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ChatGPTに広告はいつ入った?2025年12月の予測と、2026年に起きたこと

予測は当たりました。ただし、旧記事が心配した「回答そのものが広告になる」形ではなく、OpenAIは回答の下に区切って表示する方式を選びました。2025年12月の論考を、その後の事実と並べて読み直します。

Modern-G 編集部更新 約7分で読めます
淡いグラデーションの上に、すりガラス風の大きな回答のカードと、点線で区切られた小さな広告のカードが並ぶイラスト
イラスト:Modern-G

2025年12月25日、Modern-Gは「2026年、ChatGPTに広告導入へ」という論考を載せました。いちばん身近なAIが物を売り始めたら、ユーザーの信頼はどうなるのか、という問いでした。

予測は当たりました。OpenAIは2026年1月16日に広告のテストを発表し、2月9日に米国で表示を始め、6月には日本でも始めています。この記事は、旧記事の日付と「当時の予測」という立場はそのままに、出典を確かめ直し、実際に起きたことを書き加えたものです。

2025年12月に報じられていたこと

旧記事のきっかけは、米The Informationが2025年12月24日に報じた「OpenAI’s Ads Push Starts Taking Shape」です。記事は有料ですが、The Decoderの要約によると、内容は次のようなものでした。

  • AIが回答の中でスポンサーの情報を優先して取り上げる案を社員が話し合っている。たとえばマスカラのおすすめを聞くと、化粧品店の広告が出る
  • 回答の横のサイドバーに広告を出す試作がある
  • 詳しく知りたいと求めたときだけ広告を出す案もある。バルセロナ旅行を相談し、サグラダ・ファミリアの提案を開くと、ツアーの広告リンクが出る、という例

OpenAIの広報は、ユーザーの信頼を損なわずに広告をどう組み込めるかを検討している、と認めていました。同じ月の8日には、米Adweekが「Googleが2026年にGeminiへ広告を入れると広告主に伝えた」と報じ、Googleの広告部門の副社長が「Geminiアプリに広告はなく、今のところ変える予定もない」とXで否定しています。

旧記事はここから、AIの回答そのものが広告になる危うさや、AIに引用されるための最適化(GEO)が「情報の毒」になりうることを論じました。GEOは2023年11月に公開された研究論文が名づけた言葉で、AIの検索に自社の情報を取り上げさせる工夫を指します。

その後の動き(2026年10月時点)

ChatGPTの広告の経緯を示す年表。2025年12月に社内での検討が報じられ、2026年1月16日にOpenAIが広告のテストを発表、2月9日に米国でテストを開始、6月に日本でも開始、10月21日に89か国へ広がった。
OpenAIの発表(公式のニュース配信)と報道をもとに作図。国の数はOpenAIの2026年10月21日の発表によるModern-G作図
時期できごと
2026年1月16日OpenAIが「Our approach to advertising and expanding access to ChatGPT」を公開。米国で無料版と低価格の「Go」(米国は月8ドル)を対象に広告をテストすると発表
2026年2月9日米国の無料版とGoの一部のユーザーで広告のテストを開始。広告は回答の下に、広告だとわかる表示つきで出る
2026年4月米国のテストが6週間で年換算1億ドルの売上を超えた、とOpenAIが説明(ロイターによる)
2026年5月5日広告主が自分で出稿できる管理画面(ベータ版)を発表
2026年6月19日日本でも無料版とGo(月1,400円)で広告のテストを始めたと発表(時事通信による)
2026年8月31日広告事業が年換算で10億ドルの売上規模に達したとOpenAIが発表(ロイターによる)
2026年10月21日26か国を加えて89か国に。これまでに10万以上の広告主が出稿したとOpenAIが発表(ロイターによる)

売上と広告主の数は、いずれもOpenAI自身の発表で、監査を経た数字ではありません。「年換算」は、ある時点の売上のペースを1年分に引き延ばした数字で、実際に1年で得た売上ではありません。ロイターによると、市場調査会社Emarketerのアナリストは10億ドルを「とても印象的で、とても期待外れ」と評しました。報じられていた2026年の目標25億ドルに届かないペースだからです。

OpenAIが示した広告のルール

2026年1月の発表を伝えたEngadgetと、テスト開始を伝えたCBSによると、OpenAIは次のように説明しています。

  • 広告ははっきり表示し、通常の回答とは分けて出す。広告が回答の内容に影響することはない
  • 健康、心の状態、時事的な政治など、デリケートな話題の会話には広告を出さない
  • 18歳未満のユーザーには広告を出さない
  • 会話の内容を広告主に共有したり売ったりしない。広告のパーソナライズをオフにしたり、使われるデータを消したりできる
  • 広告を見ない選択肢を常に用意する。有料の上位プラン(Plus、Pro、法人・教育向け)には広告が出ない

