのないモバイルバッテリーを持っているだけで違法ですか?
電安法の販売制限などは、製造・輸入・販売の事業者に向けた義務です。家庭で持っていることや使うこと自体を直接禁じる規定はありません。ただし安全性が確認されていない可能性があるため、膨らみや異常な発熱がないかを確かめ、異常があれば使用をやめてください。
ひし形と丸形、どちらが安全ですか?
形は安全性の優劣ではなく、品目の区分を表します。ひし形は特に危険が生じるおそれが多い品目で、第三者機関の検査が加わります。モバイルバッテリーは、2027年3月施行予定の制度改正でひし形の対象に移る方針です。
ポータブル電源にPSEマークがないのは問題ですか?
2026年10月時点で確認できた経済産業省の資料では、ポータブル電源は電安法の規制対象外とされています。本体にマークがないこと自体は制度上の問題ではありません。付属のACアダプターは対象になるため、そちらのマークを確認してください。
海外のショップから直接買った充電器は大丈夫ですか?
2025年12月25日以降、日本の消費者に直接販売する海外事業者は、特定輸入事業者として届出やPSEマークの表示などの義務を負います。マークと届出事業者名があるか、日本語の連絡先があるかを確認してください。
まとめ:マークは「売る側の責任者」を示す手がかり
PSEマークは、製品の安全を保証するお墨付きというより、日本の基準に合わせる義務を負った事業者がいることを示す印です。だからこそ、マークの形と一緒に、近くにある届出事業者名と国内の連絡先を見ることに意味があります。2025年12月からは海外の直販事業者も同じ義務を負い、2027年3月にはモバイルバッテリーがひし形に移る予定です。
毎日持ち歩くモバイルバッテリーや充電器なら、マークと事業者名、日本語の窓口がそろった製品を選ぶのがいちばん確実です。クラウドファンディングで支援するなら、日本向けの届出・表示が「取得済み」か「予定」かを確かめ、届いたら使う前に表示を見てください。手元の古いモバイルバッテリーが膨らんでいたら、使用をやめて自治体のルールに従って処分しましょう。
ポータブル電源を検討しているならポータブル電源の選び方を、海外のクラファン製品が気になっているならKickstarterの使い方もあわせてどうぞ。
Sources
- 経済産業省「電気用品安全法の概要」 (Internet Archive 2026-09-27 保存版で確認、2026-10-22)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「電気用品安全法の概要や義務について」(2026年2月) (Internet Archive 2026-03-05 保存版で確認、2026-10-22)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「海外事業者が製品安全4法の規制対象となりました」 (Internet Archive 2026-05-15 保存版で確認、2026-10-22)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省 消費経済審議会 製品安全部会 資料1「製品安全に関する取組について」(2026年8月31日) (Internet Archive 2026-09-23 保存版で確認、2026-10-22)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「リチウムイオン蓄電池の規制対象化に関するFAQ」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「電気用品安全法に関する質問について(ポータブルリチウムイオン蓄電池の対象非対象について)」(2019年10月11日) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「電気用品の範囲等の解釈 115 直流電源装置」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「行為内容の確認(届出・手続の流れ)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 経済産業省「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)について」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「電気用品安全法」(第2条、第27条、第28条、第42条の7、第57条) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「電気用品安全法施行令」(別表第一、別表第二) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律施行令」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- JETRO「家電製品の輸入手続き:日本」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- JETRO ビジネス短信「日本で製品安全4法改正、ネット取引と子供用製品の規制強化」(2025年3月) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- NITE「PSマガジン vol.506」(2026年8月7日) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- NITE「SAFE-Lite」(事故・リコール情報) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 環境省「リチウムイオン電池関係」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 消費者庁「消費者ホットライン」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 日本経済新聞「モバイルバッテリー、第三者機関の検査義務づけ 経産省が発火対策」(2026年8月31日) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- ITmedia NEWS「モバイルバッテリーがPSEマーク必須に マークがあれば安心なのか」(2019年2月12日) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- BCN+R「資源有効利用促進法の改正」関連記事(2026年2月14日) (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
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