最近のAI業界では、驚くような革新が毎週のように登場している。ChatGPTやClaude、Geminiといった大物たちが目立つ中で、Googleがひっそりと公開した“AI実験場”をご存知だろうか?その名は「Google Labs」。一見すると、ただの試験的プラットフォームのように見えるが、ここには今後のAIトレンドを左右しかねない“原石”たちが眠っているのだ。
この記事では、筆者が実際に体験し、これは面白い!と心から感じた10個のAIアプリケーションを紹介する。どれもまだ一般的には知られていないが、使い方次第では爆発的に流行る可能性を秘めている。さあ、未来のバズをいち早く手に入れよう。
Google Labsとは何か?
まず前提として、「Google Labs」とは何か?これはGoogleが開発中のAIアプリやプロダクトを誰でも試せる実験場である。2000年代初頭に一度閉鎖されたが、2023年中頃から「生成AI」に焦点を当てた形で復活。Gmailなどの名作も、実はかつてこのLabsから生まれている。
ここに並ぶアプリたちはまだプロトタイプ。だが、その多くが既に高い完成度を誇り、体験してみる価値は十二分にある。今回はその中から「創造性」「実用性」「遊び心」を基準に、筆者が厳選した10本を取り上げていく。
1. Whisk:直感で遊べるAI画像生成ツール
画像生成と聞くと「プロンプトを工夫しないと」と身構える人も多いだろう。しかしWhiskはそんな煩わしさを吹き飛ばしてくれる。最大の特徴は、画像をアップロードして“ヒント”にできる点。
例えば、あるロゴのスタイルを保ちながら文字だけを変えたい場合、元の画像を読み込ませ、わずかなプロンプト編集だけで驚くほど自然なバリエーションが生まれる。さらに「Veo 2」という機能で、画像にアニメーション効果まで追加可能。例えば「猫が首を振りながら鳴く」という動きも、違和感なく再現される。
また、画像同士を融合するセンスも秀逸。3枚の画像(猫、ロゴ、映画のオープニング)を組み合わせて、一つの物語性のあるビジュアルに仕上げるなど、創造性を刺激する機能が満載だ。
2. National Gallery Mixtape:絵画を“音楽”に変えるAI革命
国立ギャラリーと共同開発された「Mixtape」は、なんと名画を音楽へと変換してくれるツールだ。好きな絵画をドラッグ&ドロップするだけで、その色彩や構図、タッチを解析し、対応する音楽が流れ出す。
生成されたサウンドは、「流動的」「軽やか」「ピアノ」「弦楽」などのタグ付き。視覚と聴覚が一体化した没入体験を提供してくれる、まさに新時代の芸術鑑賞だ。
3. Food Mood:世界のレシピを創造するAIシェフ
毎日の「何食べよう?」という問いに、これほどクリエイティブな答えが返ってくるとは思わなかった。「Food Mood」は、国籍を掛け合わせることでユニークなレシピを提案してくれる。
例えば、「中華+イタリアン」で提案されたのは“夏の冷製トマト麺”。さらに「イタリア+タイ」で出てきたのは“マンゴーリコッタデザート”。しかもレシピ詳細、材料、手順まで丁寧に提示してくれる。冷蔵庫の余り食材からレシピを逆引きする機能もあり、忙しい日常の中での救世主的存在だ。
4. Gen Chess:AIと戦うカスタムチェス体験
Gen Chessでは、チェスの世界を完全にカスタマイズできる。駒のデザインは、チーズやアイス、キャラクターや動物などからインスパイアされたものまで幅広い。
「クリエイティブモード」では、遊び心満載のオリジナル駒が次々登場。しかも対戦相手の駒も自動生成され、すぐにプレイ可能。ビジュアルと戦略が融合した、新感覚のボードゲームだ。
5. Talking Tours:仮想旅行をガイド付きで
Google Earthと融合したかのような体験を提供する「Talking Tours」。地図上の任意の観光地をクリックすると、AIガイドがストーリー調で解説してくれる。
視点を変えると、説明内容も変わるのが特徴で、角度によって“見え方”が変わるという旅の醍醐味を感じられる。旅行の予習や歴史学習にも最適なコンテンツだ。
6. Gen Type:想像を形にするフォントジェネレーター
“文字”に質感を持たせたい。そんな要望を叶えるのがGen Typeだ。プロンプトに「トーストの上のブドウジャム」と打ち込むと、本当にジャムが滲んだようなフォントが登場する。
使い方はシンプルだが、生成されたフォント群はA〜Zまで統一されたテイストで出力され、PNG形式でダウンロード可能。YouTubeのサムネ、ポスター、グッズデザインなど、活用の幅は広い。
7. Career Dreamer:あなたの職業的“次の一手”を可視化
「今のスキルで、他に何ができる?」そんな疑問を持つ人におすすめなのがCareer Dreamer。職歴を入力すると、スキルを自動で解析し、適性のある他業種をマップ形式で提示してくれる。
「AIテックライター」なら、「AIコンテンツストラテジスト」「プロダクトマネージャー」「研究員」などが提示され、キャリアの再構築に役立つ。
8. Learn About:AIと一緒に“深く学ぶ”知識探索ツール
「Learn About」は、検索ではなく対話しながら学ぶ”ことに特化したAIアシスタント。質問をすると、構造化された答え+派生知識+画像サポートで理解を助けてくれる。
「Simplify」でわかりやすく、「Go deeper」で掘り下げ、「Get images」で視覚的に学ぶ。知的好奇心を刺激する設計が光る。
9. Illuminate:AIが議論してくれるポッドキャストツール
PDFや記事をアップロードすると、2人のAIが内容について議論してくれる。形式はカジュアルからフォーマルまで自由に選べる。
どんな学術論文も、まるでラジオ番組のように要点を押さえて解説してくれるので、通勤中や家事の合間に“聞きながら学ぶ”には最適。
10. Stitch:テキストからUIデザインを一発生成
「ユーザー登録ページ作って」と言えば、そのままUIが出てくる。そんな夢のようなデザインツールが「Stitch」だ。
入力した指示に基づき、ページ構造、ボタン、画像、説明文まで含んだ画面が生成される。まだワイヤーフレームレベルだが、プロトタイピングや内部検証には革命的な効率をもたらす。
まとめ──バズるの予兆を秘めたAI実験場
今回紹介した10のツールは、まだ一般公開されたばかり。だが、その完成度・創造性・実用性は目を見張るものがある。
Google Labsは、未来のヒット製品を発掘するAI版・シリコンバレーと言っても過言ではない。今のうちから触れておくことで、AIとの付き合い方、使いこなし方が確実に変わってくるだろう。
次バズるのは、静かにあなたのブラウザの中で生まれようとしている。
※すべてのアプリは以下からアクセス可能:https://labs.google/experiments