RICOH IMAGING が展開する人気コンパクトデジタルカメラ「GR シリーズ」の中でも、ストリートフォトグラフィーユーザーに愛用される「GR IIIx」をベースにした特別モデルが「RICOH GR IIIx Urban Edition」です。この商品は、「ざわめく都会の雑踏、煌めくネオンの灯り。足早に行き交う人々の後ろ姿」—— そんな日々変わりゆく都市の瞬間を、より特別なカメラで捉えることを目的に開発されたモデルで、外観デザインから撮影機能まで、都会の撮影シーンに特化した細かな配慮が施されています。
Urban Edition の魅力は、それらの機能と独特のデザインが一体化した「都市撮影専用機」としての完成度にあります。
(RICOH GR IIIx Urban Edition)の特徴
RICOH GR IIIx Urban Edition の最大の特徴は、「都会のストリートフォトグラフィー」というコンセプトを、外観デザインと撮影機能の両面で徹底的に反映させた点にあります。以下では、その特徴を詳しく解説します。

1. 都市の雰囲気を反映した特別な外観デザイン
本モデルの最も目立つ特徴は、都市の景観をイメージした独特の外装です。まず、カメラ本体は「メタリックグレー」を採用しています。この色は、「アスファルトの上で際立つ Street Photographer の個性」をイメージして開発されたもので、複雑な塗装工程を繰り返すことで表面に独特な風合いを醸し出しています。見た目は滑らかで高級感がありながら、実際にカメラを保持した際には意外と滑りにくい素材感になっているため、長時間撮影しても手にフィットしやすく、慌ただしい都市の中でも安定した握持感を得られます。これは単なるデザインの追求ではなく、ストリート撮影で頻繁に起こる「急遽の構図決定」「素早い持ち替え」といった場面での使い勝手を重視した細かな配慮の現れです。
さらに、レンズ部分を保護する「リングキャップ」は「ネイビーブルー」の特別仕様となっています。この色は、「雨上がりの水たまりに映る紺碧の空、眠らない都会のネオンやその反射光」をイメージしたもので、メタリックグレーの本体とのコントラストが際立ちつつも、都市の中で過度に目立たない落ち着いた色合いに調整されています。また、商品セットには「交換用リングキャップ (ブラック)」も同梱されているため、ユーザーの好みや撮影シーンに応じてリングキャップを交換できるのも利点の一つです。例えば、夜間のネオンが多い場所ではネイビーブルーのリングキャップで雰囲気を合わせ、昼間のシンプルな風景を撮る際にはブラックのリングキャップに切り替える —— こうした細かなカスタマイズが可能になっています。

2. ストリート撮影に最適化された「スナップ距離優先モード」
Urban Edition の核心的な機能改良の一つとして、新たな露出モードである「スナップ距離優先モード」が搭載されています。ストリートフォトグラフィーで最も大切なのは、一瞬のシャッターチャンスを逃さないことではないでしょうか? このモードは、まさにこのニーズに応えるための機能で、ユーザーが事前に「スナップ撮影距離」と「深度(DOF)」を選択しておくだけで、撮影時にピント調整をする手間を省けるように設計されています。
特に「DOF3」という設定は、パンフォーカス(画面全体がほぼピントが合った状態)に近い被写界深度になるように F 値が自動的に設定されるため、非常に素早い撮影が可能になります。例えば、繁華街で不意に現れたインパクトのあるシーンを捉えたい場合、通常の AF モードではピントを合わせる間にシャッターチャンスが逃げてしまうことがありますが、スナップ距離優先モードの DOF3 を選択しておけば、単にシャッターボタンを押すだけで目的の被写界深度で撮影できるため、慌ただしい都市の中でも確実に瞬間を固定できます。この機能は、GR シリーズが持つ「クイックリターン」の特性(電源を入れればすぐに撮影可能)と組み合わさることで、ストリート撮影の「即応性」を最大限に引き出します。

