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昇降デスクの選び方:「どこまで下がるか」から始める電動モデルの見方

立ち作業の効果を期待しすぎず、座る高さが合うかから考える。脚・天板・安全機能・配線の4点で、電動昇降デスクの選び方を整理しました。

Modern-G 編集部更新 約11分で読めます
3段に伸びる脚の昇降デスクを正面から線で描き、天板の上下に「上がる・下がる」の矢印を置いた、静かな図案、抽象的なイラスト
イラスト:Modern-G

在宅ワーク用に電動の昇降デスクを調べ始めると、まず目に入るのは「最高○cmまで上がる」という数字です。ところが届いてから困りやすいのは、反対の端、つまり「どこまで下がるか」のほうだったりします。座ったときに机が高すぎると、毎日の大半を占める座り作業がつらくなるからです。

この記事では、厚生労働省の指針で「立つ」の位置づけを確かめたうえで、脚・天板・安全機能・配線の4つの観点から電動昇降デスクの見方を整理します。読み終えるころには、自分の体格と机に載せる機材から、候補を2〜3台まで絞り込めるはずです。

昇降デスクで何が変わる?公的な指針で見る「立つ」の位置づけ

最初に、期待値をそろえておきます。昇降デスクは「立って働くための机」というより、座る・立つを自分で選べるようにする道具です。

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(2019年策定、2021年一部改正)は、パソコン作業の姿勢について「座位のほか、時折立位を交えて作業することが望ましく」としています。同じ指針は、パソコン作業が1時間を超えて続かないようにし、次の作業までに10〜15分の休止を挟むこと、途中で1〜2回の小休止を取ることも求めています。事業場向けの指針ですが、在宅のデスクワークにもそのまま参考になる内容です。

もうひとつの根拠が、厚労省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」です。ここでは、デスクワークのように座ったまま過ごす時間を「座位行動」と呼び、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを推奨しています。ガイドは、34件のコホート研究のメタ解析で、座位時間が長いほど死亡リスクが高くなる関係が報告されたことも紹介しています。

注意したいのは、どちらの資料も「立ちっぱなしで働く」ことをすすめているわけではない点です。指針の言葉は「時折立位を交えて」です。編集部としては、昇降デスクの価値は、姿勢を変えるきっかけを机の側に用意できることにあると考えます。立つ時間の長さを競う必要はありません。

オフィス家具メーカーも同じ方向を向いています。オカムラはオフィス向けの電動昇降デスク「Swift Nex」に、高さの切り替えを促すリマインダーボタンを設けています。

では、その「切り替えやすさ」は机のどこで決まるのか。ほとんどは脚です。

脚の選び方:昇降範囲の「下限」から確認する

昇降デスクの性能は、ほとんど脚(フレーム)で決まります。チェックしたいのは、昇降範囲、耐荷重、モーターと脚の段数の3つです。

昇降範囲は「座ったときに合うか」が先

ガイドラインの解説は、高さを調整できる机なら、床から60〜72cm程度の範囲で調整できることが望ましいとしています。椅子の高さを先に合わせ、そのあとで机の高さを合わせる、という順番も示されています。

ここで差が出るのが下限です。公式に公表されている数値を見ると、山善のハイエンドモデル(レギュラー天板)は57cm、イトーキのトイロは65cmまで下がります。一方、HUANUOのD3は70cm、サンワサプライのe電動昇降デスクは73.5cmが最低の高さです。たとえば小柄で椅子を低めにして使いたい人なら、下限が70cm前後のモデルでは、座ったときに机が高く感じる可能性があります。

厚生労働省のガイドラインが示す机の調整範囲60〜72cmの帯と、山善57cm、イトーキ トイロ65cm、HUANUO D3 70cm、サンワ73.5cmという各モデルの最低の高さを並べた図。
指針が示す60〜72cmと、各モデルの下限(公称値)Modern-G作図

もうひとつ見落としやすいのが、表記に天板の厚みが含まれているかどうかです。脚だけの昇降範囲を書いているメーカーもあるため、天板を載せたときの実際の高さは、仕様の注記や取扱説明書で確かめてください。

耐荷重は「載せるものの合計」で考える

耐荷重は、天板の上に載せるものすべての合計で考えます。モニター、モニターアーム、パソコン、スピーカーに加えて、天板の下に吊るす電源タップやケーブルトレーも含まれます。

公式値には幅があります。FlexiSpotのE7Hは2023年の発売時の発表で160kg、HUANUOのD3は55kg、サンワのe電動昇降デスクは総耐荷重70kgです。サンワは総耐荷重とは別に「中心荷重40kg」も公表しています。天板の端に重い機器を寄せると、中心に載せるより条件は厳しくなると考えてください。

