動画を一本仕上げるたびに、マウスとキーボードの往復で集中が少しずつ削られていく。タイムラインを拡大し、クリップを探し、カットし、戻し、また再生する。たった数秒の操作でも、何百回と積み重なれば、編集者の思考はそのたびに細かく分断されてしまいます。
「今の感覚のまま、すぐ切りたい」「この色を、もう少しだけ追い込みたい」「画面から目を離さず、指先だけで進めたい」。そんな編集中の小さな苛立ちを、操作環境そのものから変えてくれるのが、XPPenのPilot Proです。
これは単なるショートカットキーの集合体ではありません。ボタン、ジョイスティック、3つの回転操作部を組み合わせ、動画編集・画像編集・カラー調整・タイムライン操作を片手で直感的に扱えるようにした、クリエイターのための編集コンソールです。右手はマウスやペンに、左手はPilot Proに。役割がきれいに分かれた瞬間、編集作業は驚くほど滑らかになります。
Pilot Proの特徴
視線を画面に残したまま、編集のリズムを止めない操作設計
Pilot Proの最大の魅力は、編集者の集中を邪魔しないことにあります。カット、トリム、タイムライン移動、コマンド呼び出しといった頻繁な操作を、画面から目を離さず片手で実行できるため、作業の流れが途切れにくくなります。編集で本当に疲れるのは、操作そのものの難しさだけではありません。どのキーを押すか、どこに手を戻すか、今どの設定だったかと意識を細かく切り替えること。その負担が、じわじわと集中力を奪っていきます。
Pilot Proは、そうした無駄な思考の引っかかりを減らすために、片手操作に最適化されたレイアウトを採用しています。ボタン、ジョイスティック、ダイヤルが自然に指の届く位置に整理されているため、よく使う操作を身体で覚えやすい。慣れてくると、まるで楽器を弾くように、指先が先回りして動きます。編集画面を見つめたまま、狙った場所へ移動し、切り、戻し、調整する。その一連の流れが、ぐっと軽くなるのです。
本体サイズは130.25mm × 92.5mm × 66.9mm、重量は251g。デスクの上で存在感を放ちながらも、作業スペースを圧迫しにくいサイズ感です。自宅の編集デスクはもちろん、ノートPCと組み合わせてカフェやスタジオで作業する場面にもなじみます。必要な操作を手元に集約しながら、持ち運びやすさも損なわない。そのバランスが、長く使う道具としての説得力を高めています。

100以上の操作を、自分の編集スタイルに合わせて整理できる
編集ソフトを使い込むほど、よく使う操作とほとんど触らない操作ははっきり分かれていきます。だからこそ、誰かが決めた固定のボタン配置ではなく、自分の癖に合わせて育てられることが大切です。Pilot Proは、100以上の操作をコントロール可能で、すべてのボタンとダイヤルを自由にカスタマイズできます。
たとえば、コピー、ペースト、元に戻す、やり直しといった基本操作を即座に呼び出せるだけでなく、複数の操作を1つのボタンへ割り当てることも可能。よく使う工程をまとめておけば、毎回メニューを探す必要がなくなります。小さな時短に見えて、編集の現場では大きい。何度も繰り返す操作ほど、ワンタッチ化の効果ははっきり現れます。
さらに、Pilot Proは最大7つのカスタムパターンを作成できます。ドライバソフト上では「テーマ」と表示されるこの機能により、用途ごとにボタン設定を切り替えられます。長尺動画の編集、ショート動画、カラー調整、写真編集など、作業内容に応じて最適な操作環境を準備しておけるのです。編集のたびに頭を切り替えるのではなく、コンソール側が作業に合わせてくれる。この感覚は、一度味わうと戻れません。

ジョイスティックで、カラー調整もタイムライン操作も直感に近づく
Pilot Proには、編集コンソールらしさを象徴するジョイスティックが搭載されています。4方向から8方向の入力に対応し、コマンド実行やナビゲーションを素早く行えるため、上下左右の動きで編集を操る感覚が得られます。キーボードのショートカットを思い出す代わりに、指を倒すだけ。操作が記号ではなく、動作として身体に入ってくるのです。
特に魅力的なのが、カラーホイール調整への対応です。補助キーを使わず、ジョイスティック操作で滑らかに色を追い込めるため、カラーグレーディングの作業がより直感的になります。わずかな色味の差にこだわりたいとき、マウスで細かくドラッグする操作は意外と神経を使うもの。Pilot Proなら、映像の雰囲気を見ながら、指先で感覚的に調整できます。
また、左右に動かしてタイムライン上の映像を高速再生したり、上方向でクリップ選択、下方向でカットといった操作にも活用できます。目で見て、指で反応し、そのまま編集する。考える前に動けるから、テンポが崩れません。イベント映像やVlog、ショート動画のようにスピードが求められる編集では、この直感性が大きな武器になります。