広告の選び方には、今の会話の話題に加えて、過去の会話や広告への反応が使われるとCBSは伝えています。ChatGPTのメモリー機能の設定とあわせて見直しておくとよいでしょう。

広告を見たくない場合

広告が出るのは無料版とGoです。確実なのは、Plus以上の有料プランを使うことです。CBSによると、米国の無料版のユーザーは広告をオフにもできますが、その場合は利用の上限が下がります。日本での同じ選択肢の有無や、設定画面の日本語の表記は、OpenAIのヘルプページを開けなかったため確認できていません。

ほかのAIはどうしたか

Anthropicは2026年2月4日、「Claude is a space to think」という文章で「Claudeは広告を入れない」と宣言しました。「広告にふさわしい場所はたくさんあるが、Claudeとの会話はその一つではない」という立場です。同じ時期に同社が流したテレビ広告は、AIの会話が突然宣伝に変わる様子を皮肉るもので、OpenAIのサム・アルトマンCEOはXで「私たちは、あのような形で広告を出すことは決してない」と反論しました。

Googleは、検索の「AI Mode」で広告を広げています。2026年10月28日には10か国への拡大と、米国で追加の質問にも広告を出す仕組みを発表し、広告には「スポンサー」と表示するとしました。Geminiアプリについては、2026年10月時点で広告を始めたという発表は見当たりません。

旧記事の問いは、どこまで残っているか

旧記事が最も恐れたのは、広告が回答の中に溶け込み、ユーザーが気づかないうちに誘導されることでした。OpenAIが実際に選んだのは、回答の下に区切って広告だと表示する形で、少なくとも見た目の上では、旧記事が描いた最悪の形ではありません。

一方で、「広告は回答に影響しない」というのはOpenAI自身の説明で、外から確かめる手段は限られています。広告の選び方に会話の履歴が使われる以上、どこまでの情報を使っているかを利用者が把握しにくいことも変わりません。GEOのように、広告の外側で回答に取り上げられようとする工夫も続いています。

編集部としては、2025年12月の問い、つまり「信頼しているAIが物を売るとき、私たちはどこまで疑うべきか」は、形を変えて残っていると考えます。AIの回答で買い物を決めるときは、広告の表示がないかを見ること、気になる商品は別の情報源でも確かめることが、当時以上に大切になりました。

検索の広告とAIの関係はGoogleのAI Modeの広告の記事、AIでの買い物はGeminiのショッピング機能のエッセイ、AIがユーザーに合わせすぎる問題は「AIのご機嫌取り」の記事で取り上げています。OpenAIの方針をめぐる議論はアルトマン氏の「道徳警察にはならない」発言の記事もあわせてどうぞ。

Sources

  1. The Information「OpenAI’s Ads Push Starts Taking Shape」(2025-12-24、有料) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  2. The Decoder「Report: OpenAI may embed sponsored content directly into ChatGPT responses」(2025-12-24) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  3. 9to5Google「Google says there are 'no plans' to put ads in the Gemini app」(2025-12-08) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  4. OpenAI ニュースRSS(Our approach to advertising and expanding access to ChatGPT 2026-01-16、New ways to buy ChatGPT ads 2026-05-05、ChatGPT Ads expands to 26 new countries… 2026-10-21 ほか) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  5. Engadget「OpenAI is bringing ads to ChatGPT」(2026-01-16) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  6. CBS News「OpenAI starts testing ads in free version of ChatGPT」(2026-02-09) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  7. Anthropic「Claude is a space to think」(2026-02-04) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  8. TechCrunch「Sam Altman got exceptionally testy over Claude Super Bowl ads」(2026-02-04) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  9. Adnkronos(時事通信)「OpenAI to Introduce Ads on ChatGPT in Japan」(2026-06-19) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  10. The Star(ロイター)「OpenAI's ad business hits $1 billion annualized revenue run rate」(2026-08-31) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  11. The Star(ロイター)「OpenAI expands ChatGPT ads to 26 more countries in bid to boost revenue」(2026-10-21) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  12. Google「Ads in AI Mode expand to 10 new countries」(2026-10-28) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  13. Engadget「Slack's CEO is joining OpenAI to find the money to pay for all those data centers」(2025-12-09) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  14. Chatterji, A. ほか「How People Use ChatGPT」(NBER Working Paper 34255、2025年9月) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
  15. Aggarwal, P. ほか「GEO: Generative Engine Optimization」(arXiv:2311.09735、2023年11月) (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)

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