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Featureシリーズ: Life Upgrade

Matter・Thread・Zigbee、今からスマートホームを始めるならどれを選ぶ?

3つから1つを選ぶ問題に見えて、実際に決めるのは「家の窓口」と「最初の機器の電源」。日本の家で始める人が、ハブを買いすぎず、あとで困らないための考え方です。

Modern-G 編集部約9分で読めます

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横長の帯が上に1本、その下に短い帯が2本並んで縦の線でつながり、右に離れて立つ縦長のかたまりとは点線の短い橋でだけ結ばれ、橋の上に小さな光の点がともる、抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

2025年10月に国内で発売されたAmazonのEcho Dot Maxは、スピーカーの中にMatter、Thread、Zigbeeの3つへの対応をまとめて抱えています。3つが一台に同居できるのは、競い合う規格ではないからです。ところがスマートホームを始めようとする人の多くは、この3つを「どれか1つを選ぶもの」として迷います。

先に答えを書きます。今から始めるなら、選ぶ基準はMatterです。そのうえで、コンセントにつなぐ照明やプラグはWi-Fiの機器で、電池で動くセンサーやボタンはThreadの機器で考えるのが素直です。Zigbeeは、HueやAqaraのように1つのメーカーの仕組みの中で使うと決めたときに選べば十分です。そしてエアコンとテレビをスマホで動かしたいだけなら、3つとも気にする必要はありません。

Modern-Gはこの記事の製品を実機でテストしていません。規格と対応機器の記述は、各団体とメーカーの公式資料によります。確認したのは2026年10月31日です。

3つは同じ段に並んでいない

Matterの役割は、作り手の異なる機器に「共通の言葉」を与えることです。策定する標準化団体CSA(Connectivity Standards Alliance)は、MatterがWi-FiとThreadのネットワークの上で動き、初期設定にはBluetooth Low Energyを使うと説明しています。2026年6月には1.6が発表され、版を重ねながら対象の機器を広げています。

Threadは、その言葉を運ぶ「道」のひとつです。推進団体のThread Groupによれば、Threadは省電力のメッシュ(網目状)ネットワークで、どこか1か所が止まっても全体が止まらない作りになっています。Matterの機器は、Wi-Fiで話すものと、Threadで話すものに分かれます。

Zigbeeは成り立ちが違います。言葉と道がひと続きになった、Matterより前からある体系です。CSAは2025年11月にZigbee 4.0を発表し、世界ですでに10億台を超えるZigbee機器が使われていると説明しています。消えゆく規格ではありません。ただ、ZigbeeのままではMatterの言葉を話さないので、Matterの世界に加わるには、間に立って通訳するハブ(ブリッジ)が要ります。

Matter、Thread、Zigbeeの関係を示した図。いちばん上に、ホーム、Google Home、Alexaなどの操作する窓口がある。その下にMatterがあり、メーカーをまたぐ共通の言葉として、Wi-FiとThreadの上で動く。Wi-Fiは電源のある機器向き、Threadは省電力の網目で電池の機器向き。Zigbeeは言葉と道がひと続きの別の体系で、ハブが通訳してMatterにつなぐ。下に、Threadの機器にはボーダールーターが家に1台要ること、ThreadとZigbeeは同じIEEE 802.15.4の2.4GHz帯の無線方式であること、Zigbeeの機器がMatterに加わるにはブリッジになるハブが要ることを記している。
Matter・Thread・Zigbeeの関係(CSA、Thread Group、Apple、Google、Aqaraの資料をもとにModern-G作図。2026年10月時点の模式図)Modern-G作図

ThreadとZigbeeは、無線の部分では同じIEEE 802.15.4という方式で、家庭向けの製品ではどちらも2.4GHz帯を使います。Aqara Hub M3の仕様に「Zigbee/Thread IEEE 802.15.4」とひとまとめに書かれているのはそのためです。1台のハブが両方をこなせるのも、Echo Dot Maxが3つを抱えられるのも、この共通点があるからです。

海外のスマートホームのフォーラムでも、「MatterとZigbeeのどちらに投資すべきか」という問いは繰り返し立ちます。答えの多くは、両者が別の段にあることを確かめるところから始まっています。