3つのダイヤルが、荒い移動と細かな調整を気持ちよく分担する
編集作業には、大きく動かしたい瞬間と、ほんの少しだけ調整したい瞬間があります。Pilot Proはその違いをきちんと受け止めるために、スモールノブ、ラージノブ、ダイヤルの3つの回転操作部を備えています。タイムラインを素早くスクラブして狙った位置へ移動する、再生ヘッドをフレーム単位で確認する、数値を微調整する、画像を回転させる、タイムラインをズームする。こうした操作を、回すという自然な動作で扱えるのが心地よいところです。
マウス操作では、細かな調整ほど手元がぶれやすく、やり直しも増えがちです。ダイヤルなら、指先の回転量で調整できるため、狙ったポイントへ落ち着いて近づけます。大きく回せば一気に進み、少し回せば繊細に詰められる。まるで編集ソフトの奥行きに直接触れているような感覚です。
しかも3つのダイヤルすべてに触覚フィードバックを搭載。操作のたびに手応えを感じられるため、画面だけに頼らず、指先でも操作を確認できます。振動モードはオフ、弱、強から選べるので、静かに作業したいときも、しっかり反応を感じたいときも、自分の好みに合わせられます。長時間の編集では、この「気持ちよく操作できる」という要素が想像以上に効いてきます。

主要ソフトに対応し、作業環境をまたいでも迷いにくい
Pilot Proは、DaVinci Resolve、Premiere Pro、Photoshop、Lightroom Classic、Final Cut Pro、CapCutに対応しています。動画編集から写真編集まで、複数のソフトを使い分けるクリエイターにとって、これは大きな安心材料です。アプリを切り替えたときも設定が自動で最適化されるため、ソフトごとに操作感が大きく崩れにくい。作業内容が変わっても、手元のリズムを保ちやすくなります。
対応OSはWindows 10以降の64bitシステムとmacOS 11.0以降。接続方式は、USB Type A-Cケーブルによる有線接続に加え、Bluetooth 5.4とワイヤレスドングルに対応しています。安定性を重視したいデスク作業では有線、ケーブルを減らしてすっきり使いたいときはワイヤレス。作業場所や好みに合わせて選べる柔軟さがあります。
バッテリー容量は1900mAh / 3.85Vで、USB-C充電に対応。1日4時間使用を想定した場合、最大15日以上使えるため、頻繁な充電に追われにくいのも魅力です。充電のことを気にしながら編集するのは、地味にストレスになります。Pilot Proなら、作業に入りたいときにすぐ使いやすい。道具として、とても頼もしいポイントです。

手首を支える人間工学デザインが、長時間作業の疲れを抑える
編集コンソールは、速く操作できるだけでは不十分です。何時間も触り続ける道具だからこそ、手に無理がないことが重要になります。Pilot Proは、手首を支える曲線ボディを採用し、自然な姿勢のまま最小限の動きでボタンにアクセスできるよう設計されています。長時間の編集で指や手首が張ってくる、肩まで重くなる。そんな経験がある人ほど、この形状のありがたさを感じやすいはずです。
各ボタンは軽いタッチで扱えるよう押下感が調整されており、頻繁に押しても指への負担を抑えやすい設計。さらに、OKボタンで操作ヒントを表示・非表示できるHUD切替にも対応しているため、使い始めの段階でも設定を確認しながら操作できます。覚えきるまで苦労するのではなく、使いながら自然に慣れていける。このやさしさは、初心者にもプロにも価値があります。
本体カラーはブラック&ホワイト。編集デスクに置いたとき、機材らしい精悍さとクリーンな印象が共存します。iF DESIGN AWARD 2026とGOOD DESIGN AWARD 2025を受賞したデザインは、単に見た目が美しいだけでなく、操作する手の動きまで考えられたもの。デスクにこの一台があるだけで、編集へ向かう気持ちが少し引き締まる。道具に触れる前から、もう作業は始まっています。

まとめ
Pilot Proは、動画編集や画像編集を「速くする」だけのデバイスではありません。マウスとキーボードを行き来する小さなストレスを減らし、画面に集中したまま、指先だけで編集のリズムを整えてくれる一台です。
100以上の操作に対応するカスタマイズ性、最大7つのパターン切替、ジョイスティックによる直感操作、3つのダイヤルによる精密な調整、主要ソフトへの対応、そして長時間作業を支える人間工学デザイン。これらが組み合わさることで、編集環境は単なる作業場から、自分の感覚をそのまま形にできるコックピットへ変わります。
カットのたびに集中が途切れる。色調整で思うように追い込めない。ショートカットを覚えても、まだ操作が遠い。そんな違和感を抱えているなら、Pilot Proはその答えになり得ます。編集の主導権を、もっと手元へ。仕上がりまでの時間だけでなく、作っている最中の気持ちよさまで変えてくれる編集コンソールです。