3. 意図した被写体に確実に合焦する「オートエリア AF (中央)」
フォーカス機能にも、ストリート撮影に特化した改良が加えられています。Urban Edition では、フォーカスモードの一つとして「オートエリア AF (中央)」が新たに追加されています。通常のオートエリア AF は、カメラが画面全体のコントラストを判断して自動的に合焦ポイントを選択するため、時折手前の地面や周囲の不要な被写体に合焦してしまい、目的の被写体(例えば歩く人々)がボケてしまうことがあります。これは、特に複雑な構図の都市風景で撮影する際に頻繁に起こる問題です。
「オートエリア AF (中央)」は、この課題を解決するために開発された機能で、合焦対象エリアを画面全体から「中央付近の 9 エリア」に限定して動作します。これにより、ユーザーが構図の中心に配置した被写体(例えば路地裏の入り口に立つ人)にカメラが優先的に合焦し、手前のガラスや舗装面といった意図しない周辺物体への誤合焦を大幅に防ぐことができます。例えば、駅のホームで混雑している中で、特定の人物を中心に撮影したい場合、中央 AF エリアを選択しておけば、周囲の人々に分散することなく目的の人物に確実に合焦できるため、より思い通りのストリートスナップが可能になります。この機能は、特に経験の浅いユーザーでも、少ない操作で高品質なストリート写真を撮影できるようにサポートします。

4. 特別感を高めるオリジナル電源 OFF 画面と操作性向上機能
Urban Edition では、カメラの「特別感」を高めるためのディテールも配慮されています。最も代表的なのは、電源を OFF にする前に表示される画面で、「Street をイメージした背景」と「専用ロゴ」をあしらったオリジナルデザインが採用されています。これは単なる装飾ではなく、ユーザーがカメラを使用するたびに「これは Urban Edition ならではの体験」を感じさせるもので、日常的な撮影の中に少しの特別さを加えてくれます。
さらに、操作性を向上させるための追加機能も複数搭載されています。まず、シャッターボタンの設定に「AF 作動」が追加されました。通常の GR IIIx では、シャッターボタンを半押しすると「AE(自動露出)ロック」と「AF(自動合焦)ロック」の両方が同時に行われますが、この「AF 作動」設定を選択すると、半押し時に AE ロックは行わず AF のみをロックすることが可能になります。これは、例えば逆光の場所で被写体の明るさを調整した後、被写体の位置が少し変わった場合に、露出を固定したままピントだけを再調整したいシーンで非常に便利です。
次に、スナップ撮影距離の設定に「3.5m」が追加されました。従来の GR IIIx では、スナップ距離として 1m、1.5m、2m、3m、5m などが選択可能でしたが、3.5m の追加により、中距離の被写体(例えば街灯の下の人物や建物の窓からの風景)を撮影する際に、より適切な距離でスナップ撮影を行えるようになりました。これにより、撮影者の意図に合った被写界深度を選択する幅が広がり、多様な都市シーンに対応できる柔軟性が向上します。
最後に、再生画面の操作性も改良されています。Urban Edition では、再生画面で画像を「ロングタップ」(長押し)することで、再生機能選択画面(例えば削除、ズーム、スライドショーなど)を直接呼び出せるようになりました。従来はメニューボタンを操作して機能を選択する必要がありましたが、この改良により、撮影直後に画像を確認しながら迅速に編集や管理を行えるため、一連の撮影作業の流れをスムーズにすることができます。

まとめ
RICOH GR IIIx Urban Edition は、「都会のストリートフォトグラフィー」という明確なコンセプトのもと、外観デザインから撮影機能、さらにはアクセサリーまで、一貫した調整が施された特別モデルです。メタリックグレーの本体とネイビーブルーのリングキャップは、都市の雰囲気に溶け込みつつも個性を発揮し、「スナップ距離優先モード」や「オートエリア AF (中央)」といった機能は、ストリート撮影の「即応性」と「正確性」を大幅に向上させています。さらに、シャッターボタンの設定追加や再生画面の操作性改良は、日常的な撮影の使い勝手を高めるための細やかな配慮であり、これらの機能が組み合わさることで、ユーザーは技術的な操作に煩わされることなく、都市の瞬間を直感的に捉えることができます。
当初販売されていた Special Limited Kit は、全世界 2,000 台限定という稀少性に加え、本革ハンドストラップや刻印可能なメタルホットシューカバーによってコレクション性も高めていました。現在はこのキットの販売は終了していますが、Urban Edition 本体の魅力は変わりません。また、通常の GR III/IIIx ユーザーでも、ファームウェアアップデートで本モデルの主要機能を利用できる点は、RICOH のユーザーへの配慮を示しています。
結果として、RICOH GR IIIx Urban Edition は、単なる「特別カラー」ではなく、「ストリートフォトグラフィーのニーズを理解した商品開発」の結晶です。都市の中で自由に撮影を楽しみたい人、高画質とポータビリティを両立したカメラを求める人にとって、このモデルは、技術とデザインが融合した魅力的な選択肢となり得るでしょう。