最初の機器の「電源」が、道を決める

どの道を選ぶかは、機器がどこから電気をとるかでほぼ決まります。

コンセントにつなぐ照明、スマートプラグ、カメラは、Wi-Fiで困りません。電気を気にしなくていいので、家のWi-Fiにそのまま入るほうが話は早い。Thread用のボーダールーターも要りません。

電池で動く開閉センサー、人感センサー、ボタン、温湿度計は事情が違います。Wi-Fiは電気を食うので、電池の機器には重荷になります。ThreadやZigbeeが得意なのは、この領域です。OpenThread(GoogleがThreadの仕組みを解説・公開しているプロジェクト)の説明では、ほかの機器のために通信を中継する役は送受信機を常に動かし続け、中継しない端末は送受信機を止めて電力を抑えられます。網目を広げるのは電源のある機器で、電池の機器はそこにぶら下がる、という分担です。

ここから、買う順番の落とし穴が見えてきます。電池のセンサーだけを家のあちこちに置いても、間をつなぐ電源のある機器がなければ網目は広がりません。Threadの機器を買い始めるなら、Threadの電球やプラグなど、常時通電の機器が家のどこかにあるかを先に考えておくと失敗が減ります。

家にあるスマートスピーカーで、半分は決まっている

Threadの機器を家のWi-Fiの側と行き来させるには、「Threadボーダールーター」が1台必要です。ただ、新しく買う必要がないことも多い。スマートスピーカーやテレビ用の機器が、すでにその役を持っているからです。

家にあるものThreadZigbee
Apple HomePod mini、HomePod(第2世代)、Apple TV 4K(第3世代はWi-Fi + Ethernetモデルのみ)ボーダールーターになる記載なし
Google Nest Hub(第2世代)、Nest Hub Max、Google TV Streamer(4K)、Google Home スピーカーボーダールーターになる記載なし
Amazon Echo Dot Max、Echo Hub、Echo(第4世代、販売終了)ボーダールーターになる(第4世代はThread 1.1)Zigbeeハブを内蔵
Amazon Echo Dot(第5世代)、Echo Pop一覧になし一覧になし

出典:Apple「Matter対応アクセサリをホームアプリにペアリングする」「Apple TV 4K(第3世代)技術仕様」、Google Nest ヘルプ「Google Home のハブ」、Amazon開発者向け資料「Matter Support」「Zigbee Support」(2026年5月1日更新)。2026年10月31日に確認。

表には国内で販売されている(またはされていた)機種を載せました。Echo Show 8・Echo Show 11・Echo Studio(いずれも2025年発売)もAmazonの資料では両方に対応し、国内でも売られていますが、日本向けの製品情報でZigbeeとThreadの記載はまだ確かめられていません。

iPhoneを使っているなら、もうひとつ知っておきたいことがあります。Appleは、iPhone 15 Pro・15 Pro Max以降なら、ホームハブなしでThreadのアクセサリを操作できるとしています。ただし同じページで、最適な使い心地のためにはホームハブの設定を勧めています。外出先からの操作や、決まった時刻に動かす自動化を考えるなら、HomePod miniやApple TVのようなハブが家に1台あるほうが安心です。

Googleのハブを使う場合は、ルーターの設定も見ておきます。GoogleはMatter機器を追加するには、家のWi-FiネットワークでIPv6を有効にしておく必要があるとしています。

この表で自分の家が埋まるなら、Thread用のハブを別に買う必要はありません。逆に、どの機器も持っていない人がThreadの機器から始めると、センサー1個のためにハブも買うことになります。

Zigbeeを選んでいいのは、こんなとき

Zigbeeの機器は、メーカーのハブにつないで使うのが基本です。だから「Zigbeeを選ぶ」とは、実際には「そのメーカーの仕組みに乗る」ことを意味します。

照明ならPhilips Hueが代表格です。Hueは公式ページで、製品がZigbeeにもとづくと説明しています。Hueブリッジ1台で照明50個とアクセサリ12個までをまとめられ、ブリッジがMatterに対応したことで、つながったHueのライトとアクセサリもMatter対応になりました。一方で、ブリッジを通さずBluetoothで使っているHue製品はMatterでは使えないと、注記で明言しています。ほかのアプリから使いたくなったら、ブリッジが条件です。

センサー類を広く揃えたいならAqaraがあります。Aqara Hub M3は、Matterのコントローラーで、ZigbeeとThreadの無線を持ち、Aqaraの公式ページにはZigbee機器をMatterの機器の種類に対応づける表が載っています。Aqaraの機器をM3にまとめ、M3からAppleのホームやAlexaに見せる、という使い方です。

