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AIボイスレコーダー比較:本体価格より「3年の総費用」と保存先で選ぶ
本体は2〜3万円台でも、文字起こしの年額で総額は大きく変わります。3年間の費用とデータの行き先で、主なAIボイスレコーダーを比べました。

会議や取材、授業を録音して、文字起こしと要約までAIに任せたい。そう考えてAIボイスレコーダーを調べると、本体価格はどれも2〜3万円台で似ているのに、月額プランの仕組みがばらばらで比べにくいことに気づくはずです。
実は、AIボイスレコーダーの差が出るのは本体を買ったあとです。月に何分文字起こしするかで、3年後の支払い総額は2倍以上変わることがあります。そしてもうひとつ、仕事の会議を録るなら、音声と文字起こしがどこに保存されるかも見逃せません。
ここでは「3年間の総費用」と「データの保存先」という2つの物差しで、主なモデルを比べます。読み終えるころには、無料枠で足りるのか、どの形と処理方式が自分の使い方に合うのかを判断できるはずです。
先に結論:月に何分文字起こしするかで選ぶ
AIボイスレコーダーの費用は「本体+文字起こしのプラン」で決まります。執筆時点(2026年10月)の公式情報では、PLAUDとSoundcore Workは月300分、Notta Memo Proは月600分の文字起こしを、本体の購入者に無料で提供しています。
月に数回の会議を録る程度なら無料枠に収まり、本体代だけで使い続けられる可能性があります。毎日のように長い会議を録るなら有料プランが前提で、3年間の総額が本体価格の2倍を超えることもあります。
編集部としては、まず自分の「月あたりの録音時間」を見積もり、無料枠で足りるかを確かめてから機種を選ぶことをすすめます。たとえば、週に2回、1時間の会議を録るなら月およそ480分。PLAUDやSoundcoreの無料枠は超え、Notta Memo Proの無料枠には収まる計算です。
AIボイスレコーダーと普通のICレコーダーは何が違う?
普通のICレコーダーは「音を録る機械」です。録音した音声を聞き返したり、パソコンに取り込んだりするところまでが役割で、文字にする作業は自分で行います。Modern-Gで紹介したQZTの小型ボイスレコーダーのように、長時間録音や小ささに特化した製品は今も根強い人気があります。
AIボイスレコーダーは、録音した音声をスマートフォンのアプリ経由でクラウドに送り、AIが文字起こしと要約を行います。話者の区別、要点の箇条書き、ToDoの抽出までできる製品が多く、録音後の「まとめる作業」を減らせるのが最大の違いです。
そのぶん、多くの製品は文字起こしの量に応じた料金プランを用意しています。ここが「買い切りか、サブスクか」という悩みの出どころです。
形は4タイプ、AIの処理は3タイプ
AIボイスレコーダーは、形とAIの処理場所の組み合わせで考えると整理しやすくなります。
形は、カード型、ペンダント(ピン)型、ペン型、リング型・メガネ型の4つに分かれます。カード型はクレジットカードほどの薄い本体で、スマホの背面に貼るか単体で置きます(PLAUD Note、Plaud Note Pro、Notta Memo Proなど)。ピン型は服にクリップやマグネットで留める形で、Plaud NotePin/NotePin SやSoundcore Workがこれにあたります。
ペン型は筆記具に録音機能を組み込んだもの、リング型やメガネ型は指輪やメガネに録音とAIを組み込んだものです。メガネ型はAIグラスで扱っています。
AIの処理場所は次の3つです。
- クラウド処理:録音をサーバーに送って文字起こしする。主流で、精度や機能の更新が速い
- アプリ処理:スマホのアプリが中継し、結果をアプリに保存する(多くはクラウド処理と組み合わせ)
- 端末内処理:本体だけで文字起こしする。iFLYTEKのVOITER SR302 Proは、ネットにつながずに本体だけで文字起こしが完結するとうたっています
形は「どこで録るか」、処理場所は「データをどこまで外に出してよいか」で決まります。この2つを頭に置いて、比較の物差しを見ていきましょう。
比較の物差し:総費用・日本語・保存先・バッテリー
総費用は「本体+プラン×年数」で見る
本体の価格差は数千円でも、有料プランの年額は1万円台から4万円台まで幅があります。3年使うなら、プランの差のほうがずっと大きくなります。具体的な数字は、後半の比較表と総費用の計算で示します。
日本語の文字起こしで見るべき点
日本語の精度は、録音環境の影響を強く受けます。編集部は実機テストをしていないため精度の優劣は判断しませんが、公式情報から「精度に効きそうな要素」は読み取れます。
マイクの構成では、Plaud Note Proが4基のマイクで最大5m、NotePin Sが2基で最大3mの収音をうたいます。通話を録りたいなら、Plaud NoteとNote Proが振動を拾うセンサー(VPU)で通話を録音できるのに対し、NotePin系は対面録音のみです。会議の議事録では、Soundcore Workの話者識別や、PLAUDがベータ版として提供するカスタム用語の登録も役に立ちます。
いちばん確実なのは、無料枠のうちに自分の会議で試すことです。PLAUDの公式ストアは30日間の返品ポリシーを案内しています。購入前に返品条件を確認しておくと安心です。
データはどこに保存されるか
仕事の会議を録るなら、音声と文字起こしの行き先は機種選びの条件になります。
- Notta Memo Pro:アップロードされた録音と文字起こしは、日本国内(AWS東京リージョン)に保存すると公式ストアで説明しています。