編集部としては、デュアルモニターとアームを載せる予定なら、合計の重さに余裕を持たせた耐荷重のモデルを選ぶのが安心だと考えます。

モーターの数と脚の段数

昇降の仕組みには、モーターが1つのシングルモーターと、左右の脚それぞれにモーターを持つデュアルモーターがあります。仕様表で「1モーター」「2モーター」の記載を確認してください。サンワのe電動昇降デスクは1モーターと明記しています。重い機材を載せる予定なら、デュアルモーターのモデルも候補に入れておくとよいでしょう。

脚の段数は昇降の幅に関わります。FlexiSpotのE7Hと山善のハイエンドモデルは3段の脚で、E7Hは63.5〜128.5cm(発売時の発表)、山善は57〜117cmと、どちらも60cm以上の幅で上下します。

脚が決まったら、次はその上に載る天板です。

天板の選び方:サイズ・厚み・穴あけ

天板は、脚とセットで売られるものと、脚だけを買って天板を別に選ぶものがあります。FlexiSpotのE7Hは天板別売りで、発売時の発表では幅120〜200cm、奥行60〜80cmの天板に対応するとしています。

サイズは、置くものと部屋から逆算します。ガイドラインの解説は、大型ディスプレイを使う場合は奥行きに余裕のある机を使い、画面を見上げたり体をねじったりしないよう配置することを求めています。27インチ以上のモニターを置くなら、編集部としては奥行70cm以上をひとつの目安にしています。

厚みは、モニターアームを付けるかどうかで意味が変わります。クランプ式のアームは、挟める天板の厚みに上限と下限があります。たとえば山善のハイエンドモデルのレギュラー天板は厚さ1.8cmで、アームによっては対応範囲の下限を下回ります。確かめ方はモニターアームの選び方で整理しています。

天板に穴をあける加工(グロメット式アームや配線穴)を考えているなら、天板を別売りで選べるモデルが向いています。セット品の天板に加工する場合は、保証やサポートへの影響を事前にメーカーへ確認してください。

揺れ・音・安全:買う前に知っておきたい弱点

昇降デスクでよく話題になるのが、立ち作業の高さでの揺れです。脚が伸びるほど床から天板までの距離が長くなるため、高い位置ほど揺れは出やすくなります。編集部としては、これは構造上の性質で、程度の差はあっても完全にはなくならないものと考えています。

揺れの出方を左右するのは、脚そのものの作りと、使い方の両方です。脚の側では、左右の脚をつなぐ補強材(クロスバー)があるか、脚の形がT字型かC字型か、段数と伸ばしたときの重なりしろがどれくらいか。机の側では、天板の奥行きと厚み、床の水平をアジャスターで取れるか。そして、キーボードを強く叩く使い方なのか、ペン作業が中心なのかでも、気になる度合いは変わります。

音は、昇降するときのモーター音です。山善は昇降音を42デシベルと公表しています。数値を公表していないメーカーも多いため、夜間に使う予定がある人は、デシベル表記の有無も比較材料にしてください。

安全面では、障害物検知の有無を必ず確認します。山善は昇降中に障害物に当たると停止して5cm戻る「衝撃検知センサー」を、イトーキのトイロは停止して約30mm戻る挟み込み防止機能を備えています。サンワは衝撃感知の感度を3段階で調整できます。

重さにも触れておきます。E7Hの脚は約34.9kg(発売時の発表)、HUANUOのD3は24.2kgです。組み立ては2人で行う前提で考え、床の傷が気になる場合はマットを敷くと安心です。

モニターアームと配線:昇降デスクならではの注意点

固定式の机との大きな違いは、天板の上だけでなく、天板とともに動くものすべてを考える必要があることです。

いちばん多い失敗は、ケーブルの長さ不足です。E7Hは65cm、トイロは60cm上下します。壁のコンセントや床置きのパソコンから天板までのケーブルは、いちばん高い位置でも突っ張らない長さが必要です。イトーキはトイロ向けに、昇降に必要な余長を確保する布製のケーブルガイドをオプションで用意しています。

編集部のおすすめは、電源タップを天板の裏に固定し、そこから壁のコンセントまでの1本だけを余長つきで垂らす方法です。こうすると、昇降で動くケーブルは1本にまとまります。天板下に付けるケーブルラックのような製品も使えます。

天板の裏に電源タップを固定し、壁のコンセントまでの1本だけに余長をもたせることで、天板を上げてもケーブルが突っ張らないことを示す模式図。
動くケーブルを1本にまとめる(模式図)Modern-G作図

モニターアームを付けるときは、天板の奥の縁にクランプを挟める空きがあるかを確認します。脚のフレームや補強材が奥側に来るモデルでは、取り付け位置が限られることがあります。ノートPCと外部モニターを1本のケーブルでつなぐドッキングステーションを使うと、天板から降りるケーブルをさらに減らせます。

