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ファミマの「AIレコメンド発注」とは:2025年7月の発表の中身と、コンビニのAI発注のその後
おむすびや弁当の発注数をAIが推奨する仕組みを、ファミリーマートは2025年7月に発表しました。発表に書かれていたこと、書かれていなかったこと、その後の動きを公式発表から確かめました。

ファミリーマートは2025年7月10日、AIが店舗の発注数を推奨する「AIレコメンド発注」を、6月末から全国500店舗で運用していると発表しました。Modern-Gも7月24日に「業務効率も売上も進化する驚異のシステム」として紹介しています。
2026年10月29日に公式のニュースリリースを読み直すと、旧記事は仕組みの大筋は正しく伝えていた一方で、リリースにない効果や今後の見通しを書き足していました。この記事では、発表に何が書かれていたかを整理し直し、その後のファミリーマートと他のコンビニの動きを追います。
何を、どのデータで予測するのか
対象は、おむすびや弁当、サンドイッチなど、毎日何度も納品される商品です。リリースによると、AIは次の4種類のデータを分析・学習し、日別・便別・単品別の販売予測数を出します。
- 過去1年間の販売実績
- 店舗周辺の通行量(時間帯別、性別、年代別)
- 気象データ(気温、湿度、降水量、日照量など)
- カレンダー情報(祝日など)
推奨値は1日4回更新され、店舗の状況に合わせて手で直すこともできます。リリースは、新商品や販促の対象商品、イレギュラーなイベントなど、AIが考慮できない要素は店舗で判断して調整するよう勧めています。旧記事は入力データに「イベント」を含めていましたが、リリースの書き方では、イベントはAIではなく人が補う部分です。
「便別」というのは、1日のうち何回かに分かれて届く配送の便ごとに数を出す、という意味です。朝の便と夕方の便で売れ方が違う中食(なかしょく)の発注では、ここが細かいほど欠品と売れ残りの両方を減らしやすくなります。
「お手本店」と売場のボリューム
もう一つの特長が「お手本店」です。自店と立地環境が同様で、利益額が高い店舗の販売実績を参照し、自店で扱っていない売れ筋の商品を推奨します。旧記事は「近隣に位置し」と書いていましたが、リリースの条件は距離ではなく立地環境の近さです。
三つ目の特長として、販売機会のロスを防ぐため、次の納品までに繰り越す在庫も考えて「売場ボリュームを保つ数」を自動で上乗せします。適切な陳列量を保って売り逃しを減らす一方、過剰な発注で出ていた廃棄も適正にする、というのがリリースの説明です。
「週6時間削減」はどう読むか
リリースは効果として、発注業務にかかる時間を「1週間あたり約6時間削減」し、担当者の負担を軽くするとしています。ただし、これが1店舗あたりの数字なのか、500店舗での測定結果なのかといった根拠は書かれていません。会社が示した見込みとして読むのが妥当です。
旧記事は「売上アップ・フードロス削減・スタッフの負担軽減という複数の課題を一気に解決」と書いていましたが、リリースに売上の伸びや廃棄の減少の数字はありません。発表の見出しが掲げた狙いは店舗の業務効率化と販売機会の最大化です。フードロスは三つ目の特長の見出しと結びに「フードロス対策」として挙がっていますが、どれだけ減るかという数字は示されていません。
展開については、500店舗での売上や店舗収益の効果をふまえて「展開店舗の拡大を目指す」とあるだけで、時期や目標の店舗数は示されていません。旧記事の「今後は全国各地のファミマでこのシステムが使われるようになり」は、発表の範囲を超えていました。
その後の動き(2026年10月時点)
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年1月13日 | ファミリーマートが、防犯カメラの画像で売場を点数化する「AI売場スコアリング」の実証を首都圏の一部店舗で開始すると発表 |
| 2026年9月3日 | 新型POSレジの全店導入を発表。ロボティクスや「AIレコメンド発注」の活用などで、2030年度までに店舗の1日あたりの総労働時間を2025年度比で約2割減らす目標 |
| 2026年10月6日 | おむすび・弁当などの配送を1日3便から2便にする店舗が、中国・四国を加えて約3,200店舗に |
その後の公式発表でAIレコメンド発注の名前を確認できたのは、2026年9月3日の新型POSレジのリリースです。最低賃金の上昇などで店舗の利益確保が急務だとして、ロボティクスやAIレコメンド発注の活用、新しい省力化機器の導入で、2030年度までに店舗の1日あたりの総労働時間(マンアワー)を2025年度比で約2割減らす目標を掲げました。
ただ、このリリースにもAIレコメンド発注の導入店舗数は書かれていません。2026年10月29日時点で、500店舗のあとに何店舗へ広がったかを示す公式の数字は見当たりませんでした。