- Soundcore Work:録音と文字起こしは初期設定では本体内に保存され、文字起こしのときだけ音声を一時的にアップロードし、処理後に消去するとAnkerは説明しています。クラウドのデータの保存先は、米国を拠点とするデータセンターです。
- PLAUD:公式のプライバシーポリシーでは、米国、ドイツ、日本、シンガポールでサーバーを運用し、日本のユーザーの個人データは日本国内のサーバーに保存するとしています。ただしAIの処理に使うLLMの提供元は、米国などにある場合があると書かれています。
- VOITER SR302 Pro:本体内での文字起こしをうたっており、ネットに送らない運用ができます。
PLAUDとAnkerはいずれも、ISO 27001やSOC 2などのセキュリティ認証・基準への準拠を公表しており、PLAUDは同意がない限り顧客データをAIの学習に使わないとしています。会社のルールで外部クラウドの利用が制限されている場合は、端末内処理の機種か、国内保存を明記した機種を候補にするとよいでしょう。
バッテリーと容量
公称の連続録音時間は、Plaud Note Proが最大30時間(長時間駆動モードで最大50時間)、Plaud NotePin Sが最大20時間です。Soundcore Workはマイク単体で8時間(充電ケース併用で32時間)、Notta Memo ProはBluetooth接続時で約45時間とされています。内蔵ストレージはいずれも64GB(Soundcore Workは8GB版もあり)です。
主なAIボイスレコーダーの比較表
4つの物差しを、主な機種で一覧にしました。価格は執筆時点(2026年10月)に各社の公式ストア・公式発表で確認した税込価格で、プランの内容や価格は変わることがあります。
| モデル | 本体価格 | 無料の文字起こし | 主な有料プラン(年額) | 形 |
|---|---|---|---|---|
| Plaud Note Pro | 30,800円 | 月300分 | Pro 16,800円(月1,200分)/Unlimited 40,000円 | カード型・画面つき |
| Plaud Note | 27,500円 | 月300分 | 同上 | カード型 |
| Plaud NotePin S | 28,600円 | 月300分 | 同上 | ピン型 |
| Soundcore Work | 24,990円 | 月300分 | Pro 15,980円(月1,200分)/Unlimited 38,980円 | ピン型 |
| Notta Memo Pro | 29,700円 | 月600分 | Premium 14,220円(月1,800分)/Business 30,096円 | カード型・画面つき |
表に入りきらない条件を補足します。初代のPlaud NotePin(27,500円)も公式ストアで販売中です。Soundcore Workの本体価格は64GB版の公式ストア表示で、8GB版は執筆時点で売り切れでした。Ankerのサブスク案内によると、Soundcore Workの月300分は永続的に付与され、Proプランは月払い2,680円も選べます。アプリ内では120分480円からの追加購入もできます。
NottaのPremium・Businessは、Nottaのウェブサイトに掲載された年払いの価格です。Notta Memo Proには、Premium 1年付き(41,800円)とBusiness 1年付き(56,100円)のセットも公式ストアで用意されています。
3年間の総費用の目安
上の表から、有料プランを3年使った場合の費用を単純計算しました(税込、プラン価格が変わらないと仮定)。
- 無料枠だけで使う場合:本体価格のみ。約2.5万〜3.1万円
- Notta Memo Pro+Premium3年:29,700円+14,220円×3=72,360円
- Soundcore Work+Proプラン3年:24,990円+15,980円×3=72,930円
- Plaud Note Pro+Proプラン3年:30,800円+16,800円×3=81,200円
- Plaud Note Pro+Unlimited3年:30,800円+40,000円×3=150,800円
有料プランを使い続けるなら、本体価格の差よりも「月何分まで使えるプランが、年いくらか」のほうが総額を左右します。月の文字起こしが600分前後なら、無料枠の大きいNotta Memo Proは有料プランなしで収まる可能性があります。ただし、Notta Memo Proの付属プランの期間は公式ページに明記がないため、購入前に確認してください。
クラウドファンディング発の新顔も同じ物差しで
Modern-Gでは、クラウドファンディングから登場したAI録音デバイスも紹介してきました。AuralAI、ペン型のMemoPen、紙のノートと録音を組み合わせたfitn Focusなどです。
こうした製品は、支援時の価格が魅力的でも、文字起こしのプランやデータの保存先が後から決まることがあります。支援する前に、無料枠の分数、有料プランの価格、日本語への対応、保存先の4点がキャンペーンページや公式サイトに書かれているかを確かめてください(キャンペーン状況はリンク先で確認してください)。Notta Memo Proについては製品ページでも紹介しています。
録音する前に知っておきたいマナーと注意点
機種が決まったら、使い方のルールも確認しておきましょう。AIボイスレコーダーは小さく目立たないため、相手が録音に気づかないことがあります。