画面まわりの明るさはモニターライトの記事で、机まわり全体の整え方はデスク環境の作り方でまとめています。

ここまでの見方を、実際の製品の公式値に当てはめてみましょう。

主な製品の考え方:公式仕様で比べる

2026年10月時点で国内向けの公式情報を確認できたモデルを、仕様の比較用に並べます。ランキングではありません。数値はメーカーの公式ページや発表資料に基づく公称値です。

製品昇降範囲(公称)耐荷重(公称)公式情報で確認できた特徴
FlexiSpot E7H63.5〜128.5cm160kg3段脚、昇降速度40mm/s、天板別売り(2023年発売時の発表)
山善 ハイエンドモデル(EHD-1270など)57〜117cm(レギュラー天板)未公表3段脚、昇降音42dB、衝撃検知で5cm戻る(2024年の発表)
イトーキ トイロ65〜125cm未確認挟み込み防止、昇降用のケーブルガイド(オプション)
サンワサプライ e電動昇降デスク73.5〜123.5cm総70kg(中心40kg)1モーター、メモリー4か所、天板サイズを50mm刻みで選べる受注生産
HUANUO D370〜118cm55kgT字型脚、操作パネルにUSB-C×1・USB-A×2

表から読み取れるのは、価格帯よりも設計の方向性の違いです。重い機材を載せたい人は耐荷重の大きいモデル、小柄な人や座り作業が中心の人は下限の低いモデル、部屋に合わせて天板を細かく選びたい人はサイズオーダーできるモデル、と考えると絞り込みやすくなります。山善のモデルは2024年の発表資料で確認したもので、現在の取り扱いは販売店で確かめてください。

価格帯も幅があります。FlexiSpotだけを見ても、Modern-Gで紹介している入門機FlexiSpot EF1から、公式ストアで10万円を超える上位機(E7H Pro)まで並んでいます。価格は変わりやすいため、購入時に公式ストアで確認してください。

海外のクラウドファンディングでは、天板の一部を傾けられるGTPlayer Zoned Tilt Deskのように、昇降に別の機能を組み合わせた製品も登場しています(キャンペーン状況はリンク先で確認してください)。

よくある質問

1日にどれくらい立てばよいですか?

公的な指針に「何時間立つべき」という数値はありません。厚労省のガイドラインは「時折立位を交えて」としており、パソコン作業を1時間以上続けないことや、こまめな小休止を求めています。編集部としては、作業の区切りごとに座る・立つを切り替える使い方から始めるのが現実的だと考えます。

手動やガス圧式ではだめですか?

高さを頻繁に変えないなら、手動やガス圧式も選択肢です。ただ、切り替えに手間がかかると、だんだん高さを変えなくなりがちです。座る・立つを1日に何度も切り替えたい人には、メモリー機能つきの電動式が向いています。

賃貸の部屋でも使えますか?

据え置くだけなら工事は不要です。気になるのは床への傷とへこみで、デスクの重さにモニターなどの重さが加わります。保護マットを敷く、アジャスターで水平を取る、といった対策をしておくと安心です。

まとめ:あなたに合う1台の絞り込み方

昇降デスク選びは、最高の高さより「座ったときに合う下限」、カタログの耐荷重より「載せるものの合計」、そして天板とともに動くケーブルの余長で、ほぼ決まります。障害物検知は物を守るための機能と考え、昇降中は周りを目で確かめる習慣もセットにしておきましょう。

身長が低めで座り作業が中心の人は、下限が60cm前後まで下がるモデルを優先してください。デュアルモニターや重い機材を載せる人は、耐荷重に余裕があり、脚が3段のモデルが候補になります。部屋に合わせて天板を選びたい人は、天板別売りやサイズオーダーできるモデルが向いています。届いた日に椅子から高さを合わせ直すことが、使いこなしへのいちばんの近道です。

次に読むなら、机に載せる機材の確かめ方をモニターアームの選び方で、机まわり全体の順番をデスク環境の作り方で。

Related Readingモニターアームの選び方VESA・重さ・天板の3つを確かめる

Sources

  1. 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(令和元年7月12日 基発0712第3号、令和3年12月1日一部改正) (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  2. 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインの解説」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  3. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨事項 成人版 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  4. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  5. Flexispot Japan「E7H」発売のお知らせ(財経新聞 プレスリリース配信、2023年9月8日) (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  6. Impress Watch「電動昇降デスク『Flexispot E7H』耐荷重160kgに強化」(2023年9月9日) (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  7. 山善「電動昇降デスク ハイエンドモデル」発表資料(共同通信PRワイヤー、2024年10月24日) (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  8. イトーキ「トイロ 機能・特長」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  9. サンワサプライ「e電動昇降デスク」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  10. サンワサプライ「ERD-ER10060BK」製品ページ (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  11. HUANUO「HUANUO D3 電動昇降デスク」 (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)
  12. オカムラ「Swift Nex」ニュースリリース(2023年11月6日) (2026年10月22日確認)(新しいタブで開きます)

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