1月に実証を始めたAI売場スコアリングは、おむすびの売場を撮影してAIが点数を付ける仕組みです。リリースは将来的に既存のAI発注システムとも連携させ、分析や発注の提案を自動化するとしていますが、これは計画の段階です。
配送の2便化は、北陸(2025年9月)、東北・新潟(2026年6月)、中国・四国(2026年10月)と広がっています。リリースは個店の販売傾向に基づく発注支援ツールを活用するとしていますが、AIレコメンド発注の名前は出していないため、同じ仕組みかどうかはこの記事では断定しません。
フードロスについては、ファミリーマートは「ファミマecoビジョン2050」で、店舗の食品ロスを2018年比で2030年に50%、2050年に80%減らす目標を掲げています。2026年10月2日のリリースでは、これまでの取り組みの一つに「発注精度の向上」を挙げています。
セブン‐イレブン、ローソンとの違い
大手3社のうち、セブン‐イレブンとローソンはファミリーマートの発表より前に、AIによる発注支援を全店に入れていました。
| 会社 | 仕組み | 公式に示された導入状況 |
|---|---|---|
| セブン‐イレブン・ジャパン | AI発注システム | 2023年より全店舗に導入、発注時間を約40%削減 |
| ローソン | AI.CO(AIによる発注・値引きの推奨) | 2024年7月に全国の店舗への導入を完了 |
| ファミリーマート | AIレコメンド発注 | 2025年6月末から500店舗。その後の店舗数は未公表 |
セブン‐イレブンはサステナビリティのページで、天候や曜日特性、過去の販売実績などから需要を予測するAI発注システムを2023年から全店舗に導入し、発注業務の時間を約40%減らしたとしています。ページの説明では、従業員が在庫数を設定して発注する「設定発注」を置き換えた仕組みで、毎日何便も届く弁当やおむすびの発注と同じものかは書かれていません。ページに日付はなく、導入の月もわかりません。
ローソンは2025年8月5日のリリースで、AI.COの全国の店舗への導入を2024年7月に完了したとし、消費期限が短い商品の発注の精緻化と値引きの推奨に使っていると説明しています。数字の測り方は各社で違うため、40%と週6時間を直接比べることはできません。
コンビニのAI発注をどう見るか
ここからは編集部の見方です。AI発注の価値は「AIが当てる」ことより、毎日の発注にかかる時間と判断の負担を減らし、人が新商品や地域の催しといったAIの苦手な部分に集中できることにあるように見えます。ファミリーマートが推奨値を手で直せるようにし、その判断を店に残したのもそのためでしょう。
一方で、効果を示す数字はまだ少なく、500店舗での成果も公表されていません。拡大の判断材料になる売上や店舗収益の結果が出たときに、改めて評価したいところです。
AIと働き方については、AIに店の運営を任せた実験の顛末をAI店長の実験で取り上げています。
Sources
- ファミリーマート「AIを活用した新たな発注システムを導入 ~店舗の業務効率化と販売機会の最大化を実現~」2025-07-10 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ファミリーマート「AIを活用した新たな店舗運営支援 「AI売場スコアリング」の実証を開始 ~売場を点数化して分析し最適な品揃えを推進~」2026-01-13 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ファミリーマート「お客さまの利便性向上と店舗の省力化を実現 新型POSレジを全国のファミリーマートに導入 ~レジ業務を1日2割削減へ~」2026-09-03 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ファミリーマート(物流配送の効率化、中国・四国の1日2便化)2026-10-06 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ファミリーマート(「涙目シール」の受賞、ファミマecoビジョン2050)2026-10-02 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ファミリーマート「ファミマecoビジョン2050」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- セブン‐イレブン・ジャパン「店内作業効率化の取り組み」 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
- ローソン「食品ロス削減プログラム「FOOD GOOD SMILE」8/5(火)開始」2025-08-05 (2026-10-29確認)(新しいタブで開きます)
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