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Featureシリーズ: Life Upgrade
Wi-Fi 6EとWi-Fi 7、今ルーターを買うならどちらがいい?
箱の「7」より先に見るのは、6GHz帯の有無と手元の端末。日本の制度とiPhone・Mac・PCの対応状況から、どちらを選ぶか、買い替えずにすむのはどんな家かを整理しました。
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TP-LinkのArcher BE400は、Wi-Fi 7ルーターとして売られている製品です。それでいて、6GHz帯の電波は出しません。公式の仕様にあるのは5GHzと2.4GHzの2つだけです。一方で、ひと世代前のWi-Fi 6Eのルーターは、6GHz帯を持つことが規格の条件になっています。
つまり「6Eか7か」という問いは、そのままでは答えにくいのです。先に結論を書きます。
6GHz帯に対応したスマホやパソコンがあり、マンションで近所の電波が混み合っているなら、6GHz帯を持つルーターを選ぶ意味があります。今から新品を買うなら、その中でもWi-Fi 7のトライバンド機を選ぶのが素直です。手元に6GHz対応の端末がなく、1ギガの光回線で今のWi-Fiに不満がなければ、デュアルバンドのWi-Fi 7で足ります。今のルーターのままでもかまいません。そして2階の部屋に電波が届かないという悩みは、規格を新しくしても解決しません。
Modern-Gはこの記事の製品を実機でテストしていません。制度は総務省の資料、端末の対応はメーカーの公式仕様(いずれも2026年10月31日確認)にもとづきます。速度の数字は、断りがない限り規格上の最大値です。
分かれ目は「6E対7」ではなく、6GHz帯があるかどうか
Wi-Fi 6Eは、新しい規格というより、Wi-Fi 6を6GHz帯に広げたものです。中身の通信方式はWi-Fi 6のままで、使える電波の通り道が1本増えます。6GHz帯は古い機器が入ってこない帯域なので、混雑しにくいのが利点です。
Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)は、通信方式そのものの世代が上がります。業界団体のWi-Fi Allianceは、主な新機能として、6GHz帯で使える320MHz幅のチャンネル、Wi-Fi 6の1024QAMより約20%速い4096QAM(4K QAM)、複数の帯域を同時に使うMLO(マルチリンクオペレーション)を挙げています。ここで大事なのは、Wi-Fi 7が2.4GHz帯と5GHz帯だけでも成り立つ点です。
その結果、店頭には次の3種類が並んでいます。6GHz帯を持つWi-Fi 6E、6GHz帯を持たないデュアルバンドのWi-Fi 7、6GHz帯を持つトライバンドのWi-Fi 7。比べるべき軸は、規格の数字よりも6GHz帯の有無のほうです。
6GHz帯にも弱点があります。周波数が高いぶん、距離と壁に弱い。INTERNET Watchの清水理史氏はArcher BE400のレビューで、6GHz帯は長距離の通信に弱く、遠くまで届かせるなら5GHz帯を強化した2.4GHz+5GHzの構成に分があると説明しています。6GHz帯は、ルーターのある部屋や隣の部屋で効く「近くて速い道」だと考えると、選び方を誤りにくくなります。
日本の6GHz帯でできること、まだできないこと
日本では2022年9月に、6GHz帯のうち5925〜6425MHzの500MHz幅が無線LANに開放されました。総務省の資料によれば、家庭で使われるのは屋内・低出力の「LPIモード」と、屋内外で使える超低出力の「VLPモード」です。米国やカナダでは7125MHzまでの帯域が無線LANに使われていますが、日本の家庭向けは500MHz幅にとどまります。
Wi-Fi 7の320MHz幅は、2023年12月22日の技術基準の改正で日本でも使えるようになりました。もっとも、500MHzの中に320MHz幅を取ると、置ける場所は2つで、しかも互いに重なります。隣の家も320MHz幅を使えば、逃げ場はほとんどないと考えられます。160MHz幅なら3本取れます。
「そのうち高い周波数も開くのでは」と考える人もいるでしょう。
2026年7月2日、情報通信審議会は6GHz帯の拡張について一部答申を出しました。ただし対象は、AFC(自動周波数調整)システムの指示に従って屋外でも高い出力で使う「SPモード」です。周波数は5925〜6425MHzと6570〜6870MHzで、工場、スタジアム、学校などでの利用が想定されています。総務省はこれを受けて関係規定を整える予定としていますが、10月30日に総務省の報道資料を確かめた範囲では、そのための省令改正はまだ出ていません。
2026年版の情報通信白書も、日本では6GHz帯で低出力の利用しか認められていないと書いています。今買う家庭用ルーターの価値を、この先の制度変更に賭ける理由は薄いと編集部は考えます。
手元の端末が、どこまで使えるか
ルーターだけが新しくても、つなぐ側が対応していなければ新しい道は使えません。Appleは、Wi-Fi 6EやWi-Fi 7の機能は6GHz帯を免許不要で使える地域に限られるとしています。日本はその地域に当たります。主な機種は次のとおりです。
| 端末 | 6GHz帯 | Wi-Fi 7 | 最大チャンネル幅 |
|---|---|---|---|