Zigbeeの強みは、機器の種類の多さと、長く使われてきた実績です。海外のフォーラムでも、今すぐ安定して動く選択肢としてZigbeeを推す声は根強くあります。弱みは、ハブを替えるときに機器がそのまま移れるとは限らないことと、ほかのアプリから見える機能がブリッジの実装しだいになることです。どこまでの機能をMatterに見せるかはハブのメーカーが決めている、と編集部は理解しています。

日本の家で、どこから手をつけるか

エアコンとテレビを、スマホや声で動かしたい

3つのどれも気にしなくて大丈夫です。リモコンで動く家電は、赤外線のスマートリモコンで動かせます。製品の違いはSwitchBotとNature Remoを比べた記事にまとめました。Appleのホームから操作したいなら、Matterに対応したモデルが通訳になります。SwitchBotのハブミニ(Matter対応)は、赤外線家電をMatter経由でホームアプリから操作できる製品として2024年1月に発売され、2025年7月には木目調のモデルも加わりました。

照明から始めたい

Wi-FiのMatter対応電球なら、Threadのハブなしで始められます。Appleは、iOS 18以降のiPhoneならホームハブなしでMatterの機器を登録して操作できるとしています。Hueを選ぶなら、まずはBluetoothで数個から始め、部屋が増えたらブリッジを足すのが順当です。ブリッジを入れた時点で、Zigbeeの照明がMatterの機器として、ほかのアプリからも見えるようになります。

電池のセンサーやボタンで、自動化したい

上の表で、家にボーダールーターがあるかを確かめてください。あれば、Matter対応のThreadの機器を選ぶだけです。何もなく、センサーを何種類も置く計画なら、ThreadとZigbeeの両方を受けられるハブを1台置く手があります。

「Matter対応」を待つべきか迷っている

待つ必要はありません。今欲しい機器がWi-FiやZigbeeでも、Matterに対応したハブやブリッジを通せば、あとからほかのアプリにつなげる道が残ります。同じくらいの候補で迷ったときに、Matter対応のほうを選んでおけば十分です。最初の1台をどう決めるかは、何から買うかを順にたどった記事が入口になります。

Sources

  1. Connectivity Standards Alliance「Matter」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  2. Connectivity Standards Alliance「Connectivity Standards Alliance Kicks Off Unify」(2026年6月17日、Matter 1.6) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  3. Connectivity Standards Alliance「The Connectivity Standards Alliance Announces Zigbee 4.0 and Suzi」(2025年11月18日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  4. Thread Group「Thread Benefits」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  5. OpenThread「Node Roles and Types」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  6. Apple「Matter対応アクセサリをiPhoneまたはiPadのホームアプリにペアリングする」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  7. Apple「Apple TV 4K (第3世代) - 技術仕様」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  8. Google Nest ヘルプ「Google Home のハブ」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  9. Amazon開発者向け資料「Understand Smart Home Matter Support」(2026年5月1日更新) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  10. Amazon開発者向け資料「Understand Smart Home Zigbee Support」(2026年5月1日更新) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  11. ITmedia PC USER「フルモデルチェンジした『Echo Dot Max』をチェック」(2025年11月14日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  12. AV Watch「Amazon新『Echo Dot Max』と『Echo Studio』、実機を聴いてきた」(2025年10月24日、10月29日発売) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  13. PHILE WEB「Echo Hub」レビュー(2024年2月21日、Zigbee・Thread・Matterに対応) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  14. ITmedia PC USER「『Echo』第4世代モデル、どう進化した?」(2020年10月29日、Zigbeeハブ機能) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  15. Philips Hue「Matter」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  16. Philips Hue「Hue ブリッジ」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  17. Aqara「Hub M3 仕様」 (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  18. Impress Watch「SwitchBot、iPhoneで直接操作できる『Matter』対応の『ハブミニ』」(2024年1月26日) (2026-10-31確認)(新しいタブで開きます)
  19. 購入前の疑問の例:Home Assistant Community「Matter vs. Zigbee: What's your choice for new smart home devices?」(2024年11月)(新しいタブで開きます)
  20. 購入前の疑問の例:Inovelli Community「Zigbee or Thread/Matter for switches and bulbs with Home Assistant」(2024年11月)(新しいタブで開きます)

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