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スマートホームの始め方:何から買う?最初の1台・ハブ・Matter

最初の1台、声かアプリか、ハブ、そしてMatter。スマートホームを賃貸で無理なく始めるための順番を、規格の話を最小限にして整理しました。

Modern-G 編集部更新 約12分で読めます
小さな家の輪郭の中に電球・プラグ・鍵の3つの記号が並び、それぞれから細い線が中央の一点へ集まっていく、抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

帰り道にスマホからエアコンを入れておく。寝る前に「電気を消して」と言うだけで部屋が暗くなる。そんな暮らしに興味はあっても、いざ始めようとすると、何から買えばいいのか、どのメーカーでそろえるべきか、最近よく聞く「Matter」を待ったほうがいいのか、迷いどころがいくつも出てきます。

実は、スマートホームは順番さえ間違えなければ、賃貸でも電球1つから始められます。大事なのは、規格や機器の名前より先に「何を楽にしたいか」を決めることです。

ここでは、最初の1台、声かアプリか、ハブ、そしてMatterという順に、各段階で考えることを整理します。読み終えるころには、自分の家で最初に買うべき1台と、そのあとにどう広げるかの見通しが立つはずです。

スマートホームとは?家電を「アプリ・声・自動化」で動かす仕組み

スマートホームは、照明やエアコン、鍵、カーテンなどをインターネットにつなぎ、スマートフォンのアプリや音声、決まった条件での自動化で動かせるようにした住まいのことです。大がかりなリフォームを指す言葉ではありません。電球を1つ替える、リモコン操作をスマホに置き換える、といった小さな一歩から始められます。

よく似た言葉の「スマート家電」は、Wi-Fiなどの通信機能を内蔵し、アプリや音声で操作できる家電そのものを指します。通信機能のない手持ちの家電も、スマートリモコンやスマートプラグを間にはさめば操作の対象にできます。今ある家電を買い替えずに始められることが、スマートホームの入口としての大きな利点です。

スマートホームでできること:3つの操作と身近な使い方

操作の方法は、アプリ、声、自動化の3つに分かれます。アプリなら外出先からエアコンを入れたり、消し忘れた照明を消したりできます。声なら「電気を消して」「エアコンをつけて」と話しかけるだけ。自動化は、時刻や在宅・外出、温度、ドアの開閉などをきっかけに、家電を自動で動かす仕組みです。

身近な例としては、帰宅前にエアコンを入れておく、起床時刻にカーテンを開けて照明をつける、外出したら照明とエアコンをまとめて切る、といった使い方が代表的です。見守りカメラで留守中のペットや離れて暮らす家族の様子を見る、スマートロックで鍵の閉め忘れを防ぐといった、安心のための使い方も広がっています。

編集部としては、スマートホームの価値は「声で家電が動く楽しさ」よりも、毎日くり返す小さな操作を減らせることにあると考えます。だからこそ、最初の1台は「自分が毎日面倒だと感じている操作」から逆算するのがおすすめです。

最初の1台は「毎日の小さな不便」から選ぶ

機器の名前から入るより、解消したい不便から入るほうが失敗しにくくなります。よくある不便と、対応する機器の例を表にまとめました。

解消したい不便最初の1台の例工事詳しい記事
リモコンを探す、外からエアコンを入れたいスマートリモコン不要スマートリモコンの選び方
照明のオン・オフや明るさを手元で変えたいスマート電球不要(口金が合えば)スマート電球の選び方
扇風機や加湿器などをタイマーで動かしたいスマートプラグ不要スマートプラグでできること
鍵の閉め忘れが気になる後付けスマートロック製品による賃貸でのスマートロック
留守中のペットや家族が心配見守りカメラ不要見守りカメラの選び方

エアコン、テレビ、照明など赤外線リモコンで動く家電が多い家なら、スマートリモコンが1台目の有力候補です。1台で複数の家電をまとめて扱えるため、できることが一気に増えます。たとえば、ワンルームでエアコンとテレビと天井照明がすべてリモコン式なら、スマートリモコン1台でその3つがスマホから動くようになります。照明だけを変えたいならスマート電球、リモコンのない家電を動かしたいならスマートプラグ、というように不便の種類で選ぶと、無駄な買い物を減らせます。

声で操作するか、アプリで十分か:Alexa・Google・Siriの考え方

1台目が決まると、次に気になるのがスマートスピーカーです。ただ、スマートスピーカーやスマートディスプレイは必須ではありません。多くのスマートリモコンやスマート電球は、メーカーのアプリだけで操作も自動化も設定できます。まずはアプリで始め、「手がふさがっているときに声で操作したい」と感じてから音声アシスタントを足しても遅くはありません。