| iPhone 15 Pro / 15 Pro Max | 対応(6E) | 非対応 | 160MHz |
| iPhone 16 / 16 Plus / 16 Pro / 16 Pro Max | 対応 | 対応(MLO含む) | 160MHz |
| iPhone 17 / 17 Pro / 17 Pro Max / iPhone Air | 対応 | 対応(MLO含む) | 160MHz |
| iPhone 15 / 15 Plus / 16e / 17e | 非対応 | 非対応 | — |
| MacBook Air(M3・M4)、MacBook Pro(14インチ、M5、2025) | 対応(6E) | 非対応 | 160MHz |
| MacBook Air(M5、2026)、MacBook Pro(M5 Pro・M5 Max、2026) | 対応 | 対応(MLO含む) | 160MHz |
出典:Apple「AppleデバイスのWi-FiおよびEthernet仕様」(2026年3月26日公開)、「Apple製デバイスでWi-Fi 6E/Wi-Fi 7ネットワークを利用する」(2026年10月29日公開)。2026年10月31日確認。iPadは本文を参照。
この表には、見落とされやすい事実がひとつあります。Appleの仕様表に載っているiPhoneとMacは、Wi-Fi 7に対応した機種でも最大チャンネル幅が160MHzです。Appleの仕様表では、6GHz帯での最大の物理速度も、Wi-Fi 6Eの機種とWi-Fi 7の機種で同じ2400Mbpsになっています。Apple製品が中心の家なら、Wi-Fi 7ルーターの320MHz幅は使われません。6Eとの差は、MLOで複数の帯域を同時に使えることにほぼ絞られます。
iPadでは、iPad Air(M4)とiPad Pro(M5)がWi-Fi 7、iPad Pro(M4)やiPad mini(A17 Pro)などが6Eです。仕様表の公開後に出たiPhone Duo、iPad mini(A20 Pro)、Mac mini(M5 Pro)、Mac Studio(M5 Max)、Apple TV 4K(第4世代)も、AppleはWi-Fi 7のすべての機能に対応すると案内しています。ただし、これらの最大チャンネル幅は仕様表にまだ載っていません。
Windowsのパソコンは、無線LANのアダプターとOSの両方を確かめます。Microsoftはサポート文書「Windowsでのより高速で安全なWi-Fi」で、Wi-Fi 7はWindows 11のバージョン24H2以降で使えると説明しています。アダプター側も802.11beに対応している必要があります。Androidのスマホは機種ごとに違うので、仕様表の「802.11be」や「6GHz」の記載で判断するのが確実です。
回線と家の形で、効き目が変わる
契約している光回線が最大1Gbpsなら、インターネットとの出入り口は1Gbpsで頭打ちです。6Eでも7でも、規格上の無線の速さはすでにそれを上回ります。1ギガの家で6GHz帯が効くのは、混雑を避けて速度が安定することと、家の中の機器どうしのやりとりです。パソコンとNASの間で大きなファイルを動かすような使い方なら、6GHz帯の余裕が生きます。NASの使い方はNASの選び方で整理しています。
最大10Gbpsの光回線なら、話は変わります。ルーターに10Gbpsのポートが要りますし、無線で1Gbpsを大きく超える速さを引き出すには、近い距離での6GHz帯が前提になります。10ギガの回線と6GHz対応の端末がそろって、はじめてトライバンドのWi-Fi 7の値段に意味が出てきます。
家の形も効きます。清水氏が3階建ての木造住宅で行ったArcher BE400の計測では、同じフロアで約1.7Gbps出ていたダウンロードが、3階の窓際では約450Mbpsまで下がりました。2台のメッシュにすると、3階の上りが大きく改善しています。6GHz帯を持たない製品での計測ですが、距離と床で速度が落ちる構図は、より高い周波数の6GHz帯ではさらに出やすいと考えられます。届かない部屋があるなら、答えは規格より台数と置き場所です。
買う前に知っておきたい3つの落とし穴
ひとつ目は、ネットワーク名(SSID)です。Appleは、2.4GHz・5GHz・6GHzのすべての帯域で同じネットワーク名を使うよう求めています。帯域ごとに名前が違うと、iPhoneやMacは互換性が制限されていると判断し、5GHzに移るかどうかを尋ねてきます。そこで「OK」を選ぶと、6GHz帯の利点は失われます。ルーターを買ったら、まず設定画面で名前を1つにまとめてください。
ふたつ目は、海外向けのモデルです。海外のレビューで評判の高いルーターでも、日本で使うには技適が必要です。6GHz帯の使える範囲は国ごとに違うため、海外仕様の機器をそのまま持ち込むのは避けてください。考え方は技適マークの意味と確かめ方にまとめています。
みっつ目は、MLOへの期待です。MLOは、ルーターと端末の両方が対応していて、はじめて動きます。複数の帯域を束ねる動きや、1つの帯域が混んだときの切り替え方は、メーカーのファームウェアや端末側の実装で変わります。箱にMLO対応とあっても、すぐに体感の差が出るとは限らない。新しい機能は、ファームウェアの更新とともに育つものだと編集部は見ています。
あなたの家なら、どれを選ぶか
6GHz対応の端末がなく、1ギガ回線で不満もない