トラブルを避ける基本は、会議や取材の冒頭で「記録のために録音します」と伝え、了承を得ることです。社内の会議なら、社内規程やセキュリティポリシーで録音や外部クラウドの利用が認められているかを確かめます。取引先との打ち合わせでは相手の会社のルールもあるので、事前に確認しておくと安心です。録音データや文字起こしを共有するときは、共有範囲を必要な人に絞ります。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、「本人の氏名が含まれる等の理由により、特定の個人を識別できる音声録音情報」は個人情報の例として挙げられています。事業として録音データを扱う場合は、利用目的の説明や安全な管理が求められる場面があります。
また、相手の承諾を得ずに録音した内容を裁判の証拠として使えるかどうかは、録音の方法や状況によって判断が分かれると、弁護士による解説では説明されています。
どんな人に、どのモデルが向いている?
ここまでの公式情報をもとに、編集部の見解として用途別の考え方をまとめます。
対面の会議に加えて電話の通話も録りたい人は、通話録音に対応したPlaud NoteかPlaud Note Proが候補です。服に付けて、移動中や立ち話も録りたい人には、Plaud NotePin SやSoundcore Workのようなピン型が向いています。
社内の会議が多く、データを国内に置きたい人は、国内保存を明記しているNotta Memo Proが選びやすいでしょう。クラウドに送れない会議を録るなら、本体内で文字起こしするVOITER SR302 Proのような端末内処理型が現実的です。月の録音が少なく、サブスクを払いたくない人は、無料枠が月300〜600分ある機種を、無料枠の範囲で使うのがいちばん経済的です。
まとめ:本体価格より「月の分数」と「保存先」
AIボイスレコーダー選びで効いてくるのは、本体の数千円の差ではなく、文字起こしプランの年額と、データの行き先です。無料枠はPLAUDとSoundcore Workが月300分、Notta Memo Proが月600分(執筆時点)。保存先は、日本国内、米国、本体内と機種によって分かれます。
まず1か月の録音時間を見積もってください。無料枠で足りるなら、本体の形(カード型かピン型か)と通話録音の要否で選ぶ。有料プランが必要なら、3年間の総額と保存先で比べる。この順番で考えると、自分に合う1台が見えてきます。AI機能をもつほかのハードウェアは、AIガジェットのまとめで紹介しています。
Sources
- Plaud 公式ストア(日本)トップページ (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「Plaud AI アプリ年間プロプラン」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「Plaud Note Pro」製品ページ (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「Plaud NotePin S」製品ページ (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「デバイス比較」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「トラストセンター」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Plaud「プライバシーポリシー」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Anker Japan「Soundcore Work」製品ページ (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Anker Japan「【サブスクリプション】Anker AI文字起こし・要約」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Impress Watch「アンカー初のAIレコーダー『Soundcore Work』」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Notta(PR TIMES)「Notta Memo Pro」発売のお知らせ (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- Notta 公式ストア「Notta Memo Pro」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- Notta「料金プラン」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- リアルサウンド テック「iFLYTEKのAI翻訳機・ボイスレコーダーが特別価格で登場」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
- 弁護士法人みずほ中央法律事務所「民事訴訟における違法収集証拠の具体例(裁判例)」 (2026-10-23確認)(新しいタブで開きます)
- 法務省「法務省だより あかれんが vol.91(法テラスへの問合せ方法)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
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