選ぶときは、ふだん使っているスマートフォンや、すでに家にある機器との相性で考えるのが現実的です。Amazon AlexaはEchoシリーズとスマホの「Alexa」アプリで、Google Home(Googleアシスタント)はNestシリーズや対応テレビ、スマホの「Google Home」アプリで使います。Apple Home(Siri)はiPhoneの「ホーム」アプリで使い、HomePodやApple TVをホームハブにできます。

なお、Appleが2026年10月に発表したスマートディスプレイ「Apple HomeView」と周辺機器の「Apple Home Collection」は、Appleのニュースリリースに記載された販売国に日本が含まれていません(2026年10月時点)。日本で選ぶときは、すでに国内で手に入る機器を前提に考えるのが確実です。

ハブとは?必要になるのは「機器が増えてから」

機器が2台、3台と増えてくると、「ハブ」という言葉に出会います。スマートホームでいうハブにはいくつかの意味が混ざっていて、最初に押さえておきたいのは次の3つです。

  1. ブリッジ:Bluetoothや赤外線で動く機器を、Wi-Fiやクラウドにつなぐ中継役。SwitchBotのハブやNature Remoがこの役割を担います
  2. ホームハブ:自動化の実行や外出先からの操作を、家の中で受け持つ機器。AppleならHomePodやApple TV、GoogleならNest HubやNest Mini、AmazonならEchoが該当します
  3. Threadボーダールーター:省電力の無線規格「Thread」で動く機器を、家のネットワークにつなぐ機器。Thread対応の機器を使うときに必要になります

たとえばSwitchBotは、ロックやカーテンなどのBluetooth製品をMatterで使うには、ハブミニ(Matter対応)やハブ2、ハブ3が必要だと案内しています。いっぽうで、同社のロボット掃除機や空気清浄機のようなWi-Fi製品は、ハブなしで直接Matterに対応するとしています。

編集部としては、最初からハブを買う必要はないと考えます。ただし、1台目にスマートリモコンを選ぶ場合は、それ自体がブリッジとして働くため、結果的に「ハブから始める」ことになります。モニター付きのSwitchBot ハブ3や、スマートロック「Qrio Lock」との連携にも対応したNature Remo Lapisのように、スマートリモコンにハブ機能をまとめた製品もあります。

Matterとは?何が変わり、何が変わらないか

ハブの話に何度も出てきたMatter(マター)は、Amazon、Apple、Google、Samsungなどが参加する標準化団体CSA(Connectivity Standards Alliance)が策定した、スマートホーム機器の共通規格です。Matterに対応した機器は、メーカーが違っても、対応するアプリやスマートスピーカーから同じように操作できることをめざしています。通信にはWi-FiとThreadを使い、初期設定にはBluetooth Low Energyを使います。

Matterのつながり方の模式図。Wi-Fiの機器は直接、Threadの機器はボーダールーター経由、赤外線家電はブリッジ経由でつながり、同じ機器をApple Home、Google Home、Alexaの複数のアプリから操作できる。
Matterでは同じ機器を複数のアプリから操作できる。Thread機器にはボーダールーター、赤外線家電にはブリッジが入る(模式図)Modern-G作図

Matterで変わること

いちばん大きな変化は、「どのメーカーのアプリで使うか」に縛られにくくなることです。Matterには、1台の機器を複数のアプリから同時に使える「マルチアドミン」という仕組みがあります。Appleのサポートページでも、Matter対応アクセサリはMatter対応のアプリならペアリングでき、別のアプリで設定済みの機器をホームアプリに追加できると案内されています。家族の一人がiPhone、もう一人がAndroidという家庭でも、同じ照明をそれぞれのアプリで操作しやすくなります。

対応する機器の種類も年々増えています。CSAのMatterハンドブックによると、2022年11月の1.0では照明、プラグ、鍵、サーモスタット(温度調節機器)、ブラインド、センサーなどが対象でした。その後、2023年10月の1.2でロボット掃除機や家電、煙・CO警報器、2025年11月の1.5でカメラなどが加わりました。2026年10月時点の最新版は、2026年6月公開の1.6です。

赤外線家電をMatter経由で扱えるようにするブリッジもあります。SwitchBotの公式サイトでは、ハブ3がSwitchBot製品や赤外線家電を最大30個までMatter経由でホームアプリに連携でき、Alexa、Google Home、SmartThingsなどとも連携できると案内しています。Natureは、Nature Remo nano(公式サイト表示で4,980円)がMatter経由で最大3台の赤外線家電をつなげると説明しています。