今のルーターがメーカーのファームウェア更新を受けていて、困っていないなら、買い替える必要はありません。古くなって買い替えるなら、デュアルバンドのWi-Fi 7で十分です。Archer BE400は2.5Gbpsのポートを2つ備え、TP-Linkは間取りの目安を3LDKとしています。
6GHz対応のiPhoneやMacがあり、マンションで電波が混む
6GHz帯を持つルーターを選びます。新品で選ぶなら、Wi-Fi 6EよりトライバンドのWi-Fi 7を基本に考えます。320MHz幅が今は使われなくても、端末を買い替えたときにMLOが使えるからです。値段の差が大きく、端末を当面替えないなら、6Eでも6GHz帯の恩恵そのものは同じように受けられます。
すでにWi-Fi 6Eのルーターを使っている
買い替える理由はほとんどありません。Apple製品が中心なら、7にしても最大チャンネル幅は160MHzのままです。10ギガの回線に乗り換える、ポートが足りないといった別の理由ができたときが、替えどきです。
10ギガ回線で、2階建て以上の家
10Gbpsのポートと6GHz帯を持つトライバンドのメッシュが候補になります。Deco BE75は、TP-Linkの公式ページによると6GHz・5GHz・2.4GHzの3つの帯域と、10Gbps(RJ45/SFP+兼用)のポートを備えます。国内では2台組(2個パック)で売られています。10ギガの回線がない家には、ここまでの性能はいりません。
Sources
- 総務省「『6GHz帯無線LANの周波数拡張等に係る技術的条件』及び『5GHz帯無線LANのDFS高度化に係る技術的条件』―情報通信審議会からの一部答申―」(2026年7月24日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- 総務省 陸上無線通信委員会「陸上無線通信委員会報告書概要(6GHz帯無線LANの周波数拡張等に係る技術的条件)」(令和8年6月) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書 無線LANの高度化」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- ITmedia PC USER「『IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)』『320MHz幅』での通信が解禁に――総務省が技術基準を改正 即日施行」(2023年12月22日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- ITmedia PC USER「『Wi-Fi 6E』ついに解禁――総務省が6GHz帯の無線LAN利用を認める省令を公布」(2022年9月2日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- Wi-Fi Alliance「Wi-Fi CERTIFIED 7」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- Apple「AppleデバイスのWi-FiおよびEthernet仕様」(2026年3月26日公開) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- Apple「Apple製デバイスでWi-Fi 6E/Wi-Fi 7ネットワークを利用する」(2026年10月29日公開) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- Apple「Apple製デバイスでのWi-Fi 7の利用について」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- Microsoft サポート「Windows でのより高速で安全な Wi-Fi」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- TP-Link「Archer BE400」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- TP-Link「Deco BE75」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- INTERNET Watch 清水理史「10ギガまでは不要? 2.5GbEで宅内LANを構築したい人にピッタリの高コスパWi-Fi 7ルーター TP-Link『Archer BE400』」(2025年4月21日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
- 購入前の疑問の例:Tom's Hardware Forum「Tri-Band WiFi 6E Router versus Dual-Band WiFi 7 Router?」(2025年8月)(新しいタブで開きます)
- 購入前の疑問の例:Tom's Hardware Forum「Wi-Fi 6E versus Wi-Fi 7: Which type of router is a better buy?」(2025年5月)(新しいタブで開きます)
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