Matterでも変わらないこと

便利な規格ですが、すべてを解決するわけではありません。購入前に知っておきたい点は次のとおりです。

  • 仕様の最新版と各社の対応には時間差がある:Amazonの開発者向け資料では、EchoはMatter 1.5以前の一部に対応すると説明しています。Googleも、Matterで定義された機器の種類ごとに対応範囲を示しています
  • 使える機能は機器の種類とメーカーの実装しだい:メーカーのアプリでしか設定できない細かな機能は残ります。SwitchBotも、Matter認証済みでも具体的な機能はファームウェア更新で順次実装すると注記しています
  • Thread対応機器にはボーダールーターが必要:Appleは、Thread機器にはApple TV 4K、HomePod(第2世代)、HomePod mini、または他社製のThreadボーダールーターが必要だと案内しています(iPhone 15 Pro以降はハブなしでもThread機器を操作できます)
  • ネットワークの条件がある:GoogleはMatterの利用にIPv6を有効にしたWi-Fiルーターが必要だとしています

賃貸とセキュリティで気をつけたいこと

機器とアプリの組み合わせが見えてきたら、最後に住まいと安全の話です。どちらも、始める前に一度確認しておくだけで後のトラブルを減らせます。

賃貸で始めるときの注意

賃貸住宅では、壁に穴を開けたり、配線や鍵そのものを交換したりする工事は避けるのが基本です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借りた人の故意・過失や通常の使い方を超える使用による損耗の復旧を原状回復と位置づけ、通常の使用による損耗は賃料に含まれるという考え方を示しています。

スマートリモコン、スマート電球、スマートプラグは工事が不要で、退去時も外すだけで済みます。いっぽう、ドアに貼り付ける後付けスマートロックや、壁に固定するカメラ・センサーは、テープの跡や扉の形状が問題になることがあります。設置前に契約書を確認し、迷うときは管理会社や大家さんに相談してください。この記事は一般的な情報であり、個別の契約についての助言ではありません。

セキュリティの基本

インターネットにつながる機器が増えるほど、守るべき入口も増えます。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、ソフトウェアを最新に保つこと、推測されにくいパスワードと多要素認証を使うこと、古いWi-Fi機器やサポートが終わった機器を使い続けないことなどを呼びかけています。

スマートホームで具体的に気をつけたいのは、次の4点です。

  • 機器とアプリ、Wi-Fiルーターのファームウェアを更新する
  • メーカーのアカウントには使い回しのないパスワードと2段階認証を設定する
  • カメラやスマートロックは、販売元とサポート体制がはっきりした製品を選ぶ
  • 使わなくなった機器は、アカウントから削除して初期化してから手放す

製品選びの目安としては、IPA(情報処理推進機構)が運営するIoT製品のセキュリティラベル制度「JC-STAR」もあります。ラベルを取得した製品はIPAのサイトで一覧を確認できます。ただし、IPA自身が説明しているとおり、ラベルは一定の基準を満たしていることを示すもので、完全な安全を保証するものではありません。

まとめ:あなたに合う始め方と、次に読む記事

スマートホームは、規格をそろえることから始めるものではありません。毎日の小さな不便を1つ解消する1台から始め、機器が増えてからハブを考え、買い足すときにMatter対応を選択肢として意識する。この順番なら、賃貸でも無理なく広げていけます。

赤外線リモコンの家電が多い家なら、スマートリモコンから。照明の雰囲気を変えたいならスマート電球、リモコンのない家電を動かしたいならスマートプラグが手軽です。鍵や見守りが気になる人は、取り付け方やプライバシーの注意点を各記事で確認してから選んでください。

Related Reading賃貸でのスマートロック穴を開けずに付けられるか、退去時に困らないかを確認

声やアプリ以外の操作に興味がある人には、手の動きで家電を操作するジェスチャーコントローラーFreesby!のような、クラウドファンディング発の製品もあります(キャンペーン状況はリンク先で確認してください)。

Sources

  1. CSA(Connectivity Standards Alliance)「Matter」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  2. CSA「Matter Handbook:Specification」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  3. Apple サポート「Matter対応アクセサリをホームアプリに追加する」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  4. Apple Newsroom「Meet Apple HomeView」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  5. Apple Newsroom「Introducing Apple Home Collection」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  6. Google Home ヘルプ「Google Home で Matter 対応デバイスをセットアップ、管理、操作する」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  7. Google Home ヘルプ「Matter と Google Home のハブ」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  8. Google Home Developers「Supported devices(Matter)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  9. Amazon Developer「Matter Support(Alexa)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  10. SwitchBot「Matterとは?対応状況」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  11. SwitchBot「SwitchBot ハブ3」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  12. Nature「Matter」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  13. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  14. 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)
  15. IPA「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」 (2026-10-22確認)(新しいタブで開きます)

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